朝食にミャンマーが誇る麺料理、モヒンガーを食す。
モヒンガーと言うと何やらウルトラ怪獣のような名称であるが、パクチーと出汁の効いたとろみのあるスープに米麺を絡めて頂く絶品料理である。
朝からモヒンガーで幸福な気分に浸りつつ、マンダレー行きの夜行列車の切符を購入するべくヤンゴン駅に赴く。
ところが 駅員と筆者の間では以下のような驚くべき対話がなされたのであった。
筆者:「マンダレーまでの二等の切符をくれ」
駅員:「なんだい?マンダレーまで行くのかい?」
筆者:「そうだ」
駅員:「それならバスで行くといい。切符売り場はあっちだ」
最初、駅員が何かの勘違いをしているのかと思った。ヤンゴンからマンダレーまでは優に600kmを越えるのだ。これは 「うまい棒」と「うまか棒」を勘違いするのとはだいぶわけが違う、切実な問題である。
しかし、話せば話すほど、彼は本気でバスを薦めているようなのである。
そして「地球の歩き方」でも確認したのだが、なんとそちらでもバスを薦めているので。どうやら実際列車は相当イケていないらしい。確かに3,4千チャット(3,4ドル)のバスに対して45ドルの列車にどれだけの魅力を見出せるのかは甚だ不透明である。
列車好きの筆者としては切ない限りだが、バスの切符を購入することにしたのである。
果たしてミャンマーにおける600km超のバスの旅。考えただけでハゲ散らかしてしまいそうだがここは肝を据えるしかあるまい。
SONY CYBERSHOT (6.1mm, f/11, 1/490 sec, ISO100)
こうしてバスの切符を購入した後、ダイエット系ウォーカーの筆者はホテルへ戻る前に、中心部にあるスーレーパゴダを見つつ、エーヤワディ河のほとりまで歩くことに。
その途中、日本語ペラペラの少年に話し掛けられる。
よくある観光客目当ての怪しい輩だろうと思って適当にあしらっていたが、まあ要所要所気を付ければ大丈夫なものなのであえて追い払うことはせずしばらく一緒に歩いてみた。
果たして この少年は実にいいやつであった。
「週2回プライベートスクールで日本語を学んでいるんだ」と熱く語る彼に、河岸で日本語を教えてあげた。
実は筆者、こう見えて幼少期より日本語環境で育っただけあって、日本語の腕には多少覚えがある。
たとえば、カタカナの「ン」と「ソ」の違いなど、日本人にとってもかなりハイソかつセレブな諸問題について余すところなく少年に伝授した。
彼と別れたのち、ホテルで荷造りとチェックアウトを済ませて郵便局へ絵葉書を出しに行った。
絵葉書なぞを書く辺りに梅ヶ丘屈指の旅情派トラベラーである筆者のマメさが顕著に顕れている。
そして昼飯時になり、モヒンガー(ミャンマーを代表する米麺)などの麺類を求めて街中を巡回したのだが、悲しいことにほとんどの屋台・食堂が米系なのである。
激しく麺派を自称する筆者としては、簡単には米系で妥協できない。
しかし本当にないのである。
この国の基本はやはりカリー・ライスなのである。
そうこうしてあきらめてホテルに戻ろうとしていたころ、とあるイケている食堂の中で美味そうにモヒンガーをすすっているファンタジスタをようやく発見。そのカリスマ食堂へ猪突猛進の体で飛び込み、めでたくモヒンガーを頂戴した。
その後 バスターミナルへ向かう途中、ミャンマー最大のパゴダ シュエダゴォン・パゴダを拝見。
感想としては 「デカい」と、そう思いました。
などとそっけない感想を述べつつもたくさんの写真を撮りまくり、気づいたらぎりぎりの時間になっているではないか。
そのように急いでいる時に限ってエンジンむき出しの超ボロボロタクシーに遭遇してしまうのであったが、あまり頻繁にタクシーに遭遇できる感じではなかったので贅沢は言えない。
なんでもいいから間に合えと注文し、バスターミナルへ向けて爆走してもらった。
普通のアスファルトなのに飛んだり跳ねたりと、爆走どころか爆発しかねない有様であった。
マンダレー行きの長距離バスは最悪であった。
まず、エアコンバスのはずなのに乗客がみんな窓を全開にしているのである。
さらに 筆者の隣はたまたま空席であったため「ラッキィ池田♪」などと内心ほくそえんでいると、突然ハリケーンのごとく子連れのおばちゃんが子供ごとその隣席にブルドーザーのごとくどっかとやって来たのであるが、これが尋常のオバサンではない。
超ド級にふくよかなオバサンなのである。
しかも子供をそこに座らせるのならともかく、自分までそこに座るというのだからもう「ラッキィ池田」なぞ遥かインド洋の彼方である。
まあこれがアジアさ。と自分に言い聞かせつつも、「やはり高くても列車にしときゃよかった」と思ったのであったが、真相は定かではない。
バスの中でいくつかの映画が上映されていたが、その中で ケイン・コスギ主演の 「MUSCLE HEAT」という映画の吹き替え版を見た。
そこでのケインが非常に格好よく見え、こやつも隅におけないな、と無駄なライバル意識を感じたバスの一夜であった。
[2003.9.25]
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