車窓に流れるヤシの木のシルエット、線路のポイントを通過する音、時折小さな駅に停車する度に鳴り響くタイ語のアナウンス・・・
自分にとって、最も「旅」を象徴するシーンを選べと言われたら真っ先に頭に浮かぶのはこの情景かも知れません。
初めてバンコクからラオス国境の町ノーンカーイへの夜行列車に揺られたのはもう20年余り前のこと。
その後、あの美しいフアランポーン駅は役目を終え、バンスー中央駅にバトンを渡しましたが、バンコク発ノーンカーイ行きの夜行列車は今でも旅人達の心をくすぐります。
その列車での3度目の旅について、しばし綴っていきたいと思います。
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子供達を「家族の始まりの場所」に連れて行きたい
この夜行列車でのラオスへの2度目の旅は、最初の旅から3年後の2005年。ビエンチャンから眺めるメコンの夕日をどうしても見せたくて、妻(となるかも知れない女性)を伴って再びバンコク発ノーンカーイ行きの夜行列車に揺られました。
そして辿り着いたビエンチャンのメコン川のほとりで、彼女に結婚を申し込むという賭けに出て、辛くも承諾されたのです(承諾されていなければメコン川に浮かぶしかありませんでした)。
つまりは、それが今に繋がる家族の始まり。
その時から、この旅には「つづき」がある事を予感していました。予感と言うよりも夢、あるいは計画と言っても良いかも知れません。
いつか子供が生まれたら、家族みんなで再びこの場所を訪れたい、と。
当時の記述を引用します。
兎にも角にもこの旅の大団円が近づいてきた。そして、いつの日か家族でこのメコンの河原を再訪するという計画を、この時密かに心に描いたものである。
旅の終わりは往々にして、新たな旅の始まりとなる。
コロナで諦めかけた18年来の夢
その後2人の子供達に恵まれ、家族4人でビエンチャンのメコン川のほとりを訪れるタイミングを虎視眈々と狙って来ました。
子供達があまり幼過ぎると彼等の記憶に残らない。反抗期に入ってしまうと家族旅行について来たがらなくなる恐れもある。中学受験も考慮に入れなければならない・・・
そう考えて導き出したベストタイミングは、長男が中1、次男が小5になる2021年でした。
しかしそこにコロナが立ちはだかります。
前年より猛威を奮ったコロナ禍の勢いは2021年になっても衰えることはなく、計画は断念せざるを得ませんでした。
文字通り、神を呪いました。
このタイミングを逃せば、もしかすると永遠に望みは潰えてしまうかも知れない。翌年には次男の中学受験勉強が佳境に入ってしまい、その翌年には長男は中3、果たして家族旅行に興味を示すかどうか。
しかし、そこに降って湧いたベトナム赴任の話により事態は大きく一転、再びチャンスが巡ってきたのです。
家族でベトナムへ渡れば、難しい年頃の子供達をラオス旅行に連れて行くハードルは格段に低くなりますし、詳細は省きますが赴任により次男の中学受験問題について悩む必要は無くなりました。
実際にベトナムで暮らし始めて子供達にこの旅の計画を話すと、異国と日本との違いに興味を持ち始めたことも助けてか、「夜行列車乗ってみたい!」といった塩梅で非常に興味を示してくれました。ベトナム生活を通して家族の団結が強くなった事も後押しの要因かも知れません。
こうして、18年前に家族が生まれた地に子供達と訪ねる旅の計画がスタートしました。最初は1人旅、2度目は2人旅、そして今回は4人旅です。
しかし3度目のラオス旅の出発地がホーチミンになるなどとは、18年前には想像だにしていませんでした。
今回の観光プラン | 夜行列車で行くバンコク〜ビエンチャン7日間
今回の6泊7日の旅のプランをご紹介します。
最大の目的地はラオスのビエンチャンであるものの、子供達にとってはタイも初めてなのでバンコクにもそれなりの日数を割いており、バンコクに計3泊、ビエンチャンに2泊、夜行列車1泊となっています。
旅行期間は2023年の旧正月休暇、1月21日〜27日です。
では引き続き旅の記録をお届けしますので、何卒お付き合い頂ければ幸いです。
つづき
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