ついに帰国の前日、実質的な最終日を迎える。実は今日この日のために、数日前から旅程に工夫を凝らしていた。
旅の序盤で訪れたロカ岬は、雨に煙っていた。ユーラシア大陸が果てる西端の地において、それはそれで趣があるとは思うものの、本心ではやはり真っ青な大西洋を眺めてみたかった。そのため、全体とし半日ほど旅程を圧縮し、最後にロカ岬を再訪できるよう調整していたのだ。
そして迎えたこの日は朝から胸のすくような青空!虎視眈々と待ったロカ岬リベンジに、まさにうってつけの好天ときたものだ。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (42mm, f/10, 1/320 sec, ISO100)
最高時速220km超のAlfa Pendular
まずは現在地ポルトからリスボンまで移動し、リスボンからローカル線に乗り継ぐことになる。
ポルトガル国鉄が誇るAlfa Pendularは最高時速220km超、ポルトーリスボン間を2時間45分で結ぶ。新幹線的な位置付けだと思うのだが、線路のレール幅的には在来線と同じ規格のレールを使っている。これで時速220kmも出して大丈夫なのだろうか。だいじょうぶなのかもしれないカーブで異常に揺れるのだけは勘弁していただきたい。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (39mm, f/6.3, 1/100 sec, ISO100)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/3.5, 1/30 sec, ISO400)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (42mm, f/5.6, 1/6 sec, ISO400)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/9, 1/200 sec, ISO100)
12時半頃リスボンに到着、一旦ホテルBERNAへチェックイン後、ロカ岬へ向かう。
エントレカンポス駅からシントラ行きのローカル線に乗り、シントラからロカ岬経由カスカイス行きのバスに乗車。前回(雨のロカ岬時)はそうでもなかったのだが、バスの運転が異常にアグレッシブである。狭いヘアピンコーナーをグイグイ攻めて行く。
さらにバス停で止まると、乗客に切符とお釣りを渡し終わるか終わらないかのうちに既に発車している。乗車して席に着こうとするおばあちゃんが右の人から左の人へと倒れかかりながら移動している。帰りも同じだったので、きっとこれが普通で、前回は雨のせいでおとなしく走っていたのだろう。その中でも特に印象深かったのは、そのおばあちゃん、右から左へ倒れかかりながら、顔はにこやかなままなのである。懐が深いぜ、ポルトガル人。
ロカ岬の本気
14時45分頃、ロカ岬到着。この時間でも、太陽は日本の夏の正午過ぎのように高い位置にある。
切り立った断崖の向こうには見渡す限りの大西洋。大西洋は断崖から沖へ向かうにしたがってエメラルドブルーから濃紺へと色を変えていく。その上にはとてつもなく青い空が広がり、かなり高い高度に刷毛で引いたような白い雲が薄く流れている。
前回は雨と霧で何も見渡せなかっただけに、同じ場所へ来たとはにわかに信じがたい光景にしばし絶句する。
「ああ、ロカ岬ってこんなところだったのか」
と思わざるを得ない。ユーラシアの西の果てはかくも美しいものか。
ある意味、二つの表情のロカ岬を見ることができたのは、貴重だろう。一見さんの旅行者ではそのような幸運に恵まれることはそうそう無いに違いない。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/10, 1/250 sec, ISO100)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (40mm, f/8, 1/320 sec, ISO100)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/10, 1/250 sec, ISO100)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (25mm, f/9, 1/200 sec, ISO100)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/9, 1/250 sec, ISO100)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/10, 1/250 sec, ISO100)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/9, 1/200 sec, ISO100)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (26mm, f/10, 1/250 sec, ISO100)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/9, 1/250 sec, ISO100)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/9, 1/250 sec, ISO100)
ついに出会えた「タコのリゾット」
満願かなったりの想いでリスボンへ戻る。そして最後の晩餐は、カーザ・トランスモンターナというポルトガル北部の郷土料理でもてなすレストランへ。
ここで、満願に上塗りするように、念願の「タコのリゾット」に巡り合うことができた。「ポルトガル人はタコを良く食う」という噂と、我々のリゾット好きを掛け合わせて、「タコのリゾットをどうしても食いたい」という漠然とした想いを抱いてポルトガルへ来たのだが、これまで何軒かのレストランで「リゾットはあるか」と聞いてみたものの提供してる店に出会えなかったのだ。そんな念願の逸品に運良く最終日の夜に出会うことができた。或いはタコ料理はポルトガルでも北部でよく嗜まれるということなのかも知れない。もちろん味も期待以上。オブリガード。
さらにこの店で、初めて「ヴィーニョ・ベルデ(グリーンワイン)の赤」を飲むことができた。赤といっても、そこはさすがヴィーニョ・ベルデ。非常にさっぱりしていて、ギンギンに冷えた液体が疲れた身体にすっと染み込んでいく。
ところで、この店ではワインと共にマグカップが運ばれてきた。ワインをマグカップで飲むのが北部ポルトガルの習慣らしい。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/3.5, 1/40 sec, ISO800)
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/3.5, 1/20 sec, ISO800)
レストランを出るともう20時を過ぎていたが相変わらずこの町は明るい。明日には日本へ発たねばならないが、今はもう少し、永遠に続くかのように思われるリスボンの夜を眺めていたいと思う。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/5.6, 1/100 sec, ISO800)
(2007年7月19日)
以上で「ポルトガル旅行記【陽の当たる坂道に憧れて】」は完結です。世界のどこかでまたお会いしましょう。
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