ポロンナルワを一通り見聞した後、メディリーギリヤへ向かう。メディリーギリヤは、ポロンナルワから北へ40kmほどの場所にひっそりと存在する遺跡群で、「歩き方」には「ジャングルに眠る遺跡」などと書かれているのだから期待も膨らもうというものである。
どうも発見されたのが19世紀後半と比較的最近であることから、まだ開発がさほど進んでいないという話を聞いたが、100年以上経っても「最近」という表現が許されるのは古代遺跡故の特権であろうか。筆者など職場で100年も仕事を放置していたらとても許されるものではない。
道中、衝撃の中古ハイエースに遭遇
ともあれ、昼過ぎにトゥクトゥク運転手のミヒンダと待ち合わせてポロンナルワを出発する。ところが秘境の遺跡群に辿り着く前に、ポロンナルワの町中にて筆者は衝撃的なものを目撃してしまった。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (9.2mm, f/4.2, 1/250 sec, ISO0)
この中古のハイエースの何が衝撃的か。よくご覧頂きたい。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (14.2mm, f/3.4, 1/250 sec, ISO0)
「まるっこ・あらいっこ」
とある。なんというワーディングセンスであろう。ダイソンも顔負けの驚くべき吸引力で人の目を惹き付けるものがある。にも関わらず、電話番号の横にひっそりと小さいフォントで書かれているのが奥ゆかしい。
さらに趣深いのは、これはアジアでよく見かける間違った日本語の用法ではなく、出自からして日本人が日本で用いていたコピーライティングだと思われることである。
筆者は帰国後、衝動にかられてこの電話番号を検索してみたものである。運が良ければ、ホームページを開設しているなどしている可能性がある。しかし残念ながらヒットしなかった。分かったのは、兵庫県の神戸、明石辺りの番号であるということである。今後、兵庫県から目が離せない。
さて、思わぬことに紙幅を割いてしまった。何の記事だっけ。
そう、ジャングルに眠る秘境の遺跡、メディリギリヤである。片道40kmもあるのでまずは給油を行う。ついでにエンジンルームも拝見させてもらう。何と衝撃のV型8気筒エンジンが搭載されている・・・はずもなく原付に毛が生えたほどもものであった。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/100 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/100 sec, ISO0)
ジャングルに浮かぶ神殿、メディリギリヤ・ワタダーゲ
メディリギリヤにやってきた。まずはメディリギリヤ・ワタダーゲという、メディリギリヤのシンボル的な仏塔遺跡を訪れる。それはさながらジャングルに突如浮かび上がった神殿のようである。百数十年前、この遺跡を発見した時の冒険者たちの気持ちを想像する。現存する建造物は8世紀頃のものが多いが、この地の最初の建造物は2世紀頃に造られたとされているようだ。
スリランカの遺跡は、仏教遺跡でありながらどこかギリシャやローマの神殿遺跡を思わせるような石柱が特徴的であるように思う。欧州と東南アジアの中央に位置するが故の文化の結節点がここにあるのだとすると、何ともロマンチックである。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (16.33mm, f/3.8, 1/250 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4, 1/400 sec, ISO0)
このメディリギリヤ・ワタダーゲもポロンナルワのワタダーゲに類似した円形のドーム状の仏塔で、東西南北に仏像が設置されている。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4, 1/400 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4, 1/250 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4, 1/250 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/320 sec, ISO0)
これはドーム状のワタダーゲの裏にある遺跡。3体の立位の仏像がある。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4, 1/250 sec, ISO0)
ジャングルの秘境に囲まれた遺跡ではあるが、建造物の周囲は公園のように整備されている。イグアナのようなオオトカゲやプルメリアの白い花を愛でながらしばし散策する。
そう言えば、スリランカの竹は黄色いようだ。カワセミのような青い鳥もいたが、カワセミかどうかは分からない。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4, 1/200 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/60 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (28.4mm, f/4, 1/100 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (19.2mm, f/5, 1/250 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/100 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (28.4mm, f/5.5, 1/400 sec, ISO0)
スリランカ式アーユルヴェーダとスロベニア人との晩餐
帰り道で「アーユルヴェーダ」を体験する機会を得た。「アーユルヴェーダ」とは、インド発祥の伝統的な健康/美容増進法で、様々な薬草を用いてマッサージやスチームバス(薬草サウナ)、ハーバルバス(ハーブ風呂)等の各種療法を施すものである。インド古来のアーユルヴェーダが南方へ伝わり、海を渡りスリランカへ渡ったもので、そのために最も伝統的なアーユルヴェーダの技法がここスリランカに残っていると言われている。
だがこの後、とんでもない危機的状況が筆者に襲いかかった。なんとアーユルヴェーダを施術してくれるのは若い女性だというのである。まさかこのような異国で若い女性の前でトランクス一丁になるなどとは全く予期せぬ非常事態である。しかしこのようなマッサージごときで動揺したなどと思われては、日本男児の沽券に関わってくる。筆者は、驚くべき精神統一によって、何とかこの危機的状況を乗り切ることに成功したのである。今回の経験により、筆者は人間的に一回りも二回りも大きくなれたに違いない。(もっともその後の人生経験によりアーユルヴェーダのみならず一般的にこのような施術においてはこんなの普通だということを知るのであるが)
さて、ポロンナルワの宿「Palm Garden」でのこの夜の晩餐では3人組のスロベニア人と共に食卓を囲むこととなった。この3人組、男1、女2の組み合わせなのだが、2人の女性が非常に陽気で美しいときている。スロベニア人男性全般に敵意を感じた瞬間であった。
晩餐は、ミヒンダや宿のオッサンも加わって仏教や恋愛観に関する議論が盛り上がり、非常に楽しい時間を過ごすことができた。ちなみに「スロベニア」という国に関する知見があまり無かった筆者は、基本情報を押さえるべく次のような質問をしてみた。
「スロベニア人は何語を話すのだ」
すると、
「スロベニア人はスロベニア語を話すのだ」
と教えてくれたので皆さんもよろしければ覚えておいておきましょう。
[2004.9.27]
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