今日は朝から二つの事件が勃発した。
まず、右目から使い捨てコンタクトレンズの破片が出てきた・・・いや、ちょっと何を言っているのか分からないであろうから経緯を説明すると、実は北京入りの日の夜、コンタクトを外そうとした際に、右目のコンタクトが目に張り付いて一瞬動揺して半分だけがちぎれてしまい、残り半分の破片を見失ってしまったのだ。その残りの破片が、周囲や目の中を探しても全く見当たらない。
という事で、何となく目の奥に違和感があるといえばあるものの、どうしようもないので取りあえず放置しておいたのだが、今朝適当に目を洗浄していると、何と白目の辺りにそれらしきものが現れたという訳である。恐らく目の裏側にでも入っていたのだろう。僥倖である。
続いての事件だが、ひょんなことから朝食を従業員用の小部屋でとることとなった。例によって英語が通じないため壮大なボディランゲージと筆談を交わしつつ理解し得たところに拠ると、朝食の時間がレストラン側に伝わっていなかったらしく、レストランの席が団体客で埋まってしまっていたらしい。まあ、ある意味個室なので特等席といえばそうなのだが・・・。そしてそれでも何となく美味に感じてしまうのが中華を含むアジア料理の不思議なところでもある。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/8 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/8 sec, ISO0)
最低時速120kmで砂塵を上げるシボレー
さて、今日は車をチャーターして、敦煌郊外のヤルダン地質公園、玉門関、陽関、西千仏洞、白馬塔を回る。
車は比較的新しいシボレー。そして今回の旅で初のオートマ車である。狭い国道を常に時速120キロ以上の豪速で次々にアグレッシブな追い越し芸を繰り返す。狭いところになると道幅は1台分しかなくなるので、仕方なく脇の砂利道をもうもうと爆煙を上げながら激走して追い越す。こうした爆走劇は筆者はインドなどで経験済みであるが、細君はやや面食らっていたようである。
なお、途中でガソリンを入れるというのもアジアあるあるである。なお、中国では「汽油」は「レギュラー」、「柴油」は「軽油」を意味するらしい。「柴」ってなんだ。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.81mm, f/4.1, 1/250 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (28.4mm, f/4, 1/160 sec, ISO0)
ヤルダン地質公園は敦煌版グランドキャニオン(?)
シボレー爆走の甲斐あって、敦煌市内から160km離れたヤルダン地質公園に約2時間で到着。さすが大陸、一口に「敦煌郊外」といっても都心から狛江あたりに行くのとはスケールが違う。
ヤルダン地質公園は、言わば敦煌版グランドキャニオンである。数百万年かけて風化した赤く巨大な奇岩群が壮大な光景を作り出しているという。 「グランドキャニオン」と言われれば期待に胸が膨らむというものであろう。
で、こちらが敦煌のグランドキャニオン、ヤルダン地質公園である。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (23.4mm, f/5.3, 1/800 sec, ISO0)
お、おう・・・グランドキャニオン・・・
まあ、いいだろう・・・。
それよりも問題は、いくつかの岩に与えられた豪放磊落なネーミングである。こちらは「金獅迎客」と名付けられた奇岩である。「金の獅子が客を歓迎」しているという事のようだ。金の獅子・・・想像力を掻き立てられることこの上ない。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4.5, 1/640 sec, ISO0)
こちらは何であろうか。看板を探してみる。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (19.2mm, f/5, 1/800 sec, ISO0)
「獅身人面」とある。こちらも何らかの獅子関連であるらしい。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (9.2mm, f/4.7, 1/800 sec, ISO0)
公園内を共に回るガイドさんに聞いてみると、どうやらエジプトの「スフィンクス」のことであるようだ。なるほど、獅子の身体に人の顔、という訳だ。人間の想像力というのは誠に秀逸である。
こちらは「孔雀」である。言いたいことは分からないでも無いが・・・これ以上のツッコミは自粛しておこう。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (16.33mm, f/4.8, 1/400 sec, ISO0)
こちらは、「艦隊出海」と書いてあるようだ。まあこれはそんな感じがしなくもない。むしろスフィンクスや孔雀もこの中にひっそり混じって居た方が無用な突っ込みを喰らわずに済んだのではないか、などと要らぬ親切心が首をもたげる。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (14.2mm, f/4.6, 1/640 sec, ISO0)
このようにツッコミどころは満載であるが、ヤルダン地質公園は想定外に面白い見所であった。敦煌といえば仏教遺跡や漢代の遺跡のイメージが強かったが、日本では中々お目にかかれない壮大なスケールの自然造形を楽しむことが出来たのは望外であった。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4.5, 1/640 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (23.4mm, f/7.5, 1/640 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/8, 1/1250 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4.5, 1/640 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (25.6mm, f/5.5, 1/500 sec, ISO0)
玉門関と陽関で古代におも
続いて玉門関と陽関を訪れる。いずれも万里の長城の西方の要衝をなす関所跡で、漢代などの時代においては「これより先が異民族(漢民族以外)の住む西域である」と定めらる場所であったという。つまり、異国との境界である。
いずれも風化が激しい遺跡であるが、遥か古代にこの何もないような広大な大地を舞台に繰り広げられたであろう漢民族と周辺の諸民族との攻防や交流を思うと、つい地平線に目を凝らし、 この広大な大地をかつて軍馬が駆け巡っていたのであろうか、などと想像しつつしばし時を忘れてしまう。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4.5, 1/640 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/5, 1/800 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (14.2mm, f/4.6, 1/200 sec, ISO0)
ここからは陽関である。大陸らしい高い空と大地に言葉を失う。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/5, 1/640 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (16.33mm, f/5.4, 1/640 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/5.6, 1/1000 sec, ISO0)
オアシスの葡萄園で昼食
陽関の付近で昼食を摂る。敦煌の郊外にはいくつものオアシスが点在し、それぞれ小さな集落を形成している。今日通りかかったオアシス集落では、いずれもブドウの栽培がさかんらしく、昼食をとった食堂でも、ブドウを提供してくれた。 古来砂漠を旅する者にとって、こうしたオアシスのありがたみは想像を超えるものであっただろう。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (28.4mm, f/4, 1/100 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/100 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/125 sec, ISO0)
この麺をこの具汁にからめて食べる。トマトも入り、若干西洋風な味付け。シルクロード交易の影響であろうか。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/100 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (19.2mm, f/3.7, 1/50 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/60 sec, ISO0)
万里の長城のごとく長大な麺に辟易する細君。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/125 sec, ISO0)
なお、爆走ドライバー氏は当然のように我々のご相伴に預かっている。それどころか勝手に注文までする有様である。良い商売である。まあ、どこか憎めないオッサンなのではあるが。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.81mm, f/2.9, 1/125 sec, ISO0)
食堂の外のトイレ。「男」の文字が辛うじてここがトイレであることを示唆している。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4.5, 1/640 sec, ISO0)
このようなところにも新興住宅地がある。意匠がどこか中国風である。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4.5, 1/640 sec, ISO0)
これは公衆電話であるらしい。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4.5, 1/640 sec, ISO0)
西千仏洞
続いて、有名な莫高窟のミニチュア版とも言われる「西千仏洞」を訪れる。大小の石窟の中に北魏時代や唐時代の壁画が見られる。非常に地味である。個人的には莫高窟を見ればこちらは(以下略)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4, 1/640 sec, ISO0)
鳩摩羅什ゆかりの白馬塔
最後に、西域の高僧、鳩摩羅什ゆかりの白馬塔に立ち寄る。いわゆる、仏塔(Pagoda)というもので、東南アジアの国々で仏塔ばかり追いかけてきた筆者としては何やら懐かしい感覚を覚える。だだっぴろい広場の中央に白亜の仏塔が佇立する空間というのは我々日本人にとっても非常に落ち着くものがある。瞬時ラオスかミャンマーに飛来したかのような錯覚に襲われるが、回りに整然と並ぶポプラ並木ががここがシルクロードの地であることを思い起こさせる。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4.5, 1/640 sec, ISO0)
白馬塔のそばで青空麻雀を行う地元の人々。非常にほのぼのとした麻雀風景である。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (21.3mm, f/3.8, 1/50 sec, ISO0)
西域の庶民派中国料理は当たり外れが多い?
宿に戻ってドライバーのオッサンと別れ、これから晩餐である。今夜は「地球の歩き方」に掲載されていた、「敦煌風味鶏湯面」の店を訪れる。しかし残念ながら、日本の庶民料理のレベルの高さを確認する結果となってしまった。実を言うと昼の陽関のオアシスの飯にもそうした感想を抱いた。
一日目に四川飯店を絶賛しておきながらアレであるが、アレはあくまでも高級な飯である。庶民が普段口にする料理に関してはどうも当たり外れが多いように思う。例えば、日本のラーメン屋やカレー屋、定食屋などと比べると、もちろんそれらも当たり外れが無いわけではないが、そこまで残念なものに出会うことは少ないように思う。あるいは同じ中国でも北京や上海などの都市部と敦煌のような地方でも状況が異なるのかも知れない。
明日以降、庶民派の飯屋に注目していきたい。中華西域庶民派の雪辱なるか。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/8 sec, ISO0)
帰りに酒屋で、白酒(超アルコール度数の高い蒸留酒)の一種である「シールーチュン」(シンルチュウではない)を購入。酒屋のおばちゃんイチ押しである。これは美味かった。
明日は莫高窟を訪れる。
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/8 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4, 1/60 sec, ISO0)
CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (11.3mm, f/4.4, 1/60 sec, ISO0)
(2006年9月11日)
敦煌・カシュガル旅行記【国境のカオスが好きだ。】マップ
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