こんにちは。シチューというと冬の家路を思い出す10max(@10max)です。
しかし、南国ベトナムにもシチューはあります。サイゴンの地にてフランスとベトナムの文化が融合することで生まれ、ベトナムの食材や暑い気候に最適化されて育った、ベトナム版ビーフシチューとも呼ばれる「ボーコー(Bò Kho)」です。
本記事では、サイゴンの町で牛肉を煮込み続けて40年のホーチミン1区の老舗、「Bò Kho Cô Mai」をご紹介します。
実はこのお店、図らずも筆者のベトナム生活において記念すべき店でもあるのですが、それは最後に・・・
※ホーチミン市内のローカルグルメのまとめはこちらを御覧下さい。
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ホーチミンのボーコーひと筋40年の老舗「Bò Kho Cô Mai」
「ボーコー(Bò Kho)」とは即ち「牛肉(Bò)の煮込み(Kho)」。フランス植民地時代のサイゴンで生まれた料理です。
麺フェチなので「フーティウじゃ」「小麦麺じゃ」と浮かれて、当初は勝手に麺料理かと思っていましたが、主役はあくまでも「牛の煮込み」です。
その意義が最近よやく分かってきました。
職場から至近ということもあり、この「Bò Kho Cô Mai」に最近ハマっているのですが、癖になるのはホロッホロの牛肉なんですよね。この触感、ベトナムでは他にあまり無いんじゃあないでしょうか。だから中毒性があるのかも。
ぶっちゃけベトナムの牛肉って全般的に固いんです。ベトナム料理の牛肉代表と言えば「フォー・ボー(牛肉フォー)」ですが、牛肉がちゃんと柔らかいフォーを出す店は、例えばこちらの名店など一部に限られており、意外と少ないというのが個人的な実感。
その様な中、1984年創業以降、サイゴンの街で約40年も「牛肉煮込み」を生業としてきただけあって「Bò Kho Cô Mai」の牛肉はホロッホロなんです。蕩けるような感じではなくちゃんと筋が存在していた形跡はあるのですが、上手い事ホロホロと口の中でほぐれていく不思議。
もっとも、それほど多くのボーコー屋を渡り歩いてきた訳では無いので、他がどうなのかは分かりませんが、ここの牛肉は間違いなくホロッホロです。
アクセス:観光の中心ホーチミン1区に2店舗
職場の近くにあって筆者が通っているのはこちら。歩行者天国のグエンフエ通りやサイゴンスカイデッキのあるビテクスコフィナンシャルタワーのすぐそばです。
Bò Kho Cô Maiの公式HPによるとホーチミン中央郵便局の裏手の方にも一軒あるようです。もしかしたらこちらがオリジナルかも知れません。
なお、店舗で出てくる公式おしぼりによると、他にも店舗がある的な風合いがありますが、Googleマップにも出てこないので、過去に拡大した店舗網を上の2店舗に整理したのかも知れません。
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外観と店内
こちらが、筆者が通っているビテクスコ・フィナンシャルタワー近くのお店。ベトナム式で細長い店舗です。「道路に面している幅で税金が決まるから」とかなんとか聞いたことがあります。
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店内は常にベトナム人客で混雑していて、12時ちょっと過ぎるとほぼ満席になっていることが多いです。
なお、客席はここに見えているだけでなく、右奥から更に奥にもここに写っているのと同じくらいの広さの客席があります。めっちゃ広いやん。税金は道に面している幅で決まるらしいですから・・・
Apple iPhone 12 Pro (4.2mm, f/1.6, 1/50 sec, ISO320)店内は中々オシャレです。調度品などもかなり凝っています。
Apple iPhone 15 Pro (6.86mm, f/1.8, 1/50 sec, ISO250)これはMaiおばさん一家の写真でしょうか。
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メニュー
メニューはシンプルに「Bò Kho(牛の煮込み)」一本勝負で、そこに投入される麺もしくはパンの種類を選ぶ形です。麺は大きく分けて白い米粉麺と、黄色い小麦麺(中華麺)の2種類。
- パン
- Banh mi (Baguette)
- 米麺
- Hu tieu mem (Rice (white) nuudles):柔らかい米麺
- Hu tieu dai (Vermicelli noodles):コシのある米麺
- 小麦麺
- Mi tuoi (Yellow noodles):生小麦麺
- Mi goi (Instant noodles):インスタント小麦麺
そしてこれらのラインナップを基本に、組合せのコンボという感じ。下のメニューを見て頂くと分かる通り、小麦麺については「生小麦麺+インスタント小麦麺」か「生小麦麺+米麺」の組合せしか選ぶことが出来ません。
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どれを選ぶかはもう気分と好み次第としか言いようがありませんが、敢えてシグネチャーメニューを選ぶとすれば、バゲット、もしくはHu tieu dai(コシのあるフーティウ(米麺))であるようです。
同じ米粉麺でも、柔らかいHu tieu memは起源となる中国オリジナルに近いものである一方、南部ベトナム人はそれをコシのあるHu tieu daiに変えてきたという歴史があるようで、コシのあるHu tieu daiこそが南部麺の特徴であると聞いたことがあります(Hu tieu nam vangの麺然り)。サイゴン生まれのBò Khoにはやはりこの麺が合うのかも知れません。
実食ボー・コー!ホロホロ牛と麺の波状攻撃(ごめん麺しか食べてない)
ではベトナム版ビーフシチュー「ボー・コー(Bò Kho)」、いよいよ実食です。まずは麺の代表選手、「Hu tieu dai (Vermicelli noodles)」です。
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その前にまずはスープ。この香り、本当に独特。スプーンを近づけると八角がふわっと香り、口に含むとピリッとスパイシー。それに玉ねぎの甘さや牛の出汁、レモングラスなどのハーブが味を立体的に仕上げており飽きが来ません。
口当たりは、所謂「ビーフシチュー」のトロトロなまろやかさはなく、サラッとしたテクスチャーです。見た目の割に癖がなく、暑い気候でも完飲してしまえる程さっぱりしている(実際9割飲んでる)。
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次に麺。「Vermicelli」と言うと春雨を想起しますが、ベトナムで言うVermicelliは春雨と言うより、上記の通りコシのある米麺、フーティウ(Hu tieu dai)を指すことが多いです。なおベトナム語で春雨は「miến」と言います。発音したらほぼ「麺」なのでややこしい。
フーティウはホーチミンで一般的に目にするものとほぼ同じで、ややコシのあるストレート細麺です。表面にギザギザが刻まれていてスープがよく絡みます。
次に小麦麺、Yellow noodleを試します(念のためですが、別の日ですよ。念のため・・・)。
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こちらは日本人にも馴染みの深い、所謂中華麺です。中細のやや縮れ麺。
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正直なところ、何度も食べ比べているのですが、どちらが美味しいかと言われるとかなり迷います・・・もうインスピレーションで決めるしか・・・でも安心して下さい。上記の通り「生小麦麺+米麺」のコンボがあるので、一食で両方制覇できます。
そしていよいよ主役の登場です。Bò Khoの主役は何と言っても、ホロッホロに煮込まれた牛肉。蕩けるような、という感じとも違うのですが、適度に繊維の残り香を感じさせつつ、でも口の中でムシャっと崩れる柔らかさ。それが、トロトロと食べ応えの中心で最適解を叫びます(言いたいだけ)。
当然ながらじゅわっと滲み出るお味も堪らない。
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そして赤身だけでなく、半透明の牛すじも入っていますが、こちらもかなりの役者です。
見た感じ「すげえゴツい牛すじ入ってんな」ってな豪快な感じで、一見噛み切りにくそうに見えますが全然そのようなことはなく、かなりよく煮込まれており、心地よいコリコリ感がいいアクセントになっています。牛すじ煮込みフェチの方にも喜んで頂けるかと。
こちらが食卓セット。唐辛子、ライム、塩などです。
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これの正しい使い方がよく分からなかったのですが、とりあえずベトナムあるあるで「ライム塩」をこさえました。牛肉にこれをちょこっと付けて少し味にアクセントを出してみたりしています。別にスープに入れても良いのかも。気が向くままに味変してみましょう。
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朝は別の顔? – 激旨フーティウ屋台と謎の連携
さて、ボー・コー屋としての「Bò Kho Cô Mai」のご紹介はここまでなのですが、実は筆者の中では当初、この店はフーティウの店という認識でした。
というのも、初めてこの店に来た時には、店頭はこんな感じだったのです。
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え??って感じですよねww
メニューはこんな感じで、所謂フーティウ中心の麺屋さん。具として鶏、魚、チャーシュー、ワンタンが選べます。もうね、大好きな感じ。
Apple iPhone 12 Pro (4.2mm, f/1.6, 1/50 sec, ISO320)ラインナップとしては、以前ご紹介したこの名店に近いものがありますね。
こちらがHu tieu mem(ソフト幅広フーティウ)のGa(鶏)乗せ。もう、スープがお優しくて最高なんです。
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そしてこちらはCa(魚)の白身乗せ。このプリプリ白身が最高に美味しい。
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実は・・・何を隠そう、昨年ホーチミン駐在生活の記念すべき初日の朝食がこの店だったのです。
おはようございます☀
昨日はアパートの手続きと整理で手一杯だったので今日が初出勤です。適度に頑張っていきましょ〜٩( ‘ω’ )و写真は昨日の朝のフォー屋さん🍜#ベトナム #ホーチミン pic.twitter.com/wdBFJRKKYt
— 10ma𝕏🇻🇳 | 旅と車とベトナム (@10max) June 13, 2022
この時はまだベトナム麺の区別がよく付いておらず、「フォー屋」なんて言ってるのが我ながら初々しい^^;
その後、ランチタイムに何度もこの辺りを歩いてこの時の麺屋さんを探したのですが再会できず、「潰れちゃったのかな〜、実は夢だったのかな〜、そんなに二日酔いとかじゃあ無かったんだけどな〜」などと思っていたのですが、実は朝だけ「Bò Kho Cô Mai」が「A Chay」というフーティウ屋台に客席を貸していた感じなんですね。
この手の謎の提携も、実はベトナムあるあるだということを後で知ります(笑)
ホーチミンの中心で煮込まれ続けたビーフシチューを
とういことで(どういう事だっけ)、ホーチミン1区の至高の立地でサイゴン伝統のビーフシチューを味わうなら、こちらの「Bò Kho Cô Mai」をまずは選択肢に入れて頂くと良いのではと思います。
もっとも他のボー・コー専門店を幅広く探索した訳ではないので比較は出来ないのですが、少なくともベトナム人で毎日賑わっている店ですし、個人的にもかなり好みに近く、いち推しであることは間違いありません。
そして個人的には、朝のフーティウ屋台姿のこの店をもう一度堪能したいな・・・あれ本当に美味しかったんです。
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