ホーチミンの街路樹は大変美しい。
とりわけ筆者が勝手に「巨大樹」と呼んで愛でている街路樹がある。
天に向かって真っ直ぐ伸びる、大変凛とした巨木だ。
「巨大樹」というのは言うまでもなく、進撃の巨人に登場する「巨大樹の森」に群生する巨木だが、作品内の設定では樹高80mに達するとされている。
ホーチミン市内でしばしば見かけるこの長身の街路樹は「フタバガキ」という類の樹木のようだが、「フタバガキ」には樹高60mに達するものもあるというから、「巨大樹」に例えてもあながち外れてはいないだろう。
なお、作品内に「なぜこれほど巨大な木が存在し得るのかはわかっていない」とあるが、ホーチミンには普通に存在している。
現在のホーチミン市内の幹線道路の多くはフランス植民地時代の都市計画に基づいており、非常に整然とした直線的な道路が多い。
この天に向かって真っすぐ伸びるフタバガキの並木は、それらの通りを更に美しいものに見せてくれるように思うのだ。
一方で、非常に歴史ある街路樹であるが故の問題点もあるようだ。
ベトナム語では「Cây dầu」などと呼ばれるこの木の、街路樹としての歴史はかなり古く、150年を超えるものもあるというから驚きだ。
それ故に幹のかなり太いものが多く、その木陰は屋台や休憩場所として長きに渡り市民に憩いの場を提供して来た。
しかし残念ながら、既に「古木」と言ってもいいほどに樹齢を重ねているものも多く、枝の落下などの事故のニュースをしばしば目にする。そうした事から一部のエリアでは撤去され始めている。
安全には代えられないが、サイゴンの人々が長年親しんできた樹木と景観が失われていくのは大変悲しい事だ。
こうした巨大樹の並木は、ホーチミン市内の多くの幹線道路で見る事が出来る。筆者の知る限りでは、例えば以下の通りや場所はフタバガキの巨大樹スポットになっている。
- Nguyễn Thị Minh Khai通り(3区辺り)
- Trần Hưng Đạo通り(1区~5区)
- Nguyễn Bỉnh Khiêm通り(1区)
- Tao Đàn公園(1区)
- 3 Tháng 2(2月3日)通り(10区)
ホーチミンの街を歩きながら、ぜひこれらの歴史ある並木道を見つけて、古き良きサイゴンの風景に思いを馳せてみて頂きたい。
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