ベトナム生活編

2025年交通規制強化 – ベトナムの渋滞の「ヌルヌル」は絶滅してしまうのか

こんにちは。テト(旧正月)休暇前の忘年会で飲み会とラーメンが渋滞している10max(@10max)です。

ところでいま、ホーチミンなどベトナム都市部の渋滞が大変なことになっています。

ホーチミン市内の渋滞Apple iPhone 15 Pro (9mm, f/2.8, 1/50 sec, ISO200)

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ベトナムの交通規制強化 – そして渋滞激化とGrab難民

正直、予想外でした。ここまで如実に影響が現れるとは。

これは、2025年1月1日に施行された「政令168/2024」により、交通違反の取締が強化された事に起因しています。

新交通規制の効果、交通違反が約12%減少|ポステ
1月1日に施行された「政令168/2024」に基づき交通違反の取り締まりが強化された結果、全国で17万4650件の交通違反が摘発された。

この記事にある通り、交通違反に対する罰金が鬼のように引き上げられたのです。

この政令では、信号無視や歩道走行などの違反に対する罰金が大幅に引き上げられた。

たとえば、信号無視や歩道走行の場合、バイクでは罰金が従来の80万~100万ドン(約4960〜6200円)から400万~600万ドン(約2万4800〜3万7200円)に引き上げられた。

自動車では400万~600万ドン(約2万4800〜3万7200円)から1800万~2000万ドン(約11万1600〜12万4000円)に引き上げられている。

例えば日本では、普通車の赤信号無視の罰金は9千円ですから、日本より所得水準の低いベトナムにおいてこの罰金額は、まさに鬼のようです。

以前はベトナムの道路といえば、Get wild and toughな都会のジュラシック・パークでした。

ベトナムの歩道を走るバイク

Apple iPhone 12 Pro (4.2mm, f/1.6, 1/120 sec, ISO40)
渋滞時にはバイクが歩道を走る奇跡の国ベトナム

二輪車ならまだ許せますが(と言うのもどうかと思いますが)、四輪車までもが歩道を爆走するサバイバルフィールドでした。

このような、ワイルドな無法地帯だからこそ何とか消化できていた無限のバイクや車の物量を、現代的な交通ルールに無理やり当てはめた結果、こうした危機的渋滞に陥ってしまったのでしょう。悠久の大自然メコンの流れを無理やり隅田川に押し込んだ感じでしょうか。

 

渋滞に加えて、大きな副次的弊害が生じています。それは、この交通規制強化に伴い、Grabなどの配車サービスの車が非常に捕まえにくくなったことです。

巷で言われているのは、上のような鬼罰金があまりにリスクが高すぎることや、渋滞により拘束時間に対する報酬が割に合わないことから、GrabやBeなどのドライバーが仕事を敬遠しているのではないか、という事です。

実は、1月5日に一時帰国先の日本から帰ってきた際に、タンソンニャット空港で全く車が捕まらないという事件がありまして、正月明けの帰越ピークタイミングということで多くの日本人が同じ状況に陥ったようです。

で、この原因は同日夜、サッカーASEANカップでベトナムが優勝したことで人々が浮かれていたためかと言われていたのですが、恐らく取締り強化との複合要因だったのでしょう。

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ベトナムの渋滞は上海、バンコク、ジャカルタの様になるのか

さて、ホーチミンやハノイの渋滞も酷いものですが、上海やバンコク、ジャカルタなどの渋滞はより深刻です。

上海の渋滞はかなり前から深刻で、2011年より、上海市内を走る車をナンバープレートによって規制しているという話は有名です。例えば

  • 何曜日は末尾奇数ナンバー、何曜日は偶数ナンバーしか走ってはダメ
  • 平日朝夕は上海ナンバー以外の車の市内侵入禁止

という感じ(後者は最近解除されたかも?)。

バンコク中心部の渋滞もそれは大変なもので、場所によっては数十メートル進むのに何十分も掛かります。バンコクにも出張や旅行でしばしば訪れますが、ベトナム都市部の渋滞が、ゆっくりではあるものの何故か「ヌルヌルと」謎に進んでいくのに対し、バンコクのそれは「全く動かない」のです。

ジャカルタには行ったことがありませんが、当地在住の方々から、市内の移動に何時間もかかるという話はよく聞きます。

セントラルワールド, バンコク

SONY ILCE-7C (52mm, f/4, 1/100 sec, ISO100)
バンコクの渋滞

やはりキーになるのは、四輪車の普及と交通規制あたりなんでしょうね。

都市部への人口集中・交通集中というのはどの国でも似たようなものですが、これまでベトナムの都市部の渋滞が「まだ耐えられる」ものだった理由として、

  • あるようで無いゆるゆる交通ルール
  • 低い四輪車普及率
  • 割り込み上等の超民度マナー

というのがある気がします。

これまでのベトナムは、信号は有って無いようなもの、そして車両の多くはバイクなので、死ぬほど混雑していて、交差点に次から次へと右から左から無限にバイクが侵入してきて芋洗い状態なのに、「何故か阿吽の呼吸でヌルヌルと進んでいく」感じだったんですよね。

ベトナムに初めて来た頃、これが本当に謎で、

「ベトナム人たちはニュータイプなんじゃないか」

と思ったほどです。

隙間にグリグリとバイクの鼻先を突っ込んで侵入してくる超民度マナーについては、渋滞を誘発しているように思えますが、単純にそうは言い切れない気もしているのです。それがあるからこそ、異常な数の無限バイクがヌルヌルと消化されていき、完全に停まってしまうのを防いでいる、という面もあるように思うのです。

 

さて、では、無限に現れるバイクたちが皆、交差点の信号でピタッと停まるようになったら、どうなるでしょう。

そして、この無限バイクたちが四輪車に置き換わったとしたら、どうでしょう。

 

これらは中国やタイ、インドネシアなどの諸先輩方が通ってきた道です。

前者の交通規制については冒頭の通り、ベトナムでも現実のものとなってきました。

後者の四輪車の普及状況ですが、2022年時点でベトナムの四輪車普及率は5%に過ぎません(二輪車は謎に156%)。これはASEAN諸国でも最低水準で、例えばタイの四輪車普及率は20%程度。言い換えれば、タイと同じ水準になれば、現在の4倍に増えるということです。

仮に今ベトナムを走っている無限バイクの、5台に1台が四輪車になったとしたら、どうでしょうね。ちょっと想像するだけでも恐ろしいですが、少なくともかつての「謎のヌルヌル」は絶滅するでしょう。

ホーチミン4区の渋滞

SONY ILCE-7C (67mm, f/4, 1/20 sec, ISO800)
ホーチミン4区の渋滞

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ベトナムの渋滞解消の行方

これからベトナムの渋滞はどうなっていくんでしょうね。

ベトナムのチン首相はつい先日、早くも渋滞解消への対策を要請しました。

ハノイとホーチミンの交通渋滞、チン首相が緊急対策を要請|ポステ
ファム・ミン・チン首相は、ハノイ市とホーチミン市で深刻化する交通渋滞問題に対応するため、関連機関に迅速かつ効果的な交通管理の実施を指示した。

またホーチミン市も先日、渋滞を加熱させている要因の一つと言われていた「右折詰まり」への対策を迅速に打ち出してきました。

ホーチミン:罰則強化に起因する交通渋滞、矢印信号増設で解消へ[社会]
ホーチミン市交通運輸局傘下の道路交通インフラ管理センターは10日、このところの市内の交通状況を踏まえ、必要な交差点に赤信号時の右折を許可...

鈍重な日本と違い、何しろ実験的に色々手を打つのが早いベトナムのことなので、これからしばらくは様々な変化が見られることでしょう。

本当に目が離せない、面白い国だなと思います。

ホーチミンのバイク駐輪場

SONY ILCE-7C (50mm, f/1.8, 1/400 sec, ISO100)
ホーチミン市内のバイク駐輪場

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