旅コラム/旅カメラマレーシア

「マレー人は怠惰」説と「ベトナム人は勤勉」説について

こんにちは。日本人で怠惰上位5%に入る自信満々の10max(@10max)です。

あまり好きなフレーズではないのですが、昔からよく「マレー人は怠惰」だとか「ベトナム人は勤勉」だとか言うじゃないですか。ステレオタイプ的に。

で、きっと多くの人が

「マレー人が怠惰?いやおま、怠惰っつったら中華系以外の東南アジアの人なんて大体そうだろ」

だとか

「ベトナム人が勤勉とか!一回ベトナム人と働いてみ?もう適当すぎて(ry」

だとか

「いやいや日本人が働きすぎなんだべらんめぇ」

などと、何かしらスッキリしない感触を抱く人も少なくないでしょうし、そもそもあまりに主語が大きく、ある一面しか捉えていないような感じがして、筆者的にも、ちょっとどうかな、と思う表現ではあります。

 

ただ、この説に関して最近少しだけ思うところがありまして。「もしかしたらこう言う捉え方なら当てはまる部分もあるんじゃないか」って。

ベトナムに住んでみて、マレーシアに何度も足を運んでみて・・・両者を比べてみることで初めて、何となく感じることがあるのです。どちらが良いとか悪いとかではなく、「違い」という意味で。

クアラルンプール ブキッビンタン Bukit Bintang ストリートライブ E-M1 Mark II LEICA DG SUMMILUX 25mm / F1.4 ASPH.

OLYMPUS E-M1MarkII (25mm, f/1.4, 1/60 sec, ISO200)
クアラルンプール、ジャラン・アローにて

つい先日クアラルンプールでこんな事がありました。KLタワーのお土産屋での一幕。

長男がTシャツを買いたいということで、ヒジャブを被った女性店員に声をかけると、

「サイズは何?L?M?」

と言うわけです。身長170cmの長男、Lかな〜という感じなのですが、一言でLやMと言っても国によってまちまち(ベトナムの市場のLは日本のLよりだいぶ小さい)。そこで

「えーと、Lだと思うんだけど・・・身長は170cmくらいかな」

と伝えたのですが、ヒジャブ氏、

「身長を言われても分からないわ。Lなの?Mなの?」

と出てこられ、少々面食らいました。それが分からんから相談してるのに。と言うか、こちとら買いたいんだからもっと売り込んでくれよ。

このヒジャブ氏は、客とのコミュニケーションを拒絶してしまっており、つまりは商売への情熱がほぼ感じられないんですね。まあ別に体に当てれば大体分かるので、買い物自体は何の問題もなく遂行出来たのですが。

 

で、この出来事は、これまで何となく感じていた、マレー系マレーシア人(所謂ブミプトラ)が発する空気感、そしてベトナムあるいは中華系の人々との根本的な違いみたいなものを象徴しているような気がしたんですよね。

 

例えばこのTシャツ屋の例で行くと、これがベトナムの市場あたりなら間違いなく

「170cmね!オーケー!170cmなら、XL、オーケーオーケー!」

などと、正しいかどうかはともかく積極的に提案して来るに違いない、と思うのです。

ローカルの飲食店に行って満席なら、「OKOK!」と言いながら、奥の方からプラ椅子を持ち出して来てよく分からない場所に席を作り出し、何とか食べさせようとしてくれる。

つまり、何とか客にものを買ってもらおう、食べて貰おう、という熱意を感じるのです(スーパーやコンビニなんかのアルバイトや雇われ社員とかはむしろ無愛想だけど)。

一方で、マレー系マレーシア人は全般的におっとりしている人が多いというか、商魂が薄いような、言い方を変えれば、客と接する基本的な姿勢がベトナム・中華系とは少し違う感じがするんですよね。なので同じマレーシアでも中華系の人の店に行くと、心なしか安心感があります。

揚げ物, Chợ Tân Mỹ(タンミー市場)内部の食材売り場, ホーチミン

SONY ILCE-7C (28mm, f/5.6, 1/30 sec, ISO1250)
ホーチミン、タンミー市場にて

「マレー人は怠惰」「ベトナム人は勤勉」というステレオタイプが、どういう文脈で言われるようになったのかは分かりませんし、実に誤解を招きそうな表現なのですが、ただ、これがもし「商売に関する姿勢」と言う意味であれば、何とは無しに当てはまる気がするのです。もちろん例外や個人差はあるにせよ。

更にこれが中流階級以上になると、目先の商売だけでなくキャリアにも関心が向きます。ベトナムでは「留学してキャリアアップしたい」「国内外の飲食店で一生懸命修行していつか自分の店を持ちたい」と言った自分への投資意欲を持つ若者が少なくありません。マレー系マレーシア人はどうなんでしょうね。

 

マレー系マレーシア人にこうした、よく言えばおっとりとした、ガッツきの無い雰囲気があるとして、それが何に由来するものなのかは分かりません。

宗教の違い、つまり仏教や儒教をベースとするベトナム・中華系と、ムスリムであるマレー人、というところに所以があるのか。あるいは、進学、就職、税金などでマレー人を優遇するブミプトラ政策の影響なのか。あるいは両方なのか。(筆者の浅い知識では、イスラム教は商売を励行していると思うので、後者の影響が強いのかなあ)

同じ国にありながら、マレー系、中華系、インド系で全く異なる表情を見せる国、マレーシア。実に興味深い国です。

 

ほんの表面だけを見てあれこれ言うのも気が引けるですが、色々な国に住んだり旅をしたりすると、間違いなく肌で感じるものってありますよね。それには正解も不正解も存在しないから、色々な見方が出てくる。分からない部分があるから、あれこれ妄想が巡る。

だから旅は面白いな~と思うのです。

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