外へ出ると、アンコール・ワットのシルエットと蓮の池の輝きに迎えられ、思わず目を細めた。
アンコール・ワットは、アンコール遺跡群の中のほんの一部に過ぎない。
アンコール・ワットを朝日が染めた夢のような夜明けが終わり、そして一日はまだまだこれからである。見るべき場所が盛りだくさんだ。
900年前の王都、アンコール・トムへ向かう。城郭に囲われたアンコール・トムの正面玄関にあたる南大門では、阿修羅のようなオッサンが出迎える。
南大門の上には四面仏が鎮座する。四面仏は、安らかに微笑む観世音菩薩と言われる。ヒンドゥー色の強いアンコールワットを見た後だけに、身近なイメージのある仏教的モチーフにはホッとさせられないでもない。
王都の中心、「バイヨン」。
900年前、バイヨンは、宇宙の中心と言われた。神々が光臨する場所でもある。
ジャヤバルマン7世という偉いおっさんが建てたのだという。
ここは仏教の世界観が支配する。
バイヨンの入り口を守る、シンハ像。
ライオンを表す単語。「シンハ(タイ、カンボジア、スリランカなど)」「シーズイ(北京)」「シーサー(琉球)」そして「獅子(日本)」。
語源は全て、サンスクリット語の「シンハ」と言われている。
しかし、こと「ライオン」について言えば、その源はエジプトのスフィンクスにまで繋がっていくという説もある。
この話だけでビア・シン(シンハービール)5本くらい飲めてしまいそうである。
バイヨンの四面仏。宇宙の中心から下界を見守る。
かつて宇宙の中心であった彼も、今では過去の遺産となり草木と共生しながら安らかに眠る。
我々現代人はその栄枯盛衰の歴史から何を学ぼうか。
バイヨンの中で出会った尼僧。
堀に咲いていた蓮の花。
どこか現実離れしている。
本日のお宿
インドからの胃痛腹痛持ち越しのため記録なし・・・
本日の出費
インドからの胃痛腹痛持ち越しのため記録なし・・・
[2000年12月5日]
※本連載は西暦2000年のインド〜カンボジアバックパック旅の手記を本ブログ向けに起こしたものです。記載内容は当時の手記そのものであるため情報は当時のものであると共に、筆者が学生だった頃の稚拙な文章であることを差し引いてご笑覧頂ければ幸いです。
紺碧と赤土のコントラスト – アンコール・ワット 記事一覧
インド二千年の旅
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