ベトナム生活編

テト休暇旅を終え、家族本帰国まで1ヶ月を切る – インプットとアウトプットの境界線上で親離れを見守る

昨日、テト(旧正月)休暇の家族でのタイ・マレーシア旅からホーチミンに戻ってきました。

そして丁度1ヶ月後に家族が日本へ本帰国する、そんなタイミングでもあります。

 

今考えているのは、「良い潮時かもしれないな」という事。

子供達(中3の長男と中1の次男)の日本帰国の話です。

 

以下、あくまでも我が家の場合における一つの考え方に過ぎませんが、何某かのご参考になれば。

2024年2月@バンコク-パダンベサール間夜行列車

SONY ILCE-7C (28mm, f/8, 1/1250 sec, ISO800)
2024年2月@バンコク-パダンベサール間夜行列車

半年ほど前までは「家族でのベトナム生活があと少しで終わっちゃうとか泣けるわ」という気持ちが99%を占めていました。

ところが最近、「いや、子供達のことを考えればそろそろ日本へ戻す良い潮時かも知れない」という新種の思いが少しずつシェアを獲得し始め、今は、泣ける気持ちと半々、何なら6:4でやや「潮時説」優勢、と言ったところです。

その理由をものすごくざっくり言うなれば、「そろそろ子供達には、もっと自分のやりたい事を自由に考えて行動できる環境が必要じゃあないか」という話。

言い換えると、「親から子供へのインプット」と「子供自身によるアウトプット」の比重なるものがあるとして、これからは後者の割合をより増やしていくべき時期なんじゃないかな、と。

Habitat Penang Hill

SONY ILCE-7C (50mm, f/3.5, 1/250 sec, ISO100)
2024年2月@ペナン島

特に長男のここ数ヶ月の心境の変化っぷりは凄まじく、日本人学校の友人達との時間をものすごく大切にし始めました。

いつもは「仮病で学校休みたい」ばかり言っていた癖に、昨年終盤頃などは「冬休みに入ると(みんな高校受験のため日本に帰っちゃったりで)友達としばらく会えなくなるから、今は学校休みたくない」などと殊勝なことを言い出す有り様。

昨年末頃からは毎週末、予定が合う日は平日でさえ、友達と夜21時頃まで遊び回ってくるという感じです。そのため妻と次男が一時帰国した際に、図らずも夜な夜なお独り様晩酌状態になった話は下記記事で触れました(笑)

9日間、長男とサイゴン二人暮らし - 次男が生まれた時のこと、そして13年の成長。
先週末から今週末まで、学校関係の手続きで細君と次男が日本に一時帰国しています。 そのため、今日まで9日間に渡り長男と二人暮らしだったのですが、これが中々に貴重な日々でした。男二人、それはもうズボラで自堕落な生活を満喫出来ました。 そう言えば...

つまり、長男の中では今明確に、家族よりも友達と過ごす時間に充実感を感じるようになってきたのでしょう。その成長ぶりは、寂しい反面、非常に喜ばしく思います。対等関係ではない両親の影響下での思考・行動の比重を減らし、別の環境で育った同年代の友人達と過ごす事で世界を広げ、自分のやりたい様に考えて動く(遊ぶ)事に軸足を移していくのは、実に大事な成長過程です。

 

また今回のタイ・マレーシア旅を通じて思ったのは、「親の企画した旅から得られるインプットより、自分のしたい事を考えて行動するアウトプットの方が、より重要になってきたのかも知れない」ということです。

家族がベトナムへ越してきてから1年半ちょっとの間、ベトナム内外の様々なところへバックパック旅を重ねてきました。ベトナムでの生活に加えてそれらの旅は、子供達にとって、将来何かの際に思い出して貰えるかも知れない、何らかのインプットの役割を果たしてくれるのでは、と期待しています。(この事については別途思うところを記事にしたいと思っています)

ただ、アジア旅はインプット(≒環境・経験)が奇抜である反面(あるいは、それ故に)、子供達が自分たちで考えて企画して行動するという「アウトプット」の機会にはあまり多く恵まれません。

旅の中でも、そうした状況に物足りなさを感じているような節が、時折見られるのです。そうそう、例えばこうした海外旅行については彼らにとっては可もなく不可もなく、という感じである一方、「スキーやキャンプの旅行は行きたい!」などと積極的に言うのです(スキーやキャンプは難易度が高いですが、一時帰国絡めて何とか少しでも実現してあげたいところ・・・)。何となくですが、自分のチャレンジや関与度の高いアクティビティを好むようになってきた、という事なのかも知れません。

 

しかし、そうした点を考える時、中高生にとって、ベトナムで出来ることはあまりに限られているのです(下記記事参照)。環境の特性上、どうしても友達などと自由に行動する時間や範囲は日本よりも狭まり、家族との関係性の中での生活に偏りがちなのです。

家族でベトナム暮らしを始めて1年で思うこと - 子供達が得るもの、得難いもの
1年前の8月13日に妻子がホーチミンに渡ってきて以来、家族4人でのベトナム駐在生活1周年を迎えた10max(@10max)です。 今宵は家族で居酒屋に行き、渡越1周年祝い(兼次男の13歳の誕生日祝い)をして来まして、少々酔いどれつつ思うとこ...
ジャランアローのタイガービール

SONY ILCE-7C (32mm, f/3.2, 1/40 sec, ISO200)
2024年2月@ジャランアロー, クアラルンプール

ここで子供たちの性格や志向について少し触れておくと、もしも彼らが「アクティブラーニング」と呼ばれるような、自分達で研究対象を探してレポートを作ってプレゼンする、みたいなキラキラした事に関心があるのなら、ベトナムのインター校などでもその情熱の向け先はあるでしょう。

しかし彼らは、まあそれはそれは美しいほどに親のDNAを受け継いでおり、そうしたアカデミックな方面には全く興味がありません。親の顔が見たいものです。

彼らはどちらかと言えばゲームだとかモデルガンだとかサバゲーだとかレゴだとかアニメだとか、古き良きニッポンの中学生男児の道を突き進んでおります。デジタルでのお絵描きなどのクリエーションにも興味があり、本当はアキバで自作PCを物色したい、などとも申しております。

そして彼らはベトナムに来る前、学校帰りの道草のプロでした。親としては彼らの位置情報を見る必要性に駆られ、「探す」アプリを導入するための撒き餌としてiPhoneのお下がりを渡したものです。長男はベトナムでも相変わらず友人達との道草活動に余念がないため、日々の「探す」アプリの使用頻度は相当なものです。

そのような彼らにとって、気の合う悪友たちとの悪巧みを目一杯計画し、行動に移せる最高のフィールドは、やはり日本なのではないかと思うのです。

また、これは若干細かい話になりますが、部活についても日本人学校には選択肢が少なく、更に中学生ともなると学年の人数が少ないため、興味のある部活がない、仮にあったとしても、その部活に仲の良い友達が、いやそもそも同学年の子が殆ど居ない、という事もザラです。その辺りも、何かに打ち込む環境が用意しやすいのは日本の学校なのかも知れないな、と。

もちろん、これは我が家の子供達の性格や志向、あるいはベトナムという滞在先の場合の仮説であり、子供達それぞれの状況や国などによって変わってくるものでしょう。あくまでも筆者宅の子供達の場合についての一つの考え方に過ぎません。

探すアプリ

今後も「探す」アプリから目が離せない

これは自分の子育てに関する考え方の一つですが、親は子供に「インプット」を与えることは出来ても、「アウトプット(≒将来の進路や趣味など)」については基本的には本人たちに委ねるしかない、と思っています。

極端な例ですが、「我が家は代々医者なのだから、お前も医学部を目指せ」と言うような子育ての仕方は自分にはあまり向いていないな、と思います(本人の選択の結果そうなるのは大いにアリとして)。

だけど、「インプットの仕方」によって、本人のアウトプットにある程度の影響をサブリミナル的に埋め込む可能性は勿論あるでしょう。例えばベトナム生活だったり旅だったりが、彼らが何かを考える際の視野を広げてあげる一助になるかも知れません。

今、その「親からのインプットの量」と「子供自身によるアウトプットの量」の比重を、後者重視に入れ替えるべき境界線上に来ているのでは、と思うのです。

それを「親離れ」と言ってしまえば何やら寂しい感じがしますが、インプットするのも楽しいけれど、彼らのアウトプット(≒今は友人たちとの悪巧み)をニヤニヤと眺めるのも楽しいものかも知れないな、と思ったりしています。

その意味で、子供達が帰国するタイミングとしては実に良い潮時であり、かつ高校進学という外的要因がそれを後押ししてくれるのは、幸いとすら言えるかも知れません(まだ居られるのに敢えて家族を日本に帰らせる、という決断は大変難しいため・・・)。

 

そう言った感じで、家族の本帰国について、「細君ワンオペで難しい年頃の男子2人を支えられるだろうか(そして数年後には大学受験だし)」と言った、単身赴任への移行に関する課題については依然未知数であるため、自分は一体いつ日本に帰れるんだろう、という不安は継続するものの、一方「子供達がベトナム生活を終えること」については非常に前向きに捉えられるようになったため、だいぶ気分に晴れ間が見えてきた思いです。

さあ残り1ヶ月。

メルデカ118, クアラルンプール

SONY ILCE-7C (20mm, f/8, 1/200 sec, ISO100)
2024年2月, クアラルンプール

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