こんにちは。10max(@10max)です。
先日、ベトナムのローカル銀行発行のVISAデビットカードの不正利用の被害に遭いまして、あれやこれや対応するという大変面白いネタになる 面倒なトラブルを経験しました。本記事では以下についてご紹介します。
- カード不正利用の発覚経緯
- カードを止める方法
- 不正利用対象額の返還申請
- 新しいカードの発行申請
- (後日更新)返金申請結果
- カード情報漏洩の経緯と防止方法
なお感想として、ベトナムの銀行の対応は結構スムーズだなと感じました。普段から、その辺の屋台ですら銀行アプリでキャッシュレスで支払う事が出来て実に便利なのですが、改めて、ベトナムの銀行、DX化の進展も含めて日本よりも進んでるのでは、と思わされました。
なお以下の手続き事例は、Vietcombank発行カードでのケースです。他の銀行の場合も大きくは変わらないとは思いますが、アプリの機能などは異なる可能性があるので、あくまでも流れを参考にして頂ければ。
ベトナム発行カード不正利用被害遭遇時の対処方法
今回不正利用の憂き目にあったのは、こちらのカード。ベトナムローカル銀行であるVietcombank(VCB)が発行しているVISAブランドのデビットカードです。
16桁の番号と3桁のCVVセキュリティコードを持つ国際ブランドのカードで、日本のカード会社が発行するVISAやMastercard、JCBなどのデビットカード(やクレジットカード)と、使用方法は基本的に同じです。
で、今回の特徴は、このカードを発行しているのがベトナムの銀行であるという点。なので、不正利用や紛失などがあった際には、日本の様にオリコカードや三井住友VISAカードなどのようなカード会社ではなく、ベトナムのカード発行銀行に連絡することになります。
なお、今回のカード情報漏えいの経緯や防止方法は最後に触れます。まあそれ自体はしょうもない話なので・・・
恐怖!リアルタイムにどんどん減っていく口座残高
まず不正利用が如何に発覚したか、です。
ベトナムの銀行の多くはユーザー向けのアプリを提供していて、デビットカードやViet QRなどのキャッシュレス決済・個人間送金などで銀行口座残高に変動があると、アプリにリアルタイムに通知が飛んできます。非常に便利。
で、異変はある土曜日の朝、唐突にやって来ました。突然やって来たのはラブストーリーではなく、恐怖ストーリーでした。
そば茶沸かしながらふとスマホ見たら、めちゃくちゃ通知来てたんですわ・・・(怖)
この鬼通知の画面をとりあえずGoogle翻訳で画像翻訳して、唖然。
もうね、数分おきに何か謎の利用(Facebook(Meta)Pay的な何か)があって、その度に残高が減ってるんですよ。こちとら優雅にそば茶沸かして飲んでるだけなのにお金が減っていくんですよ。
「え?なになに?今沸かしてるこのそば茶、従量課金制?」
とか頭が混乱するわけですよ。
日本のクレジットカードとかだと、月1の明細で後から気付くじゃないですか。あれはあれで怖いのですが、一方、リアルタイムに残高が減っていくのは、今この瞬間にも自分のHPがどんどん減っていくみたいで別の怖さがありますね。
実はこの状況に気づいたのは、最初の不正利用の発生から2時間半ほどが経ってからでした。確か土曜の午前中なので、ジムに行ったりブログを書いたりしてて携帯をあまりちゃんと見てなかったんでしょうね。気付いた時には既に16件ほど不正利用されていました。
不正利用が始まってからカードをロックするまでの大体の流れはこんな感じです。
ですが、一件一件が小額だったのと、気付いた後10分ほどでアプリからカードをロックする事が出来たため、総額約4.2milドン(約2万4千円)程度で済みました。この被害額についても、現在銀行に不正利用申請中で、恐らく返還される見込みです。→後日更新:無事全て返金されました!
銀行担当者とチャット(参考)
さて、こちらは知っておくと役に立つかも的な参考です。
鬼通知の恐怖の中、まずは筆者も対処方法が分からなかったので、VCBの担当者にZaloのチャットで連絡しました。
とりあえず鬼通知のスクショを送って「カードを止めたい」旨を伝えると、有り難いことに秒で返事が返ってきて、カードの止め方を教えてくれました。
ところでこの銀行の担当者との連絡の取り方ですが、経験上いくつか方法がありそうです。
- 何かの手続きや問合せ時にZaloを交換しておく
- 一定条件を満たして専任サポートの付くステータス取得
1番目は誰でも取り得る方法で、銀行の窓口で何かの手続きをした際などに、名刺をくれる事があるので、「何かあったらZaloで問合せしてもいい?」と訊くと、OKしてくれる事があります。
ナンパじゃないですよ!結構ベトナムではよくある営みです。するとその人の機嫌が良ければ、
「何か困った事があったら連絡して。お友達でも困ってる人がいたらサポートするから言ってね」
などと言ってくれたり。なんて優しく、そして緩いんだベトナムの人達よ・・・!!
2つ目は、一定以上の条件を満たしてステータス(VCBの場合「Vietcombank Priority」)を取得することで、専任のプライベートサポート担当者が付く場合があるので、そちらを利用するというもの。それが可能ならもっと話は早いですね。
銀行アプリでのカードロック手順
ここからが本番。銀行アプリでのカードロックの手順です。
この方法を最初から知っていれば、上の銀行担当者とのチャットは不要です。
なお以下はVietcombankアプリでの事例なので、参考まで。自分のカードの発行銀行での方法を予めチェックしておくと良いでしょう。
①アプリトップの「Accounts & Cards」
②「Card」の中の対象カードを選択
③「Services」の中の「Unlock card」のトグルをタップ(「Unlock」をオフに→「Lock」される)
これでカードのロックは完了。カードのステータスが「Locked」に変わりました。
ということでめちゃくちゃ簡単です!!
しかし数分後、再び通知ががが・・・!!
と思ってよく見ると、
「TXN(Transaction) NOT PERMITTED」
となっており、しっかりブロック出来てる!
敵さんこの後もトライしたようで、数件同じエラー通知が来ましたが、やがて去っていきましたとさ・・・
不正利用額返還・新カード発行申請(店頭)
上の作業でとりあえずの危機は去りましたので、ここからは事後の手続きで、急がないため銀行の店頭で行いました。
- 不正利用額返還申請
- 新カード発行申請
なお、1の不正利用額の返還申請は実はアプリ上でも出来ます。
ただ筆者の場合、件数が多すぎてアプリで一件一件申請するのは面倒なのと、どちらにしてもカードの新規発行のためには店頭に行く必要があったので、銀行窓口に行って一度に手続きしてしまいました。
不正利用分の返還申請は、窓口で該当取引を伝えて用紙に記入して提出します。するとその日のうちに、アプリとEメールで、「この取引の返還申請を受理しました」「遅くとも10月3日までには結果が出ます」という連絡が届きます。
デジタル化進んでんな・・・。
カードの新規発行には、パスポートとTRC(レジデンスカード)が必要です。カードは一週間で出来るので、その頃再び店頭に受け取りに行きます。
これで、銀行関係の手続きでやるべき事は全て完了です。不正利用分の返還申請の結果が出たら、記事をアップデートしたいと思います。
あとは、Grabなどのサービスに登録しているカード情報を更新する必要があります。新しいカードが届くまでは、一旦日本のクレジットカードなど他の支払手段で代用します。
(10月9日追記)新カード発行、そして無事返金!
その後の経過を追記します。
まず新しいカードは予定通り1週間後に発行されました。
番号が変わっただけでなく、デザインもセキュリティの高い、今風のものに変わっていました。カード番号などの情報が表面ではなく裏面に印刷されています。店頭でカードを利用した際に番号を読み取られるリスクを低減する狙いです。
そして肝心の返金申請ですが、無事に全額返ってきました!
Vietcombankのスマホアプリと登録メールアドレスに審査結果と返金の連絡がドバドバっと届きました。
ただこんなところでもベトナみが・・・。
一つは、申請時には「10月3日までに結果が出る」とあったのに、実際に来たのは10月8日で、もしや却下されたのかと焦りました・・・。
そしてもう一つは良いベトナみ。何故か返金総額が申請額より多い・・・それも誤差とは言えないレベルで・・・不正利用に遭ったのに結果もうかオッホンオッホン!
ということで、一応ちゃんと返ってくるもののようなので、不正利用に遭った際には忘れずに申請しましょう。
カード情報漏洩の経緯と防止方法
さて、この不正利用が起きた原因。これは類推するしか無いのですが、今回の場合は比較的明らかです。
前日の夜に職場の近くのローカルベトナム料理屋で仕事関係の方々と飲んだのですが、ここで店員にカードを渡してしまったという、教科書通りの情けない漏洩パターンです。つまり、渡している間にカードの番号や裏のVCCコードがメモられてしまったのでしょう。
通常こうしたローカルの飲食店等で支払う場合は、銀行アプリのVietQRで払うのですが、たまたまその時電波が悪くてVietQRが使えなかったのに加え、現金が足りなかった事(最近は現金は殆ど使わない)、人を待たせていたので早く済ませたかった事など、色々重なったためカードを渡してしまったんですね。
そして何より、この店は割とよく通いつけている店なので、油断していたというのが一番大きいです。
そのような感じで、よほど畏まった会食以外の飲食店でカードを渡すことは殆ど無く、記憶の限りここ1ヶ月くらいで物理カードを渡して支払ったことは無いので、この店しか有り得ないというわけです。
※ベトナムのキャッシュレス決済普及状況についてはこちら↓
と言うことで、カード情報の漏洩の防止策は今も昔も変わらず以下に尽きます。
- ローカル店では基本VietQRやApple Payを使う
- そうでない店で物理カードで払う場合、目の前でICチップで支払う(磁気スワイプNG)
- 会食の場合でも、高級店で無い限りカードを店員に渡さない
- 裏面のVCCコード部分をシールで隠す
日系のお店であっても、ローカルの店員に任せている場合は同じリスクがあるので、カードで払う場合は出来るだけ決済端末のところまで行って目の前で決済することをお薦めします。
最後の、裏面の3桁VCCコードをシールで隠すアイデアはVCBのお姉さんが教えてくれました↓。これはいいかも。
てか4000ドル不正利用された人もいるのか・・・くわばらくわばら・・・。
いやしかし、アプリも超便利だし、こうやってZaloなんかのチャットで迅速にサポートしてくれるし、ベトナムの銀行、イケてます(VCBの様な国有銀行でさえこうなので、他はもっと・・・?まあVCBは優秀なDXエンジニア部隊を確保する財力がありますからね)。
なんて話を不正利用された輩が言ったところで説得力ないですが(笑)、以上、ご参考になれば幸いです。
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