プンルオン竹林でのモン族女性達との宴会の場を辞し、ラパンタンの山上の宿へと帰っていく。どこを切り取っても素晴らしい景色だ。
Apple iPhone 15 Pro (2.2200000286119mm, f/2.2, 1/180 sec, ISO40)
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モン族のおじさんとサトウキビの収穫に行く
宿へ戻ると、バイクドライバーのミーさんとはお別れである。2日間の間、想像以上に素晴らしい体験をさせてくれた。固い握手を交わし、チップを弾む。本当に感謝しかない。
さて、宿の裏手ではおじさんが鎌を研いでいた。宿のオーナーアニキの父君であるようだ。
SONY ILCE-7C (37mm, f/3.2, 1/200 sec, ISO400)
その様子を眺めていると、父君が身振り手振りで何かを語りかけてくる。どうやら、サトウキビか何かを収穫しに行くのでついて来い、というような事らしい。
このようなウルルンな経験、願ってもない申し出なので、意気揚々とついて行くことにしたのだが、これが後に違う意味で大変ウルルンな事態に発展しようなどと、この時は知る由もない。
SONY ILCE-7C (28mm, f/2.8, 1/160 sec, ISO160)
とにもかくにも、棚田の合間の畦道を進んでいく。
ところで、この棚田の畦道というのは遠目で見るのと実際に歩くのとでは大違いで、実は大変恐ろしい。その幅は平均台のように細く、その段差はゆうに身長を超える。
SONY ILCE-7C (30mm, f/2.8, 1/160 sec, ISO160)
しかも土がゆるんでいる箇所などもあり、少々バランスを崩そうものなら2メートル以上の落差を大転落しかねないのである。もちろんぬかるんだ水田なので大怪我を負うことはないにしても、全身泥まみれになることは免れない。
故に最悪の事態を避けるために、崖になっていない方に心持ち重心を傾けつつ歩いたため、何度か田んぼの泥水の中に足を突っ込んだものだ。
そんな高難易度の畦道を、スタスタと歩いていく父君・・・待って・・・
SONY ILCE-7C (38mm, f/3.2, 1/160 sec, ISO250)
遠くには絶景が広がっているのだが、そんなものを見ている余裕はない。というか、ここは通ってもいいのだろうか。
SONY ILCE-7C (38mm, f/3.2, 1/160 sec, ISO160)
絵に描いたような獣道をズンズンと進んでいく。身体中によく分からない擦り傷が付きそうだ。
SONY ILCE-7C (28mm, f/2.8, 1/160 sec, ISO400)
ようやく獣道を抜けたと思うと今度は再び棚田・・・どこまで歩くの・・・サトウキビはどこにあるの・・・
SONY ILCE-7C (28mm, f/2.8, 1/160 sec, ISO200)
お!これはもしや夢にまで見たサトウさん!会いたかったよ!(涙目)
SONY ILCE-7C (28mm, f/2.8, 1/160 sec, ISO320)
サトウキビを研ぎたての鎌でザックザックと刈り取る父君。
SONY ILCE-7C (28mm, f/2.8, 1/250 sec, ISO640)
たくましい。プリミティブな生活では歳をとってもちゃんと仕事があるという事だ。
SONY ILCE-7C (30mm, f/2.8, 1/250 sec, ISO800)
気付けば空は茜色に染まりつつある。いやでも、これ、何時までやるんだろう・・・
Apple iPhone 15 Pro (2.2200000286119mm, f/2.2, 1/100 sec, ISO125)
棚田の絶景の真ん中で、帰り道を見失う
という筆者の心配を知ってか知らずか、父君が、「君は先に帰ってもいいよ」と言ってくれた(ハンドパワーで通じたんだと思う)。
そうだよね、真っ暗になっちゃうもんね。暗闇の中であの崖のような畦道を歩けるのは忍者と父君だけですよ。
という事で、うろ覚えながら来た道を戻っていくことにした。初めて通る道ではないので景色を撮る余裕も出来た。実に美しい。
SONY ILCE-7C (28mm, f/8, 1/30 sec, ISO320)
通った道を戻るだけだし、余裕、余裕。まだ日暮まで時間ありそうだし。
・・・と、あれ?こんな獣道、通った気もするけど、少し様子が違う気も・・・もしかして初めましてですかね?
Apple iPhone 15 Pro (6.7649998663709mm, f/1.8, 1/50 sec, ISO800)
獣道を抜けると・・・えっと、こんな棚田、あったかな・・・(戻る方角と逆なような・・・)。もしかして、初めまして、だったりしますかね?
Apple iPhone 15 Pro (2.2200000286119mm, f/2.2, 1/100 sec, ISO250)
これはまずい。大変まずい。こんなところで道に迷ってしまっては、父君はもちろん、他の誰も通りかからないだろう。
更に悪いことに、携帯が圏外である。Mobifoneはベトナムの田舎ではとんと使い物にならない。

夕闇が刻一刻と近づいている。筆者は忍者ではないので、日が落ちてしまえば歩けない。畦道で野宿しなければならないかも知れない。
これはまずい。大変まずい。
とにかく、通りに出なくてはならない。どこでも良いので道に出れば、人に宿への帰り方を尋ねることも出来よう。
という事で、とにかく民家やバイク通りのありそうな方角へ、ひたすら棚田を横切ったり登ったりしているうちに、何とか民家の鶏小屋の横へ出ることができた。
後で写真の撮影時間で確認したところ、その間、ものの10分も経っていなかったのだが、筆者には何時間もの大冒険に感じられたものだ。
通りに出ると電波が復活したので、Googleマップを頼りに宿へ歩いて戻る。太陽はまさにムーカンチャイの山並に沈んだばかりであった。この時には景色の美しさを再び楽しむ余裕が生まれていた。
Apple iPhone 15 Pro (2.2200000286119mm, f/2.2, 1/100 sec, ISO50)
という事で教訓としては、人生においておじさんにサトウキビ畑に誘われることが何度かあるだろうが、安易について行かない方が良いという事と、行ったとしてもせめて明るいうちに一緒に帰るべきであるということだ。
宿に戻り、予定の3倍ほど美味いビールで1日を締めくくる。
Apple iPhone 15 Pro (6.7649998663709mm, f/1.8, 1/35 sec, ISO1000)
外にはフルカウルのスポーツバイクが2台停まっていた。ベトナム人のツーリング客だろう。
Apple iPhone 15 Pro (6.7649998663709mm, f/1.8, 1/17 sec, ISO1250)
ムーカンチャイ旅の最後の夜が更けていく。野宿じゃなくてよかった・・・
(2024年9月2日の記録)
つづく
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