ダージリン到着2日目の未明、ダージリン近郊のタイガーヒル展望台へ、ご来光に染まる夜明けのカンチェンジュンガ山を観に行く。
一生もんの絶景、拝めるか拝めないかは、山の神様次第。
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(本旅行記は2025年1月27日の記録です)
タクシーでタイガーヒルご来光ツアー
タクシーは早朝4時過ぎに宿の前まで来てくれる事になっている。バグドグラ空港からダージリンまで来る時にもお願いしたスズキスイフトの彼だ。
ダージリン市街から5kmほどに位置する標高2,500mのタイガーヒル展望台で日の出を待ち、ご来光に染まるカンチェンジュンガ山を眺める。
その後、日本の僧侶が建立したJapanese Peace Templeという寺院に立ち寄って、8時頃宿に戻ってくるというツアー(個人タクシーチャーター)である。
なおタクシー料金は、このタイガーヒルツアーとバグドグラ空港〜ダージリンの往復のセットで7,000ルピーでお願いしており、そのうちタイガーヒルツアー分の内訳は2,000ルピー。料金について詳しくは下記記事をご参照下さい。

ということで、早朝3時過ぎに起床して整える。ドライバー氏から「GM」(おはよう)のWhatsappが来たので、寝坊せずに向かってくれているようだ。
Apple iPhone 15 Pro (6.7649998656528mm, f/1.8, 1/35 sec, ISO200)
ドライバー氏から到着のメッセージがあり、暗い坂道を登って国道へ出る。宿のご主人が送ってくれるという。本当に親切である。イッヌも先導してくれている。実に殊勝である。
Apple iPhone 15 Pro (6.7649998663709mm, f/1.8, 1/13 sec, ISO1250)
まだ明けやらぬダージリン市街を行く。他の車も皆タイガーヒルへ向かうのに違いない(適当)。
Apple iPhone 15 Pro (6.7649998663709mm, f/1.8, 1/5 sec, ISO1250)
峠道に差し掛かった。ドライバー氏が唸りを上げる(実際に唸りを上げているのはドライバー氏のクルマである)。
Apple iPhone 15 Pro (6.7649998663709mm, f/1.8, 1/9 sec, ISO4000)
30分ほどでタイガーヒルの頂上に到着する。標高2,500mといっても、ダージリンの町自体がすでに標高2,000m以上なので、それほど激しく峠を登るわけではなく、その辺の町の展望台に登る感じで着いてしまう。
とはいえそれでも2,500m、しかも1月。寒い。服装はユニクロのTシャツの上にユニクロのヒートテック、ユニクロのフリース、ユニクロのウルトラライトダウンと、ユニクロでフル武装している。
Apple iPhone 15 Pro (6.7649998663709mm, f/1.8, 1/35 sec, ISO800)
到着したのは4時50分頃。1月下旬のダージリンの日の出は6時20分頃なので、ここでしばらくご来光を待つことになる。
なお、現地には割とちゃんとしたトイレもあるので安心だ。
Apple iPhone 15 Pro (6.7649998663709mm, f/1.8, 1/9 sec, ISO1600)
空気は澄んでいるか?それが問題だ
さて、カンチェンジュンガが拝めそうかどうか、それが気になる。
ちょうど5時頃、ご来光まで約1時間半。上空の星はクリアに見えている。雲は無さそうだ。
SONY ILCE-7C (20mm, f/2.8, 1/6 sec, ISO12800)
しかし、晴天ならばよい、という訳では無い。問題はその下の低層の大気の澄み具合だ。
タイガーヒルとカンチェンジュンガ山の位置関係は下の図のようになっている。
この図から分かる通り、タイガーヒルからカンチェンジュンガ山を望む場合、間にダージリン市街上空を含む低層の大気を通して見ることになる。なので、いくら天候が良くても、あるいは高高度の大気が澄んでいても、低層域が霧やPM2.5などで濁っていると綺麗に見えないのだ。
改めてカンチェンジュンガ山の方角を眺めてみる。灯りが見ているのはダージリン市街だが、その上空辺りが薄ぼんやりと濁っているのが気になる。
SONY ILCE-7C (20mm, f/2.8, 1/2 sec, ISO12800)
さてさて、山の神様は微笑んでくれるかどうか・・・
輝け!神峰カンチェンジュンガ
5時半を回り、東の空が明るんできた。宇宙と地球の境界線を感じる瞬間だ。
Apple iPhone 15 Pro (6.7649998656528mm, f/1.8, 1/2 sec, ISO5000)
有明の月が刹那の輝きを湛えながら昇ってくる。次に振り向いたときにはご来光に主役の座を譲って姿を潜めていることだろう。
SONY ILCE-7C (61mm, f/4, 1/50 sec, ISO12800)
さて、時刻は17時40分。日の出予定時刻の40分ほど前である。
色付きつつある東の空に気を取られていたが、ふと北北西の方角に視線を戻すと、ダージリン市街の灯りの少し上の方に、先程までは見えていなかった白いものがうっすらと・・・雲か?
SONY ILCE-7C (28mm, f/2.8, 1/10 sec, ISO12800)
これは・・・もしやカンチェンジュンガではないか・・・!!!
さらにもう少し望遠で撮影してみる。
SONY ILCE-7C (63mm, f/5.6, 1/3 sec, ISO12800)
こ、これは・・・どう見てもカンチェンジュンガではないか!!
もう右から見ても左から見てもカンチェンジュンガではないか!!
肉眼ではこれが山なのか一筋の雲なのかが判別出来なかったのだが、デジカメの性能のお陰で確認することが出来た。
やがて、目視でも確認できるほどカンチェンジュンガが赤く染まってきた。あの遥かなる峰々の頂では、今まさに神秘的なご来光が見えている頃合いだろう(この頂きに登り詰めることが出来ればだが)。
SONY ILCE-7C (65mm, f/4.5, 1/5 sec, ISO3200)
これぞまさに霊峰である。
SONY ILCE-7C (28mm, f/4.5, 1/6 sec, ISO1600)
一方、下界のダージリン市街にはまだ灯りが点いている。つまり、カンチェンジュンガ山の頂きは夜明け済みなのに、すぐ下のダージリンはまだ夜明け前、という中々に尊い瞬間である。
すぐ下のダージリン、と書いたが、実際にはこの間には、約6,400mもの標高差があるのだ!
そのような標高差を感じさせないこの視覚効果は、タイガーヒルから見たときのダージリンとカンチェンジュンガとの距離関係によるものだ。下の図の通り、ダージリン市街はたった5kmの至近距離にあるのに対し、カンチェンジュンガは80km以上離れているので、高低差が圧縮されて見えるのだ(カンチェンジュンガがダージリンのすぐそばにあったなら、首を90度曲げて見上げる感じになるだろう)。
さらに、6,400mという標高差が、30分近くもの長い間(筆者の曖昧な実測値だが)、夜明け済みの天上界と夜明け前の下界というコントラストを生み出す。
自然が生み出すイリュージョンはかくもスケールが大きい。
ご来光、そしていよいよ本気を出すカンチェンジュンガ
と、壮大な自然ショーにすっかり満足して一旦ドライバー氏のところへ戻ってしまったのだが、ふとある事実に気がついた。
「あれ?肝心の日の出まだ見てなくね??」
(そしてもっと大事なことに、カンチェンジュンガはこの後更に赤く燃え上がるのだ)
時計を見ると日の出時刻にはまだ数分の間がある。急いで頂上に駆け戻り、東北東の方角が見える場所でスタンバイする。危なかった。
やがて標高2,500mの低地(!)にもご来光の瞬間が訪れる。真っ赤な火の玉が霧の海の中から浮かんできたかのようだ。あの方角には雲海でも出ているのだろうか。
SONY ILCE-7C (80mm, f/8, 1/1000 sec, ISO400)
そして火の玉は完全にその姿を見せた。
SONY ILCE-7C (28mm, f/8, 1/1250 sec, ISO400)
SONY ILCE-7C (70mm, f/8, 1/1600 sec, ISO400)
SONY ILCE-7C (200mm, f/8, 1/2500 sec, ISO400)
そして、振り向けばカンチェンジュンガ。
そこには、いよいよ本気を出す神の峰があった。
赤く燃え上がるように輝くカンチェンジュンガ。これぞ、一生もんの絶景である。
SONY ILCE-7C (81mm, f/8, 1/100 sec, ISO200)
iPhone 15Proのカメラでも収めておく(iPhoneの性能恐るべし)。
Apple iPhone 15 Pro (9mm, f/2.8, 1/140 sec, ISO25)
Apple iPhone 15 Pro (6.7649998656528mm, f/1.8, 1/640 sec, ISO100)
なお、上の写真はα7CとiPhone 15Proのいずれも、RAWをLightroomで現象・後処理しているためかなりクリアに見えるが、肉眼で見た感じおよび現象前の撮って出しでは結構モヤって見えたというのが正直なところである(下の写真)。やはり低層の大気の霞みの影響だろうか。
カンチェンジュンガの本気ショーを共に見守った人々。こんなにたくさん居たんだ・・・
SONY ILCE-7C (28mm, f/5, 1/30 sec, ISO400)
いやはや、もうこれでおうちに帰ってもいいんじゃないか、と思えるほどの素晴らしいスペクタクルであった。このようなインドの辺境(失礼)に足を運び、ヒマラヤ、それもエベレストとK2に次ぐ世界第3位の高峰が朝日に染まる光景を目にする日が訪れるなど、数ヶ月前までは想像すらしなかった。
もっといえば、様々な巡り合わせでこの地に足を運んだとしても、カンチェンジュンガを望めずに終わる可能性も十分にあったのだ。乾季の12月〜1月ですら、それは上で描いたような様々な条件に左右されるため、文字通り山の神様の気まぐれ次第だ。宿のご主人もドライバー氏も、ここ数日は大気が霞んでいたので、カンチェンジュンガが見えるかどうかは運次第、と言っていた(実際、この後訪れるシッキム州ガントクでは一度も拝めなかった)。
そんな気まぐれなカンチェンジュンガをダージリン到着直後に拝む事が出来た上に、ご来光に染まる姿まで全部入りで目にすることが出来たのだから、今回は本当に幸運に恵まれたのだ。

再びドライバー氏のところに戻り、この後Japanese Peace Templeに立ち寄って宿へ戻る。駐車場付近は中々の混雑ぶりなので、日が昇った後はあまりグダグダせず出発した方がよいだろう。
Apple iPhone 15 Pro (6.7649998663709mm, f/1.8, 1/120 sec, ISO125)
つづく
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