KLMオランダ航空の機上から見る欧州の風景はまさにヨーロッパの脳内イメージそのものだった。
経由地であるアムステルダムを発ってオランダ、フランス辺りの上空を過ぎる頃だろうか。すなわち緑の大地に美しく区画された田園と、ミニチュアの芸術品のような町並み、そういった地上絵を見た時のことである。
筆者が欧州に本格的に足を踏み入れるのはほぼ初めてである。かつて中学生の頃、家族旅行でギリシャを訪れたことがあるが、その時のメインはエジプトであり、ほんの僅かに欧州の爪の垢を煎じて飲んだ程度であった。
今回は爪の垢どころか麦汁の上澄みから樽の底のブドウ汁まで飲み尽くす所存である。
サマータイムの残照とポルトガル式エレベーター
さてサマータイムのリスボンは、21時前でもまだ夕焼けの残照が雲ひとつ無い空に残っている。サマータイムというものが何にどの程度有効なのかはよく分からないが、宵っ張りには嬉しいギミックかも知れない。
タクシーでホテル「BERNA」に到着した筆者と細君はビアーを飲みたくて仕方がないのを抑え、まずはシャワーを浴びに部屋へ向かう。
と、そこでエレベーターの扉が立ちはだかる訳だが、これがどうしたものか少しばかり奇妙な出で立ちである。どのように開閉するのであろうか、と見ていると・・・
何と、そう来たか!!
“SUPER BOCK”と”SAGRES”で乾杯
驚愕の余韻に浸りつつカラスの行水のごとくシャワーを浴び、ホテル内のバーに腰を落ち着ける。バーテンダーの女性は目が不自由らしいが、卒なく作業をこなしていく。店内は暗すぎもせず明るすぎもせず程よく静かでその日一日を振り返るのに最適な環境だ。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/3.5, 1/50 sec, ISO1600)
やがて”SUPER BOCK”と”SAGRES”という二種類のポルトガルビールが運ばれてきた。今後旅の道中で常にお世話になるビールのポルトガル代表である。
朝6時の東京で起床してから約24時間連続で行動してリスボンに流れついた身体に鞭打ってでも、これだけはやっておかねば気が済まない。
「ポルトガル上陸に乾杯!」
「昼間からワインを飲みながらブラブラする旅」はこうして幕を開けたのであった。
OLYMPUS IMAGING CORP. E-410 (14mm, f/3.5, 1/30 sec, ISO1600)
(2007.7.13)
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