香港上陸後、今回の投宿地である香港島北岸の北角エリアへ向かったのですが、そのホテルのある通りに足を踏み入れた瞬間、想像を超えるローカル市場風情に、予定外に開幕と同時に優勝が決まったのでした。
事前知識を全く持たずにこのホテルを予約したのですが、そこは「春秧街(Chun Yeung Street)」と呼ばれる、香港でもちょっとした名のあるローカル市場ストリートだったのです。
更に驚くべきことに、この細い市場通りには、香港名物の路面電車「トラム」の線路が敷かれていました。春秧街は、所狭しと屋台の並ぶ市場通りをトラムが通るという、尊さの極み的ストリートなのです。
大きな時代のうねりの中で失われつつある香港、その中で奇跡的に守られていたひとつまみの奇跡が、ここにありました。
SONY ILCE-7C (75mm, f/5.6, 1/80 sec, ISO100)
古き良き香港の市場通りとトラムのコラボが尊い「春秧街(Chun Yeung Street)」
香港から急速に失われつつある古い町並み。これまでも何度か出張などで訪れる度に、現地の人やインターネットに問いを投げかけました。
「脳内イメージにある昔ながらの雑然とした香港って、どこにあるの?」
という雑な問いを。
そして問い掛ける自分自身も薄々感づいている通り、そんな場所は今や絶滅に瀕している、という結論に辿り着くのです。安全上の事情だったりするので、観光客の都合を押し付けるわけにも行かず、やむを得ないでしょう。
もちろん、全く無いということはない。あるにはあるのだけど、ただ、特定の局所的なエリアに限られて残っている感じで、普通にその辺を歩いていて出会える確率はかなり低くなりつつあるという感じです。逆にそうした場所がちょっとした貴重な「古き良き町並みスポット」になっていて、そうした場所へわざわざ行く必要があったり、あるいは「廟街(男人街)」の様な観光スポットにそうした雰囲気を求めるか。
なので今回も、短期旅行であることもあり、半ば諦めていたのです。
そうした中、よもやよもや、何の事前調査もなく「無の心」で向かった投宿地が、まさか脳内イメージ通りの香港マーケットストリートだったので、鼻血の噴射力でホーチミンまで吹き飛ばされるところでした。
というのは冗談ですが、春秧街に足を踏み入れた瞬間に興奮で奇声を上げてしまい、家族に他人のふりをされたのは本当です。
地元民で賑わう春秧街のアジアンな活気
春秧街の魅力、まずは何と言っても香港らしさ、アジアらしさが醸し出されまくる商店や屋台でしょう。早朝から仕入れのトラックが往来し、夜には無かった屋台が次々と道路脇に並び始めます。
説明する語彙力が足りないので 百聞は一見に如かず、写真で御覧下さい。
SONY ILCE-7C (47mm, f/2.8, 1/400 sec, ISO100)
SONY ILCE-7C (28mm, f/5.6, 1/100 sec, ISO100)
SONY ILCE-7C (58mm, f/2.8, 1/160 sec, ISO100)
SONY ILCE-7C (57mm, f/2.8, 1/80 sec, ISO100)
こんなローカルな市場通りにも高級車が登場する辺りにアジアの格差と混沌を感じます。
SONY ILCE-7C (28mm, f/2.8, 1/160 sec, ISO100)
商店の軒の間をトラムが通り抜ける姿に香港味が凝縮!
そして春秧街の最もスペシャルなところは、路面電車「トラム」の線路が通っているところ!
SONY ILCE-7C (28mm, f/5.6, 1/125 sec, ISO100)
香港島のトラムの北角辺りには、下の路線図の真ん中の辺りを見ると分かる通り、ちょっと鼻毛が飛び出た感じの支線があります。その支線が通っているのが春秧街なのです。
多くのトラムは「69E 北角道(North Point Road)」を通り、北角を通り抜けてさらに先まで行くのですが、一部のトラムは「北角總站(North Point Terminus)」という終着駅行きになっていて、その場合に春秧街の支線を使うのです。このような素晴らしい通りに支線を敷いてくれたトラムの運営会社に感謝です。
ということで、このようなトラムとローカル市場のコラボによる「香港全部入り」みたいな光景が生成されるわけです。生成AIもびっくりです。
SONY ILCE-7C (75mm, f/5.6, 1/80 sec, ISO100)
SONY ILCE-7C (60mm, f/4, 1/500 sec, ISO100)
SONY ILCE-7C (75mm, f/2.8, 1/160 sec, ISO4000)
春秧街(Chun Yeung Street)のアクセス
春秧街は香港島の北端、北角エリアにあります。セントラル(中環)から東の方にタクシーで約10分、地下鉄MTRで約25分、路面電車トラムだと45分ほどのところが北角です。北角からさらに東に向かって同じくらいの距離に、有名なモンスターマンションがあります。
地下鉄やトラムで北角につくと、英皇道(King’s Road)という大通りに出ますが、春秧街はそこから北に一本入った細い通りです(厳密にはその間にもう1本、人がやっとすれ違えるくらいの激細の路地がありますが)。
ほんの数百メートルの通りですが、これだけまとまった区間にローカル市場が広がる場所は、実は香港でも数えるほどしかないんじゃあないでしょうか。お粥や麺などのローカルな名店も結構あります(別記事でご紹介予定)。
春秧街へ公共交通機関で行くにはいくつかの方法があります。
- 地下鉄MTR「North Point(北角)」駅
- 路面電車トラム「North Point Road(北角道)」駅
- 路面電車トラム「North Point Terminus(北角總)」駅
時間を節約したい場合は、1番目のようにMTRで北角駅へ行くのが良いでしょう。MTR北角駅から春秧街へは徒歩5分ほどです。
トラムで行く場合には、支線ではなくメイン路線の北角道駅(上の2番目)で降りるのが一つ。3番目の北角總駅行きのトラムなら春秧街のある支線にそのままトラムで入れますが、本数は少ないので「乗れたらラッキー」くらいでしょう。
香港の隠れ名所「春秧街」、見逃すべからず
ほんの数百メートルのちっぽけな路地ですが、アジアンな活気あふれる市場通りに、路面電車トラムと、春秧街には香港の魅力がこれでもかと詰まっています。
古き良き香港らしい町並み、もしかするとそう遠くない未来に絶滅してしまうかも知れません。香港の最後の息吹を感じられる町、春秧街に今ここで出会えたことに感謝です。
SONY ILCE-7C (70mm, f/2.8, 1/80 sec, ISO5000)
(2023年8月5日の記録)
つづき↓
次の記事で、こんな春秧街のど真ん中に泊まれるホテルをご紹介します。
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