今日はナザレからポルトへ向かう。ポルトは「ポルトガル」という国名の起源ともなった古い街であり、同時にポルトガル第2の規模を誇る商工業の中心でもある。
ローマ帝国時代、ポルトを含む一帯は「Cale(カーレ)州」と呼ばれており、特にドウロ川の河口は港(Portus)であったため、「Portus Cale」と呼ばれ、現在の国名の由来となったという。その逸話だけでポート・ワインを5杯くらい飲めそうではないか。
本記事ではドウロ川とドン・ルイス1世橋が織りなす美しいポルトの風景と人々の日常をお届けし、次の記事で建築物や教会等の見どころやその他の町の風景をご紹介する予定である。とにかくポルトの魅力の象徴のような美しく癒される場所なので、ポルトに来たらまずはこのドン・ルイス1世橋を目指して頂きたいほどである。
ナザレから列車でポルトへ
ナザレからポルトへは、ローカル列車を3度乗り継いで向かう。時間にして4時間から5時間程度だろうか。
このナザレ最寄りのValado駅のように、地方の駅は殆どが無人駅で、駅に着く度に車掌が外に出て乗ってくる人を確認する。しかしその割に駅舎だけは古くても立派で、どんなに小さな駅でも白壁に美しいアズレージョが施されている。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/9, 1/200 sec, ISO100)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/7.1, 1/160 sec, ISO100)
ポルトの玄関、サン・ベント駅が既に芸術
曇りがちだった空も北へ向かうにつれて青空がのぞくようになってきた。そして真っ青な空の下、ポルトに到着したのは14時半。日の長いこの国ではまだまだ市内を一回り観光できる時刻である。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/6.3, 1/100 sec, ISO100)
ポルトの鉄道の玄関口はサン・ベント駅である。
駅のホールには壁一面にアズレージョが飾られており、駅自体が既に芸術の塊である。ポルトの歴史上の重要な出来事が描かれているようだ。この壮大さを見た後なら、田舎の無人駅にすら美しいアズレージョが飾られているのも何ら不思議ではないと感じる。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/4, 1/40 sec, ISO100)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/8, 1/200 sec, ISO100)
ホテル(クオリティ・イン)にチェックインして近くのカフェでビールと昼食をとる。
この、エブリデイ×オールタイムビールを飲んでも完全に罪悪感と無縁で居られる感覚は実に素晴らしい。やはり旅は素晴らしい。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/5.6, 1/100 sec, ISO100)
サン・ベント駅の位置
ドン・ルイス1世橋からポルトの街と生活を眺める
ポルトに着いたら何はともあれドン・ルイス1世橋を目指すべし、というのは誰の遺言であったか(嘘)。しかし、ドン・ルイス1世橋こそ、ポルトという街の全貌を把握し、その風情を感じるのに最適な場所である。
ルイス1世橋は上下二段になっていて、上はメトロ&歩行者用、下は自動車&歩行者用となっている。上側では、人々が歩くすぐ横を電車が走っているのが恐くもあり面白くもある。
この大胆な2階建てのドン・ルイス1世橋はなんと1886年に造られたというから驚きである。坂の多いポルトでは川を渡るのにいちいち川岸まで下り、渡った後に再度坂を上る、という修行が必要になるため、このような二階建ての橋が考案されたのであろう。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (23mm, f/4.6, 1/400 sec, ISO100)
ドウロ川とポルトの絶景
ポルトの景観は、何といってもドウロ川とそれに沿った美しい街並みを抜きには語れない。教会やカテドラルの尖塔をアクセントに、坂道にしがみつくように並ぶ赤い屋根。そして青い空。
橋の上からどこを見ても漏れなく絶景なので、ついつい立ち止まって写真を撮影せざるを得ない。そのため橋を渡り終えるのにずいぶん時間がかかるので注意して頂きたい。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (42mm, f/10, 1/250 sec, ISO100)
ドウロ川南岸のワイナリーと帆船(ラベーロ)
サン・ベント駅の方からドン・ルイス1世橋を渡ったドウロ川の南岸ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア地区には、サンデマンやカレムといった老舗のワイナリーが並ぶ。このドウロ川の上流にはブドウ畑が広がっており、そこで採れたブドウ、あるいは醸造されたワインが、ポルトガルが世界に誇るポートワインという訳である。
その運搬に使われた帆船はラベーロと呼ばれ、今は一種の広告塔としてワイナリーの前に浮かんでいる。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (18mm, f/10, 1/250 sec, ISO100)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/8, 1/160 sec, ISO100)
ドウロ川で憩うポルトの人々
ドウロ川河畔のカフェでビールとグリーンワインを飲みながら、前菜としてテーブルに出されているチーズや、茹でた海老、パンと魚のペースト、オリーブの実などを食す。至福の時間である。
むろんこれらの前菜は日本の居酒屋のお通し同様キャンセルして、好きなものを頼むこともできるが、これらが口に合うのであれば、軽く済ませたいときは飲み物だけ頼めばよいので便利である(前菜とはいえ意外と値が張ることもあるので値段は要チェックである)。
※以下は翌7月18日撮影のものを含む
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/3.5, 1/4000 sec, ISO1600)
ドウロ川はポルト市民の憩いの場でもある。午後のドウロ河畔では、多くの老若男女が憩いの時を過ごしており、緑色の川の流れと、対岸に並ぶワイナリーの白壁の建物、ルイス1世橋のシルエット、それを背景に憩う人々を眺めながらのビールは実に格別な時間である。東京でこのようなひとときを過ごせる場所といえば、どこがあるだろうか。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (42mm, f/5.6, 1/500 sec, ISO100)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (42mm, f/5.6, 1/500 sec, ISO100)
日光浴をしている少年が居る。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (42mm, f/5.6, 1/400 sec, ISO100)
よく見るとそばに「もう、仕方ないわね~」とでも言いたげな母親らしき女性が立っている。手に持っているのは・・・靴・・・?
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (23mm, f/4.6, 1/640 sec, ISO100)
どうやら少年たちは橋からドウロ川へ飛び込んで遊んでいるようだ。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (18mm, f/6.3, 1/125 sec, ISO100)
この少女たちは「もう、ほんと男子ってガキなんだから」とでも言っているのだろうか。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (150mm, f/5.6, 1/500 sec, ISO100)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (90mm, f/4.9, 1/640 sec, ISO100)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/11, 1/1250 sec, ISO1600)
ドン・ルイス1世橋の位置
ドウロ川とドン・ルイス1世橋が織りなすポルトの風景は実に素晴らしいものであった。
次の記事ではポルトのその他の観光名所や街の風景をお届けしたい。
(2007年7月17、18日)
ポルトの位置
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