朝から空模様は怪しいが、どうにか外出には耐えられそうである。宿の食堂で目玉焼きにナンプラーをぶっかけてたいらげる。
今日の一番の目的地はブッダ・パークである。筆者は3年前に訪れたのだが、ここは相方にぜひ見せておきたいマニアックなスポットなのだ。市場の近くでトゥクトゥクを拾おうとするが、英語を話せない運転手を捕まえてしまい、面倒くさくなったためローカル路線バスで行くことにした。それはそれで一興である。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4, 1/320 sec, ISO0)
路線バス、乗り合わせたなら皆家族
路線バスには本当に様々な地元の人々が乗り込んでくる。一番多いのはおばあちゃん系で、いくつものビニール袋に怪しげな草だとか卵だとかを詰め込んだものを引っ提げて乗ってきては、すでに座っている乗客の足元に押し込んで行く。もはや足の置き場も無いどころか、手動式の扉から人が飛び出んばかりである。この国では、他人などと言うようなよそよそしい感覚はないのかも知れない。ひとたびバスに乗り合えば皆家族、といったところか。
バスは、通りに立っている人が手を挙げれば乗せるために止まるし、乗客が何か喚き声を上げれば降ろすために止まる、そういう極めてシンプルな東南アジア式システムであり、筆者もすっかり馴れている方式である。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/60 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (28.4mm, f/4, 1/80 sec, ISO0)
そのようにして揺られること約1時間。この、「揺られる」という単語を甘く見てはならない。このバスには通常の車両に最低限備えられているべきサスペンションという機構が全く存在しないかのように、荒れた路面の凹凸を乗客達の臀部にダイレクトに伝えてくるのである。しかも雨季におけるラオスの道路状態の悪いことは、世界の七不思議の一つであると言われても異論は無いほどのレベルである。
話を戻そう。兎にも角にもそのようにして「揺られる」こと約1時間、我々はブッダ・パークに到着した。相変わらず、マニアにはたまらない物品が、広大な草原の中に所狭しと陳列されている。
愛しのブッダ・パーク、再び
このブッダ・パーク、正式名称は「ワット・シェンクアン」といい、形式上は寺らしいのだが、ここに置かれている物品は、仏教のものはもちろんあるのだが、ヒンドゥー教のもの、宗教とはあまり関係なさそうなものなどなど、まさに混沌の極みである。
これがマニアにはたまらなくいいのである。「なぜこんなものがこんなところに」という発見ほどマニア泣かせのシチュエーションはない。筆者と同じくマニアックな物品に目がない相方などは、それはもうはしゃぎっ放しである。小雨が降っていなければ走り回っていたに違いない。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/100 sec, ISO0)
この口の中から上へ登ることが出来る。上に登ると、ブッダ・パークを俯瞰することが出来る。
俯瞰すると、まるで数々のブッダが放し飼いにされたサファリパークのようである。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (9.2mm, f/4.2, 1/320 sec, ISO0)
すると、ロックバンドであろうか。手と顔が多数生えたブッダの前でロケを行っていた。どのようなシュールなMVが出来るのか、興味津々である。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (25.6mm, f/4, 1/125 sec, ISO0)
相方と筆者のどちらから言い出すともなく、シュールな仏像たちのポーズを真似してみようという流れになった。
そうすることでこれらの不思議な像を作成した創造主たちの心境をいくばくかでも理解することが出来るのではないか、という期待があったのだが、残念ながら1mmも理解できなかった。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/250 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/3.5, 1/250 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4, 1/320 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4, 1/250 sec, ISO0)
流石に小雨が降りそぼる中で涅槃仏の体勢を真似するのは中々厳しいものが有ったので普通に撮影している。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4, 1/250 sec, ISO0)
この像の体勢に至っては雨でなくても厳しいであろう。それにしてもこの人(いや、口の中に顔がもう一つあるので、「この人達」か)は一体何をしているのだろう。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/3.2, 1/250 sec, ISO0)
こちらについては相方と2人で組体操のように行う必要があったが、それでは写真が撮れないので自粛しておいた。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/125 sec, ISO0)
しばし食堂のような屋根の下で雨宿りをする。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.81mm, f/2.9, 1/250 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/80 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (9.2mm, f/3, 1/60 sec, ISO0)
雨季のラオスに足元を掬われる
ブッダパークを後にしビエンチャンに戻る。3年前から馴染みなっている例の美人なお姉さんがいる「ナンプ・コーヒー」でセンミーナームを召す。召しているうちに、轟くようにスコールが落ちてくる。この町の出来事は全てが突然であり、必然である。町の人々は当り前のように軒を伸ばして雨除けを行い、筆者達旅行者は仕方なく食堂に居座って空の表情をうかがう。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/8 sec, ISO0)しばらくして、雨がやんだ。我々は意気揚揚と宿へ向かって歩き出したのだが、悲劇はその直後に訪れた。スコールの直後で、道の脇には至るところに巨大な水たまりが形成されていたのだが、それを除けようとした刹那に、左足を深い側溝の中に沈めてしまい、慌てて足を抜いたがゆえにビーチサンダルを失ってしまったのである。
すぐに側溝に手を突っ込んで探してみたが、相当深い溝のようで、しかも草が生い茂っているため全く見つかる気配が無い。相方に、付近にサンダル屋がないか探してもらったが、見当たらないので、ひとまず裸足で宿へ戻る以外に術が無い。
宿でサンダルを貸してもらうことができたので、それを履いてレンタバイクで市場まで飛ばしてサンダルを買いに行き、なんとか事態を収拾することができたが、思わぬところで雨季のラオスの恐ろしさを身に染みて思い知らされたものである。
そんなこんなで気付くと時刻は15時半を回っていた。残された行き先は、どうしても再訪したかった薬草サウナと、メコン河畔の屋台のみである。ついでに言えばそこでこの旅の究極のミッションを遂行する目論見なのだが、幸いにも今夜は好天に恵まれそうである。
[2005年7月22日]
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