こんにちは。昔から透明人間になる魔法を習得したかった10max(@10max)です。
そんな夢が叶った訳ではないのですが、最近「国境の狭間の空白エリア」における「透明人間状態」について考えさせられることがしばしばあるんですよね。
ちょっと何言ってるか分からないですかね・・・
イミグレの間の空白エリアと透明人間化
例えばこんな場所。タイとマレーシアの陸路国境に当たるパダンベサール駅です。
SONY ILCE-7C (32mm, f/6.3, 1/40 sec, ISO200)
タイから南下してきた旅人はこの柵の手前で屋内に入り、タイ側のイミグレーションで出国し、数十メートル先のもう一つのイミグレでマレーシアに入国し、奥の方の柵の向こうに出ます。
つまり、この手前の柵のと奥の柵の間の数十メートルは、一体何なのでしょうか。
正確に言うと、タイのイミグレで出国した後、マレーシアのイミグレで入国するまでの間、「私は一体どこに存在しているのでしょうか」。
下の写真のような場所もそう。タイとラオスの陸路国境、ノーンカーイとビエンチャンの間のメコン川に掛かる友好橋。
SONY ILCE-7C (28mm, f/5, 1/500 sec, ISO100)
橋の手前のタイ側のイミグレを出た後、バスに乗って友好橋を渡り、対岸のラオス側のイミグレで入国するまでに3kmほどもありますが、そのバスに乗っている間「私は一体どこに存在しているのでしょうか」。
つまりその瞬間、その旅人は「法律上どの国にも存在してない」という「透明人間状態」なのではないでしょうか。
どの国の大使館も手を出せない!?究極のパスポートの失くし方
ところで、海外旅行中にパスポートを紛失したらどうします?
通常なら現地の警察に被害届を出して、日本大使館にパスポート再発行又は帰国のための渡航書を申請しに行く・・・というのがお決まりの対処方法じゃないですか(やった事ないけど)。
ところが、そのような対処方法が機能しない「究極のパスポートの失くし方」があるんです!(誰得)
つまり、上のような「国境の狭間の空白エリア」でパスポートを失くすと、それはもう大変なことになるようです。
この話のきっかけは、少し前にベトナム在住のとある知り合いの日本人に起こった事件。
社員旅行で訪れた香港からホーチミンへ戻る際に、香港の空港の搭乗ゲートでパスポートを失くした事に気付いたらしいんですね。
この後が大変だったようで。
これは旅行会社の添乗員や空港職員としても非常に難しい状況だったようで、香港は出国手続きを済ませた後だし、添乗員のサポートも無いまま香港で身動きが取れなくなっても最悪なので、とりあえずこのフライトでホーチミンまで飛んで、レジデンスカードで入国つつパスポートの再発行を何とか試みるしかないだろう・・・と考えたのです(搭乗ゲートの航空会社職員は「何も見なかったことにするからお行きなさい・・・」と言ってくれたらしいw)。
ところがホーチミンに着陸して彼がイミグレに行くと、
「パスポートを持たない者がベトナムに入国する方法は何一つ存在しない」
と言う建前を頑として譲ってくれず・・・やむを得ず再び香港へトンボ返りして、香港の空港で再度パスポートを探すことになりました。イミグレでの出国手続きの時点ではパスポートはあったのだから、そこから搭乗ゲートの間で何とか見つけるしかないだろう、と。
で、もし見つからなかった時の対処方法を旅行会社の人などが相談してくれていたのですが、それが割と深刻でして。
つまり、「香港は出国済み、かつベトナムは入国前」であり、この瞬間彼はどの国の領土にも存在していない「法的な透明人間状態」であるため、従って「香港の日本大使館もホーチミンの日本大使館もサポート出来ない」というのです。
こうした場合、現地では何も出来ないので、日本の知人のサポートを得ながら日本側で何とかパスポートを再発行してもらうしか無いそうです。で、パスポートの再発行には短くても1週間〜10日ほど掛かりますが、その間どこにも入国できないのに、どこで滞在していれば良いのか・・・といった辺りは、かなりのレアケースなので実際にそうなってみた時に状況に応じて判断になるようですね。
彼のその後の詳細な経緯は省きますが、結局幸いにも香港の空港でパスポートが見つかり、無事にホーチミンに戻ってくることが出来ました。
Apple iPhone XS (4.25mm, f/1.8, 1/25 sec, ISO500)
国際線の機上ではどの国の法律が適用される?
ところで、こうした「どの国の領土にも存在していない透明人間状態」ですが、実は誰もが割と日常的に体験しています。
それは、国際線の機上。
そんな機上で、仮に「恐怖!ドリアン爆弾!!」なんて言う物騒な事件が勃発した場合、どの国の法律に基づいて対処する、或いは捜査権が発動されるのでしょうか。
実はこうした国際線の機上での犯罪や事故の際に適用される法律については、国際的な取り決めのようなものがあり、
- フライトの運行会社の所属国の法律(JAL/ANAなら日本)
- 領空の法律
の何れかが適用されるようです。
では、タイ〜ラオス間の友好橋を渡るバスで「ドリアン爆弾でバスジャック!!」なんかがあったら、どうなるんでしょうね?
そんな地味なバスをわざわざジャックするようなもの好きが居ないことを願うばかりです(笑)
旅をしながら、こんな事を考えてみるのも面白いものですね。
もしこの辺りについて何かご存知の方がおられたら、ぜひご教示下さい。
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