さて、ポルタス・ド・ソル広場で青空ビールを満喫し、引き続き路面電車トラム28番でリスボン市内を巡る。
この日の本命はケーブルカー「ビッカ線」
この後、個人的にリスボンで最もポルトガルらしい風情を感じた、石畳の坂道を昇降するケーブルカー「ビッカ線」を訪れるのだが、ビッカ線の駅に辿り着くまでに他のいくつかの名所を回っていくとする。
まずはカテドラルとエストレーラ聖堂へ
トラム28番でポルタス・ド・ソル広場を出発すると、間もなくカテドラル(リスボン聖堂)が見えてくる。二本の塔が目印となっている。
カテドラルは元々イスラム礼拝堂があった場所に当たる。イスラム教徒からリスボンを奪回した直後の1147年に建てられたもので、砦の用途も兼ねていたらしく頑丈な造りとなっている。
建物内では美しいステンドグラスで作られた天窓や装飾を見ることが出来る。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/5.6, 1/320 sec, ISO100)
カテドラル(リスボン大聖堂)の位置
さらにトラム28番を西の方へ進んでいく。古いながらも凝った装飾の建物が多い。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/5.6, 1/80 sec, ISO100)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/6.3, 1/100 sec, ISO100)
時間があったのでトラム28番の西の端の方にあるエストレーラ聖堂まで進んでいく。
エストレーラ聖堂は1779年頃に建設が開始された白亜の教会である。先ほどのカテドラルと比べると確かにかなり新しく感じるが、それでも200年以上の歳月を経ている。
夜間にはライトアップされるらしいが、今回は見ていない。
エストレーラ大聖堂の位置
トラム28番で東へ折り返し、カモンイス広場まで戻って昼食を摂ることにする。この後のお目当てのケーブルカー「ビッカ線」の駅がその付近にあるのだ。
カモンイス広場の付近はテラスを広げたレストランで賑わっており、ランチにありつく場所を探すには格好の場所である。
なお、「カモンイス」というのは椅子の名前ではない。ポルトガル最大の詩人と言われる人の名である。詩人に最大だとか最小だとかが冠される辺りに文化・芸術大国の片鱗を感じる。椅子の名前だとか馬鹿なことを言っている場合ではない。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/3.5, 1/25 sec, ISO400)
カモンイス広場の位置
ケーブルカー「ビッカ線」のリスボンらしい風景に感動
さて、いよいよ大本命のケーブルカー「ビッカ線」である。
「陽の当たる坂道に憧れて」ポルトガルへやってきた訳であるから、そんな坂道を古臭い(失礼)ケーブルカーがえっちらおっちらと昇り降りするスポットを訪れないわけには行かない。
石畳の住宅街とテージョ川に完璧に溶け込むビッカ線
カモンイス広場から徒歩で数分のところにケーブルカー「ビッカ線」の頂上側の終点駅がある。なお、ビッカ線の頂上駅のすぐそばにもトラム28番の駅はある。
そこで目に飛び込んできた風景がこれである。
まさに脳内で勝手に思い描いていたポルトガルの風景がそこにあった。
狭い石畳の坂道。それを挟むようにごちゃごちゃと並ぶ白壁の建物。風にはためく洗濯物。そして坂の向こうには青いテージョ川。その風景の中に、これ以上馴染むデザインは他に無いだろうと思うほど自然に溶け込むレトロなケーブルカー。
完璧すぎる絶景に、もう日本へ帰っても良いと思ってしまうほどであった(それは言い過ぎ)。
リスボン市内にはビッカ線含め3本のケーブルカーの路線があるのだが、このビッカ線沿線が最も生活感に溢れており、また坂の向こうにテージョ川が美しく見えるという点で非常にお勧めである。
ビッカ線のデビューは1892年!
リスボン市内にはビッカ線に加え、ラヴラ線、グロリア線という計3本のケーブルカーが運行しており、最も古いラヴラ線は1884年運行開始、そして最も新しいビッカ線でも1892年開業というから驚きである。
リスボンは「7つの丘の街」と呼ばれるほど坂の多い街として知られている。そんなリスボンには階段やエレベーターなど坂での暮らしを助ける設備が至るところに見られるが、ケーブルカーも100年以上前から重要な市民の助けとなってきたのだ。
ビッカ線は総延長245mを15分間隔で運行
リスボン市内のケーブルカーはいずれも200〜300m程度の距離である。このビッカ線も245mと、乗っている時間はあっという間である。
そこを2台のケーブルカーが15分間隔で、頂上と麓の中間地点ですれ違う形で行ったり来たりする訳である。
頂上には駅舎のようなものは無いが、麓には一応駅舎がある。麓駅の傍には路面電車トラムの25番線が走っている。このビッカ線というケーブルカーは路面電車トラムの28番線と25番線を結ぶ役割を果たしているのだ。
運行速度は非常にゆっくりで、下の写真の様に人や車が余裕をかましながらウロウロしていても全く危なげがない。
長い梯子を立て掛けて何か作業をしている人がいるが、流石にそれは危ないんじゃなかろうか。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (70mm, f/4.6, 1/500 sec, ISO100)
非常に短い時間であったが、ポルトガルの趣を濃密に感じることが出来たビッカ線であった。リスボンへ来訪の際には忘れずに訪れて頂きたいスポットである。
ケーブルカー「ビッカ線」の位置
赤いポイントが頂上駅で、ビッカ線はそこから南に向かって走り、下の方の「Elevador da Bica」が麓駅である。頂上駅が面するロレト通りをトラム28番が走り、麓駅が面する通りをトラム25番が走る。
なお、コロナ禍の影響で運休している可能性もあるので、来訪の際は最新情報をご確認頂きたい。
この後、夕刻にかけてサン・ジョルジェ城を訪れる。
(2007.7.14)
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