ハザンの話をしよう。絶景と少数民族をこれでもかと魅せつけてくる、実にけしからんベトナム最北秘境の、あのハザンの話だ。
「ベトナム最北秘境」、その響きだけでハードボイルドな風情満点だが、旅の日程も少々ハードコアなものになる。
何しろハザン省はハノイから300km以上離れている上に、ハザン省の面積約8千平方kmの4分の3が山岳で、しかも見どころは省内に広く分散しており、その道中、道は急勾配や急カーブが多く路面は荒れている。
その険しい山岳路は、あたかも本格的なラリーコースのようだ。近い将来、パリ・ダカールラリーがハザンにやって来るという噂もある(いやない)。
そのようなハードコアでけしからん秘境を、例えばハノイ発3泊4日で満喫しようなどと欲しがりな事を言おうものなら、少々の工夫が必要である。本記事では、ハザン省を巡るハノイ発着4日間の旅のモデルプランをご紹介したい。
※ハザン省の記事一覧↓
ハザンループとは | 悪路の先にある感動
ハザン省の見どころは省内に広く分散している、と上で述べたが、申し訳ない。嘘です。正しくは
「省内の至る所に見どころがあり過ぎる」
「むしろ視界に入るもの全部絶景」
と言う規格外の贅沢さなのだ。
公共交通機関もなく、道も狭く勾配やカーブが急で荒れた路面も多いため、乗り物は基本的に「バイク」。自分でバイクを借りるか、バイクドライバーをチャーターして、バイク天国ベトナムの風になりつつ回ることになる。
そんなバイク旅に相応しい辺境の山岳ルートを、いつしか旅人達は「ハザンループ」と呼ぶようになった。
その悪路の先には、長時間バイクに乗り続けて凝り固まった体を一瞬でほぐして余りある感動が待ち受けている。
Apple iPhone 15 Pro (6.7649998663709mm, f/1.8, 1/5800 sec, ISO80)
ちなみに待ち受けているのは感動だけではない。
バイクタクシーの後部座席にずっと跨っていると、体が凝り固まるだけでなく、股が痛いです。帰ってからも2週間くらいは、股が痛いです。
「ハザンループ」と、濃く味わいたい「南ルート」
一般的に「ハザンループ」とは、下のマップ上の青いルートの事を呼ぶ。距離にして300kmを越える山岳周回路だ。
「QL4C」という国道がある。QLはベトナム語で国道「Quốc Lộ(國路)」のことだ。ハザン市を発したQL4Cは北上し、中国国境を沿うように東に向かい、隣のカオバン省に入っていく。ハザンループはカオバン省に入る手前で県道沿いに南下し、ハザン市に戻っていく。
最もポピュラーな青いハザンループの北の方には、古い町並みで有名なDong Van村、雄大な渓谷Ma Pi Lengのビューポイント等がある。
しかし今回筆者が初めてのハザン旅で選んだのは、欧米バックパッカー達達の中でも比較的マイナーな、オレンジの南小回りルートだ。理由は2つある。
- このエリアに知る人ぞ知る絶景や全く手付かずの少数民族村が多数ある
- 時間に余裕が出来るためハザンを濃くじっくり味わえる
ハザンループの南小回りルートは、ハザン市から国道QL4Cを北に向かった後、有名な絶景「Quan Ba Heaven Gate」を過ぎた辺りで右折し、県道DT181を東に進む。そしてDu Gia村という小さな村に滞在し、復路は往路とは異なる村や絶景ポイント、滝などを通りつつハザン市に戻るルートだ。
実はこのDT181や、途中で交わり南下するDT176辺りは、知る人ぞ知る手付かずの少数民族村や絶景の宝庫なのだ(下のオレンジの囲み)。
このルートは旅人達にもあまり知られていないため、途中の村々は観光地化が全く行われておらず、非常に自然体の貴重な光景を目にすることが出来る。
しかも県道DT181は険しい石灰質の天険の谷間を縫うように通っているため、目を瞠るような絶景の連続なのだ。
もちろん、メインループの北の方でも素晴らしい絶景や少数民族は見ることが出来る。しかし南ルートにはもう一つのメリットがある。「時間的余裕」だ。
ハノイからハザン市まで片道6〜7時間かかるため、ハノイ発3泊4日の旅程の場合、ハザン省内を回れるのは実質1泊2日。この日程で300kmを越えるハザンフルループを制覇するのは、不可能ではないが大変慌ただしい。一般的にはハザンループだけで3〜4日は欲しいと言われている。
しかし南小回りルートであれば、1泊2日でも一つ一つのスポットを余裕を持って回れるため、ハザンの魅力をより満喫することが出来る。途中で立ち寄れる場所も増えるし、絶景ポイントでは、場所や天候によっては翌日リベンジ、などという事も可能だ。
なので、一週間まるまるハノイ〜ハザンに充てられると言った状況ならばともかく、日程が限られている場合には、この南小回りルートも検討頂くと良いと思います。
そして特に素晴らしいのが、今回滞在地に選んだ「Du Già村」だ(発音は「ズーザー」に近い)。
ハザンループの中でもまだマイナーな村だが、村そのものが絶景の中にあるため、適切なゲストハウスを選べば、宿泊そのものが絶景ステイになる。
しかも市場などへ行けば、様々な少数民族の方々が様々なものを売り買いする素晴らしい光景に出会うことが出来る。「ハザン省の魅力」の記事で触れた通り、一切観光地化されていないため、少数民族の皆さんの非常に自然体な生活風景を見ることが出来るのだ。
これはもはや感動的ですらあり、「何も言えねぇ!」と言うコメントが自然と漏れ出てくるレベルである(平泳ぎしながら)。
※今回宿泊した絶景神ゲストハウス「Tày Cốc Pảng Homestay」↓
宿の主人に「日本人客は初めてだ」と言われたことからも、Du Giaが旅人的に未開拓の地であることがうかがえる。
モデルプラン | ハノイ発4日間ハザンループ旅
今回のハノイ発、ハザンループ南小回り旅4日間の旅程は以下の通り。実際の旅行期間は2024年4月18日〜21日の3泊4日。
筆者はホーチミン在住なのでホーチミンからハノイ入りしているが、日本から来る場合は、前日夜にハノイ入りするか、1日目の日中にハノイ入りし、夜行バスで2日目の早朝にかけてハザンへ向かうことになるだろう。
<1日目:ハノイ→ハザン市> | ||
8:00
10:15 13:30~18:00 |
タンソンニャット国際空港(SGN)発(VN208)
ハノイ・ノイバイ国際空港(HAN)着 長距離バスにてハノイ~ハザン移動 |
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ハザン市泊 | Garden Villa Homestay | |
<2日目:ハザン市→Du Gia村> | ||
終日 | バイクタクシーチャーターし、ハザン省の絶景ポイント等を巡りつつ、Du Gia村へ移動 | |
Du Gia村泊 | Tày Cốc Pảng Homestay | |
<3日目:Du Gia村→ハザン市> | ||
午前
午後 |
Du Giaマーケットで少数民族の買い物風景
バイタクで絶景ポイント等を巡りハザン市へ帰還 ハザン市内主要スポット観光 |
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ハザン市泊 | Garden Villa Homestay | |
<4日目:ハザン市→ハノイ> | ||
10:00~16:00
19:00 21:15 |
長距離バスにてハザンからハノイへ移動
ハノイ・ノイバイ国際空港(HAN)発(VN219) タンソンニャット国際空港(SGN)着 |
ただやはり、ハザンループの北の方にも訪れたいという気持ちは強く、ベトナムに住んでいるうちにいずれ北ルートも制覇しようと目論んでいる。それはここだけの話で、まだ内緒である。
以上、ハザン旅計画のお役に立てれば幸いです。
Apple iPhone 15 Pro (2.2200000286119mm, f/2.2, 1/3500 sec, ISO50)
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