朝、寝台列車の軽やかな走行音で目覚め、トンネルを抜けるとそこは隣国ラオスでした。
大ウソです。実際には国境の手前で列車を降り、トゥクトゥクのオヤジとの泥臭い交渉の後、汗をかきかきようやくメコン川の橋を渡り、ラオスへと突入しました。
ところがところが。とんだトラブルがあったのです。当初、中国雲南省との国境の町まで訪れ、山岳民族と戯れるという壮大な計画を腹の中に収めていたのですが、なんとその町まで行くための航空券が週に三便しかなく、僕のスケジュールでは行くことができないことが明らかになったのです。行き当たりばったり過ぎ?何それ美味しいの?
おかげで僕はアンコの入っていないアンパンの様な腑抜け状態になり、レンタサイクルなる古風なものを借りて当てもなくテクテクと首都ビエンチャン郊外に向かって走ることで気晴らしをしました。しかしそれはそれで新たなる魅惑の体験と出会いをもたらしてくれました。
まず、おばちゃんから「ハチの巣」を買って食べます。
「FUJIBISHI」・・・FUJITSUとMITSUBISHIの合弁企業でも出来たのでしょうか??
こちらはハクション大魔王様でしょうか。
子供がバイクに乗って食料品の仕入れに来ました(違)。
ボーリング場?餃子館?
派手過ぎて有難いのかふざけてるのか判断に迷います。
そのビエンチャン郊外で、変な路地に迷い込んで変な寺を冷やかしたり、道端で遊んでいる子どもをからかったりして進んでいくうちに、さらに山奥の変な寺にたどり着きました。その寺では、「薬草サウナ」という、世にもいかがわしい商売をやっていました。僕はあまりにも暇だったためにその山寺に吸い寄せられて行きました。もちろんサウナと言っても、高床式のボロイ建物の一角に、釜茹でのような部屋が設けられていて、その薬草をドラム缶で炊いた湯気が濛々と上がる部屋に何やら布の様なものをグルグル体に巻いて入るというだけのものです。
するとそこは素晴らしいところで、釜茹での部屋から出るたびにチャーミングなラオス人女学生がお茶をいれてくれ、その度に「15,000キープ(約150ドル)ね」などとくだらない冗談をかましてくれます。
そのチャーミングな女学生がサウナに入るたびに、「さて、しょうがない、もう一度入るか」といって接近しようと試みることにしましたが、そんな事を言っていても、シャイな僕には何も出来やしません。
ただ、そのサウナで出会った日本人学生の男女二人組がとても楽しくて、すぐに仲良くなってずっとそのサウナに居着いて、ラオス人に日本語を教授したりかわいい女学生について論議したりと、充実した時間を過ごしました。
その後一緒に飯を食う約束をしたのですが、待ち合わせ場所があいまいだったために会うことは出来ませんでした。さらに、驚くべきことに名前も何も聞いていなかったので、翌日バンコクへ向かう予定であるということが唯一の手がかりとなっています。おそらくカオサンで、僕は彼らのことを探すでしょう。うーむ、もう一度会えなかったら本当に残念です。
しかしその代わりに、その夜はタイから一緒に国境を渡ってきた二人の男性とメコンのほとりで飲んで過ごしました。彼らは二人とも会社を辞めたりクビになったりというなかなか楽しい経歴の持ち主で、楽しく飲むことが出来ました。
彼ら、今頃どこで何をしてるんだろう。
黄昏れた風を装う筆者。
[2002年9月24日]
ラオス旅行記【メコンを渡れば、ラオス時間】記事一覧
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