旅コラム/旅カメラ

旅と仕事の違い:異文化を知るという事について

先日「独身時代を終えて『家族持ち』というライフステージに入った後の、旅との関わり方にはどんなものがあるのか?」という話をしました。

家族を持った「元旅人」の旅との関わり方について【僕らが旅に出る理由】
一度旅の魅力に憑りつかれてしまった人は、余程の事が無い限り生涯において何らかの形で旅を続ける事が多いのではないでしょうか。何もバックパック一つで自由に海外をほっつき歩くようなものだけが旅の全てではありません。ライフステージに応じて形を変え、...

僕もかつてはバックパックを背負ってアジアを自由にブラブラしていましたが、子供が生まれてからはそういう訳にもいかず「海外と関わる仕事を選ぶ」という形で生活の中に「旅風味」を残しています。

そうして自由旅行に代わり仕事を通じて様々な国やそこに住む人々と関わってみると、実は旅行で訪れるのとはかなり違う種類の面白さがある事に気づき始めました。異文化に触れる/知る上で、旅と仕事とでどんな違いがあるのか、自分の頭の整理も兼ねて少し綴ってみます。

Apple iPhone XS (4.25mm, f/1.8, 1/25 sec, ISO500)

仕事で関わる人は旅行者とは無縁の人たち

海外関係の仕事をする前にも、旅の中で様々な現地の人々と触れ合ってきました。しかし旅行の場合、たとえ個人旅行であったとしても現地で会話を交わす人々の多くは、宿やレストラン、観光地にいる人々や、旅人相手の乗り物関係など、普段から旅行者と触れ合う人である場合が多いでしょう。もちろんちょっとした挨拶くらいなら別ですが。

他に意外と会話を交わすことが多いのは、他の旅行者でしょうね。これはこれで非常に楽しいものです。

それらの出会いももちろん非常に貴重であり、旅先でなければ得られない非常に得がたい経験です。むしろ、特に一人旅の場合にはそうした様々な人との出会いこそが最大の魅力ではないかと筆者は思っています。その辺りについてはこの記事をご覧ください。

海外一人旅の魅力 | 一人旅は出会いと日常を三倍充実させる
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一方で、仕事で関わる人たちはそうではありません。それまで海外の人とほとんど話したことが無かった人々も少なくなく、また客とサービス提供者、といった関係でもなく、より対等でフラットに近い関係でのコミュニケーションになるという事が言えます。

もっとも、やはり僕がその国に出張で訪れたりした際には彼らも「ホスト国」という意識で色々おもてなししてくれるので完全に対等では無いのですが(彼らが日本に来た時も同じ)、少なくとも「商売」という意識はない訳です。

同じ「サラリーマン」「一般市民」としての生の価値観・生活感

ではそうした関係だと、会話などの内容はどう違うのでしょうか。

仕事で関わる彼ら/彼女らとの会話の内容は多岐に渡ります。最も大部分を占めるのはもちろん仕事の話です。しかしそれだけでも実に多くの発見があります。

例えば締め切りについて、作業の進め方や精度について、あるいは上司部下といった同僚との関係についての考え方など、旅では中々知る事の出来ない、同じサラリーマンとしての「生の文化や感覚」に触れる事が出来るのは非常に面白いです(もちろんさらに深く関わると同じ国の人でも個々人で全然違ったりはするのですが)。

仕事の話だけではありません。彼らと食事に行ったりすると、よりプライベートな話になります。子供の教育の話や結婚観、大陸中国に対する印象の話、自家用車のホンダの話・・・こうした、自分と同じいわゆる中産階級のサラリーマン/ウーマンの価値観や生活感などは、旅の中では中々触れる機会に恵まれません。

旅行者が決して訪れないローカルな店など

現地の同僚とランチや夕食に行くと、ガイドブックには載っていない&現地語しか話せないその辺の食堂にサラッと連れて行ってくれます。

しかも、仲良くなると、旅行者がよく利用する主要な駅や宿屋街とは無縁の、郊外の住宅街の中にある地元の人しか訪れない隠れた名店に連れて行ってくれることもあります。

僕は昨年、たまたま誕生日をマレーシア出張中に迎えたのですが、どういうルートでかそれを知った現地の同僚が、旦那さんと一緒に自宅近くのマニアックなワンタンミーの名店やサテー発祥の地と言われる町のフードコートなどに連れて行ってくれてお祝いをしてくれたのです。

※下の記事の「YULEK WAN TAN MEE」というお店がそれです。

404 NOT FOUND | 旅恋写【リョコウシャ】
ベトナム駐在記・旅行記・旅情報・コラム

こうした経験も仕事で現地に入り込む醍醐味ですね。

YULEK WAN TAN MEE クアラルンプール ワンタンミーApple iPhone XS (4.25mm, f/1.8, 1/120 sec, ISO100)

その国の政治や経済・宗教の理解を深められる

ある国で事業を行う、あるいは取引をするということは、その国の政治や経済の状況によって自分の仕事の業績が左右されるという事になります。なので当然ながらそうした情報を得る機会が増える訳です。

政治経済と言ったってアカデミックな難しい話ばかりではなく、非常に興味深いものも沢山あります。例えばその国独特の休暇やお祭り期間中の市民の動向や習慣、スマートフォンでどういったアプリが流行っているのか、日本で言えば●●Payみたいなものの流行など、あるいは最近で言えば新型コロナウイルスに対する対応や感染状況といった事も自然と理解出来てきます。

昨年マレーシアではマハティールさんという非常に長い期間首相を務めてきた人物が辞任しましたが、彼が国民から「Tun M」とという最高敬称で呼ばれて敬われつつもたまに風刺的に扱われる模様を知ることが出来ました。

マハティール首相柄の交通カード

Apple iPhone XS (4.25mm, f/1.8, 1/35 sec, ISO400)
マハティール首相柄の交通カード

Apple iPhone XS (4.25mm, f/1.8, 1/35 sec, ISO320)
今年初めの現地会社のYear End Partyのドレスコードに合わせて急遽現地で購入したマハティール首相Tシャツ

まあこれらのモノをせっかく買った直後に辞任してしまったのは無念過ぎますけどね(笑)

さいごに:多様性、楽しむか楽しまないかは、あなた次第

色々書きましたが、結局のところこうした現地の文化や習慣を理解して楽しめるかどうかは、自分が興味を持てるかどうか次第、という部分もあります。

仕事で関わっているのだからそんな事まで知る必要はない、という考え方もあるかも知れません。そして、異なる商習慣や労働習慣の人たちと慣れない英語で行う仕事はやはり非常に難しく、思い通りに行かず苦労も絶えません。さらに、現地に駐在して奮闘している同僚の愚痴を聞くに、彼らの苦労はさらに大変なものだと思います。

しかし、だからこそ、どうせ仕事でずっと関わるのなら、同僚とコミュニケーションを深めたり色々なものに興味を持って異なる文化を楽しんだ者勝ちだと思っています。多様性を理解し、受け入れて、議論を尽くして分かり合うことで、仕事だって少しはスムーズに進むに違いありません。

さあ、旅人根性の発揮のしどころです。海外と関わる仕事、旅好きなら興味が出て来たんじゃないでしょうか^^

 

※旅好きが高じて転職した話はこちらをご覧ください。

「好きな事を仕事にする」の「好き」を「マインドセット」で考えてみる 〜 旅好きが高じて「バックパッカーの様なマインドセット」の仕事に転職した話
筆者の場合「より楽しい仕事」を探したら「旅の嗜好」と重なった 筆者は2年ほど前に転職をしました。 転職活動は「よほど希望に叶う案件があれば」というスタンスで2年ほどかけて気長に吟味しながら行いました。というのも、前の職場や会社が嫌だったとい...

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