本日はアヌラーダプラ近郊の「ミヒンタレー(ミインテール, Mihintale)」という町へ日帰りで訪れる予定である。「スリランカの仏教伝来の聖地」とされる実に興味深い町である。
アヌラーダプラから片道14kmほどなのでママチャリで爆走して訪れるつもりであったが、天気が不安定であったため、昨日晩飯を共にした米国人とトゥクトゥクをシェアして行くことになった。二人で往復750Rsと少々高めだが、米国人があまり交渉する気がなさそうなので、日本男児の誇りとして敢えて値切りに入るのを控えることにした。
白い花に祝福される丘
ミヒンタレーには丘がある。
丘の上に「マハー・サーヤ・ダーガバ(大塔)」や「アムバスタレー・ダーガバ」、そしてスリランカ王が仏教に帰依し、この国に仏教が広まる震源地となったと言われる「インビテーション・ロック」などの聖地があるのだ。
丘を登る階段ではプルメリアという名の白い花を咲かせる木々がトンネルを作っており、詣でる人々は白い花々に祝福されるように聖地を目指す。
また、ここでも様々な野生動物たちが出迎えてくれる。猿にオオトカゲ、ちょっと変わった模様のカモの様な鳥や、珍しい虫も見る事ができた。ここでもやはりオオトカゲを見た米国人は「オウ、イグアナ、イグアナ!」と言っていたが、これがイグアナなのかどうかは良く分からない。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/250 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (28.4mm, f/4, 1/80 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (23.4mm, f/3.9, 1/125 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (28.4mm, f/4, 1/80 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (19.2mm, f/3.7, 1/125 sec, ISO0)
マハー・サーヤ・ダーガバへ向かって上る途中に、遺跡があった。これは僧院だか寺院の跡であるようだ。
サンスクリット語で何かがぎっしりと記された石板があり、スリランカ人の少女たちがそれを読んでいた。サンスクリット語はよく分からなかったが、少女たちの笑顔はとても分かりやすかったので写真を撮らせてもらった。
また、細長い石の櫃のようなものがあったので何かと訊いてみると、どうもかつて米櫃として使われていたものであるとのことだ。これはこれで分かりやすい。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4, 1/200 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/3.2, 1/200 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4, 1/320 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4, 1/500 sec, ISO0)
マハー・サーヤ・ダーガバ(大塔)
続いてミヒンタレー最大の仏塔であるマハー・サーヤ・ダーガバへ向かって登る。プルメリアの白い花と緑、そして白い仏塔が織りなす色の組合せがとても穏やかで美しい。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (9.2mm, f/4.2, 1/400 sec, ISO0)
アムバスタレー・ダーガバ
再び白い花を愛でながら登っていくと、アムバスタレー・ダーガバを中心とする寺院に到着する。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/160 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4, 1/250 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4, 1/200 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/3.5, 1/200 sec, ISO0)
インビテーション・ロック
さて、ミヒンタレーのクライマックス、インビテーション・ロックである。こここそが、当時のスリランカ王が仏教に帰依する事を決めたと言われる聖地である。
この地に仏教を広めにきたマヒンダというオッサン(インドの仏教王アショーカさんの息子さんらしい)に、その日鹿狩りをしていたスリランカの王様を引き合わせるべく、山の神は鹿に姿を変え、マヒンダのいるこのインビテーション・ロックへとスリランカ王を誘った。そして気づいたら王様すっかり仏教に帰依しちゃったという実にメルヘンチックな逸話である。
例えるならば、出張先でキレイなお姉さんに誘われてキャバクラに入ってみたら実は宗教団体の店で、気づいたら変な薬を飲まされてすっかり洗脳されちゃった、みたいな話だと思えば分かりやすいだろう(違)。
しかしどうもスリランカでは、ここにしてもアヌラーダプラのロック・テンプル(イスルムニヤ精舎)にしてもシーギリヤ・ロックにしても、何かと巨岩を聖地にする趣向があるようだ。
そのインビテーション・ロックが、アムバスタレー・ダーガバの向こうに見える。
このインビテーション・ロックの上からはミヒンタレーを一望する素晴らしい眺望を楽しむ事が出来、同行した米国人と共に物思いに耽ったものである。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4, 1/320 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (11.3mm, f/4.4, 1/250 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (25.6mm, f/5.5, 1/250 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (23.4mm, f/4.7, 1/250 sec, ISO0)
ミヒンタレーの丘で出会った不思議なものたち
さて、その他ミヒンタレーで出会った不思議でどこか憎めない逸品たちをご紹介しよう。
まずはこちらの黄金の仏像である。C3POにしか見えないのだが、心が汚れているのだろうか。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (14.2mm, f/3.4, 1/125 sec, ISO0)
寺院の入り口では様々なモチーフが出迎えてくれた。危うく素通りするところだったが、これらを一つ一つじっくり見てみると中々趣深い。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/20 sec, ISO0)
こちらはライオンである。さすが、シンハの民の国である。しかし、どうみても人間のおじいちゃんとしか思えない。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/20 sec, ISO0)
何かを支えている男性。しかし表情を見ると非常に嫌々やってる感があからさまに伝わってくる。給料が割に合わないのだろうか。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/25 sec, ISO0)
こちらは上の男性よりも身分が高そうであるが、やはり辛そうな顔をしている。家庭に不和でもあるのだろうか。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/8 sec, ISO0)
日本の仏陀と違い、なかなかリアルで血色が良い。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/8 sec, ISO0)
カレンダーがあった。スリランカのカレンダーは縦に読むのか。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/13 sec, ISO0)
様々な神が祀られた鳥居の様なモノ。サンスクリット語で「トーラナ」と呼ばれる。所謂日本の鳥居のルーツにもなっているようだ。鳥居というと神社(神道)のイメージがあるけど、仏教にもあるらしい。そしてこのトーラナはヒンドゥーっぽい風情もあるが、ヒンドゥー教にもあるらしい。ヒンドゥーと仏教は色々と交差している。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4, 1/250 sec, ISO0)
と思っていたらガネーシャさんがいた。スリランカの人口の1割はヒンドゥー教徒と言われている。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (14.2mm, f/3.4, 1/50 sec, ISO0)
これは・・・この小枝たちで巨岩を支えているのだろうか。中々スピリチュアルである。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/100 sec, ISO0)
そのような塩梅で仏教とヒンドゥー教と神道の狭間でうろついていたらお姉さんがジュースを売っていたので一服する。インドの道端で遭遇して生死の境をさまよう事になった地獄の生絞りオレンジジュースが一瞬脳裏をよぎるが、瓶詰めされているので大丈夫だろう・・・
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/80 sec, ISO0)
その近くで、おっさんがアコーディオンの親戚の様な不思議な楽器を演奏していた。ジュースを飲みながらしばらく演奏会にお邪魔してみることにした。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/60 sec, ISO0)
モビルスーツはともかくトゥクトゥクの性能は大事
ところで今回の日帰り聖地トリップに地味に華を添えてくれたのは、アヌラーダプラからの往復で利用したトゥクトゥクの圧倒的な性能であった。なんと往路だけで3度ほど立ち往生し、それをドライバー自ら適当に直しながら先へ進むというワイルドな有様である。
かつてシャア・アズナブルは「モビルスーツの性能が戦力の決定的差ではないということを教えてやろう」と言ったものだが、今回のような短期集中型の旅では時としてトゥクトゥクの性能がスケジューリングの決定的差となり得るので注意したい。まあ今回は特に急いでいなかったので、むしろ面白い経験ができて良かったのだが。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/3.2, 1/250 sec, ISO0)
予定を繰り上げて路線バスでポロンナルワへ
さて、このトゥクトゥクは中々大変な乗り物であったが流石に当初予定していたママチャリよりは早かったと見えて、想定外に昼過ぎにはアヌラーダプラへ戻る事ができた。そこで筆者は、急遽予定を繰り上げてこの日中にポロンナルワを目指すことにしたのである。ここで時間を浮かせられれば、今後のスケジュール設計が非常に余裕のあるものとなる。
高性能トゥクトゥクをシェアした米国人や、柳沢慎吾似のボーイと別れを惜しみつつ「シャリニ・ホテル」を後にし、ニュー・バスターミナルへ向かう。アヌラーダプラからポロンナルワまではいわゆるローカルな路線バスしかないため、ボロボロのバスにゴッタ煮にようになって行くわけである。そしてどこからともなく人が乗ってきては、突然道ばたで降りたりという、あのアジア風のやり方で田舎道を進むのである。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/160 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (9.2mm, f/4.2, 1/250 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/8 sec, ISO0)
バスに揺られる(文字通りかなり揺られる)こと約3時間、ポロンナルワの町に近づいた頃、周りの席のオッサンが
「この辺に宿がいっぱいあるぜ。降りたらどうだい」
と教えてくれたので、アジア風に突然運転手に対してわめき声を上げて降車する。
最初に声をかけてきたトゥクトゥクのオッサン(偶然だが「マヒンダ」という名前らしい。仏教を布教されるかと思ったが、特にそういった素振りは見せなかった)に「Palm Garden」を紹介され、連れていってもらう。送迎のトゥクトゥクは無料。雨なので適当に決めてしまうつもりだったが、行ってみると予想以上に清潔。エアコン無し/コールドシャワーで1200Rsは若干高いが、清潔さとマヒンダの人柄に惹かれて投宿。(後で彼とはケンカしちまうのだが)
今夜のカリーもまた格別。アヌラーダプラの宿のカリーとはまた具材も味付けも異なるようである。時折通り過ぎるスーパーカブの「ウイーン、ガシャン、ウイーン」というエンジンとシフトチェンジの音が、日本の新聞配達を思い出させる晩餐であった。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/60 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4, 1/60 sec, ISO0)
[2004.9.26]
ミヒンタレー(ミインテール)の位置
アヌラーダプラから14km。トゥクトゥクをチャーターするのが一般的。
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