朝から天気がよろしくない。
今日はロカ岬へ向かう。ロカ岬はユーラシア大陸が尽きる西の果てである。
この響きだけでサグレスビールを10本くらい飲めそうな風情ではないか。
リスボンからシントラまで国鉄で行く
ロカ岬へ行くには、リスボンのエントレカンポス駅から国鉄でシントラに向かい、そこからロカ岬までローカルバスに揺られる事になる。この時点ではまだ雨は落ちてきていない。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (37mm, f/5.4, 1/80 sec, ISO400)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/5.6, 1/80 sec, ISO100)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/5.6, 1/100 sec, ISO400)
雨のロカ岬
ローカルバスに揺られているうちに霧雨が窓を濡らし始め、ロカ岬に到着した時分には完全なる雨となった。
しかし雨だからと手をこまぬいている訳にはいかない。何しろここはユーラシア大陸の西の果てである。ポルトガルでは最も降水量の少ない7月にまさか使うとは思っていなかった傘を広げ、果ての中の果てへ向かう。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (29mm, f/8, 1/250 sec, ISO100)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/8, 1/400 sec, ISO100)
ここに地果て、海始まる・・・
岬の突端には、ポルトガル最大の詩人カモンイスが詠んだ詩が刻まれた石碑が建っている。昨日リスボンで昼食を摂ったカモンイス広場の名にもなっている彼である。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/8, 1/250 sec, ISO100)
詩人曰く、
“AQUI…… ONDE A TERRA SE ACABA E O MAR COMECA” – 「ここに地果て、海始まる」
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/7.1, 1/160 sec, ISO200)
海が始まる前に既に雨でずぶ濡れですが・・・
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (33mm, f/8, 1/250 sec, ISO100)
西洋人というのは何をしていても絵になるものである。
筆者も対抗してみたがどうも滑稽である。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/8, 1/200 sec, ISO100)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/9, 1/250 sec, ISO200)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (29mm, f/8, 1/200 sec, ISO100)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (42mm, f/8, 1/100 sec, ISO100)
しかし浪漫である。遥か中国、ロシアから続く広大なユーラシアの大地が、ここで尽きるのだ。
確かに、雨に煙る大陸の果て、それはそれである種のサウダージ(憂愁)に駆られずには居られない。しかしその雨と霧のために大西洋の海原さえも茫洋としか見えないとなると、これは憂愁どころの騒ぎではない。
そのあまりの切ない雨のロカ岬の光景を、カメラを水滴から庇いつつ写しとりながら、シントラへに戻るバスを待つこと3時間。
待つうちに、同じバス待ち小屋におられた日本人シェフのNさんと会話を交わす。Nさんはパリで和食の料理人として働きつつ、休みをとってポルトガルへ小旅行へ出掛けてきたといういう。若いうちに世界で経験を積み、やがて彼女の待つ日本で腰を落ち着けて店を開くのが夢らしい。小雨のロカ岬の最後にいい話を聞かせてもらった。
これからセジンブラに向かうというNさんと別れ、シントラの町へ戻る。車中、最終日に何とか旅程を工夫してもう一度ロカ岬を訪れることを心に誓う。雨に濡れそぼる大陸の果ても悪くはないが、やはり陽光に輝くロカ岬と、そこから始まる真っ青な大西洋をどうしても見てみたかったのだ。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (42mm, f/5.6, 1/80 sec, ISO400)
(2007.7.15)
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