こんにちは。家族でのベトナム生活もすっかり軌道に乗ってきた10max(@10max)です。
しかし、ベトナムで仕事をしながら生活するためには沢山の手続きを経て様々な謎の許可証を取得しなければなりませんでした。さらに家族帯同となればその謎具合はより混迷を極めます。
雰囲気を伝えるために単語だけ並べるとこのような塩梅です。
- ビジネスビザ(3ヶ月マルチ・正式名DNビザ)
- 家族帯同ビザ(3ヶ月マルチ・正式名TTビザ)
- 労働許可証(ワークパーミット)
- テンポラリーレジデンスカード(一時在留許可証、以下TRC)
何だかマルチ商法でも始めかねない書類の数々ですよね(違)。
しかし問題はこの書類の多さではありません(きっと外国人が日本で働く際も似たようなもんでしょうし)。
問題は、あまりに理不尽で雑なベトナムの入国管理局の対応の方。今回筆者及び家族がこれらの取得をするに当たり、想像の斜め上空(むしろ地下)を行く様々な障壁やトラブルがあり、筆者の赴任や家族のベトナムへの渡航が軒並み遅れてしまいました。
これらのビザや許可証の取得に関する詳細な手続きは他サイト様にお任せするとして、本記事では筆者家族が経験したトラブルやそこから得た教訓や注意点をまとめてご紹介したいと思います。
ようこそ!ベトナムのダークサイドへ!
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ベトナム赴任における基本的な移住手続の流れ
ではこの後ご紹介するトラブル事例の前提となる基本的な流れだけご紹介しておきます。基本的な流れだけでも割とお腹一杯になります。
駐在員本人の手続き流れ
まず駐在員である筆者自身のベトナム赴任に関する手続きは下記の通りです。様々な応用や臨機応変対応はありますが、基本はこんな感じです。
- 労働許可証申請
- ビジネスビザ申請
- ベトナム渡航後、ビジネスビザをTRCにアップグレード
何でこんなに色々あるんだよ!と思われるでしょうからざっくり分類すると以下の通りです。
- 労働許可証:ベトナムで就労して給与を得るための許可証
- ビザ・TRC:ベトナムに滞在するための許可証。ビザは短期でTRCは長期
細かく言うと色々あるのですが、大体こんな感じです。
帯同家族の手続き流れ
帯同家族のベトナム移住手続きは基本的に駐在員(この場合夫であり父である筆者)の労働許可証取得が前提となります。
- (駐在者の労働許可証取得後)家族帯同ビザ申請
- ベトナム渡航
- 帯同ビザをTRCにアップグレード
今回、この1番目の家族帯同ビザの取得が大幅に遅れたため(正確には申請開始自体も)家族の渡航が予定より3週間遅れたのでした。
実際のベトナムビザ・労働許可証・TRC取得手続き紆余曲折履歴
実際に10max家が経験した、今年5月から8月までに渡る、筆者本人と家族のベトナムビザ・労働許可証・TRC(テンポラリーレジデンスカード)取得の道程は以下の通りです。スマホだとちょっと拡大しないと見づらいかも知れませんm(_ _)m
紆余曲折があり過ぎてゴチャゴチャしてしまっているので、少しポイントを絞って解説します。
元々の予定と実際
下表の通り、筆者のベトナム赴任はちょうど1ヶ月、家族のベトナム渡航は約3週間後ろ倒しとなりました。
当初予定→ | 実際 | |
筆者のベトナム正式赴任 | 6月1日→ | 7月1日 |
家族のベトナム渡航 | 7月26日→ | 8月13日 |
特に重要なのは家族の渡航でした。
下記記事の通り子供達の心理的負担がとにかく心配だったため、ホーチミン日本人学校の2学期が始まる8月23日よりも出来るだけ早くベトナムでの暮らしを開始して慣れた上で新しい学校生活に突入してもらいたい、という思いがありました。
なお、当初家族のベトナム入り予定を7月26日としたのは、子供達の日本の学校の1学期終了を待つためです。
ポイント1. 労働許可証取得
手続き上の1つ目のポイントは、駐在員である筆者自身の労働許可証(ワークパーミット)取得です。労働許可証取得は以下2点に影響する重要なマイルストーンです。
- 駐在員自身の赴任開始
- 帯同ビザ申請開始
1については、労働許可証が無いとベトナムにおいて就労し収入を得ることが出来ないため、取得がベトナム赴任の前提となります。
筆者の場合、5月中に労働許可証を取得して6月1日に赴任開始の予定でしたが、申請が一度却下されてしまったため(上図①)、まずビジネスビザ(DNビザ、3ヶ月マルチ)を取得し、6月12日より出張扱いでベトナムに入り仕事を始め、その後ビジネスビザの有効期間内に労働許可証を取得しよう、という半ば見切り発車でのベトナム渡航でした。
その後幸い2度目の申請で労働許可証を取得できたので(6月23日)、1ヶ月遅れの7月1日より正式に赴任扱いとなった訳です。
2は、家族の帯同ビザの申請が、駐在者の労働許可証取得が前提となるので、そのまま家族のベトナム渡航のスケジュールに影響します。
ポイント2. 家族帯同ビザ
2つ目のポイントは家族帯同ビザ(TTビザ)です。当然ながらこれが無いと家族がベトナムに来ることが出来ません。
もちろんただ入国するだけなら15日間の観光目的のビザなし入国が可能ですが、日本の自宅を引き払って出てくるのだから、もし15日の間に帯同ビザが取れなかったら一度日本に戻る、なんてリスクは犯せません。
今回この家族帯同ビザの取得において予想外のトラブルが多発し(上図の②〜④)、家族のフライトを何度も変更した上で、渡航を3週間後ろ倒しする羽目に陥りました。
ベトナムビザ・労働許可証トラブル実体験と注意点まとめ
ではいよいよベトナムのダークサイドであるビザ、労働許可証に関して実際に10max家が経験したトラブルやそこから学んだ教訓・注意点を見ていきましょう。
なお、各見出しの最後の(丸数字)は上図で示した各トラブル(黄色い爆発マーク)の数字です。見やすい様にもう一度掲載しておきますね。
(1)労働許可証の申請却下はもはや芸風である(①)
労働許可証(WP)は一発では取得出来ない可能性がそれなりに高いと思っておいて下さい(特にホーチミン)。
却下の理由とか対策とかを真面目に考えても禿げるだけなので、これはもう芸風だと思って諦めて下さい。
もちろん、労働許可証取得に求められる「マネジメント」だとか「専門性」等をしっかりアピールした書類を用意するなどの基本的な用意は必要ですが、どんなにしっかり用意してもあまり関係ありません。エージェントが色々な理由を挙げてくる場合もありますが、そんなものは後づけです。
筆者は幸い二度の申請で取得できましたが、知人はWP更新の際に三度ほど却下され、途中でビザも切れてカンボジアに一時出国・再入国のような綱渡りをしてました。
これは筆者の想像に過ぎませんが、これはもはや申請代行エージェントと当局が「袖の下」で繰り広げる伝統的ビジネスモデルなのではないかと。むしろそう考えた方が気分がスッキリします。
もちろん一度で承認されるケースもそれなりに聞いたことはありますが、いずれにしてもすんなり通らない事を前提として予定を組んでおく方が安全です。
(参考)労働許可証はエージェントを通すのが近道(っぽい)(①)
まず、以下はあくまでも筆者の経験則に基づく推論に過ぎないと言う事を申し上げておきます・・・。
上記の状況を鑑みると、エージェント(申請代行業者)を通した方が確実で近道である可能性が高い様に思われます(特にホーチミン)。ちなみに筆者の場合、一度目の申請ではエージェントを通さず、二度目でエージェントを通して承認されました。
理由の一つは、申請書類の準備が複雑で、かつ記入内容には多少のノウハウが求められる事です(上でも少し触れた、「管理者」「専門家」「技術者」である事を示すための内容や学歴、従事年数の基準など)。
もう一つは、袖◯の下で繰り広げられる壮大なビジ・・・。
いずれにしても、企業からの派遣などで費用が気にならない場合にはエージェントを通す方が自分で調べる手間も省けて、何より楽です。
繰り返しますが、上記はあくまでも筆者の経験則に基づくものであり、事実かどうかは分かりません。エージェントを通さずとも一発承認されたケースもあると思いますし、時間に余裕がある、あるいは費用に制約がある場合にはエージェントを通す必要はないと思います。
(参考)労働許可証はハノイよりホーチミンの方が厳しい(っぽい)(①)
実は労働許可証が取りにくいという話は、ハノイにおいては必ずしも当てはまらないようです。
これは周囲から聞いた経験則ですが、ハノイ当局では上記ほど大変ではなく、割とすんなり労働許可証を取得できる様で、筆者の勤務先のグループ会社でハノイに本社を持つ某社では、これまでエージェントも使わず一発承認のケースが多いと聞きました。
袖の◯下のはお上の目の届きにくいホーチミンの方がお盛ん、ということでしょうか・・・
(2)不法滞在!?3ヶ月ビザが観光ビザに上書きされる罠(②)
これが今回の記事の中でもっとも驚愕かつ恐ろしかった出来事かも知れません。
上で触れた通り、筆者は6月に予め3ヶ月のビジネスビザを日本で取得した上でベトナムへ渡りました。下の写真がパスポートに貼られたDNビザです。右の方に有効期限が(90日後の)2022年9月4日と記されています。
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ところが、これと労働許可証を以て自分のTRCと家族の帯同ビザを申請しようとしたところ、エージェントから「あなたは今不法滞在状態になっている可能性があるので、このままでは申請できない」と謎の連絡が入ったため、さらに聞いてみると、
「このページを見てほしい。ベトナム入国時に、滞在期限が6月●●日と書かれてしまっている。これが最新の滞在期限だ」
つまり、公式にベトナム移民管理局から在日本ベトナム大使館を通して大仰な手続きを経て取得した3ヶ月のビジネスビザが、タンソンニャット空港の入国審査係のおじさんの(字が汚くてほぼ読めない)一筆によって15日間の観光向けのビザ無し入国扱いに上書きされてしまった、というのです。
結局すったもんだあった末に、やはり空港の入国審査係官のミスという事で上の写真の様に「CANCEL」の印を捺してもらってビジネスビザが復活したのですが、何とも恐ろしい罠です。
教訓としては、例え日本でビザを取得していたとしても以下を徹底する事でしょうね。
- ベトナム入国審査時にビザのページを見せる事
- 入国審査係官が変な事を書いてないか確認する事
今思えば当たり前のような気もしますが・・・。この件について詳しくは別記事に記しているのでご感心有ればご参照下さい。
(3)ラブストーリーと謎ルール変更は突然に(③)
これもベトナムあるあるです。
ビザや労働許可証などに限らず、様々な分野の法制度が朝令暮改のごとく変わります。
今回申請中に突然言い渡された謎ルール変更は以下の2点です。
- 「家族帯同ビザはエージェント経由では受付けられない事になった」
- 「家族帯同ビザは在日ベトナム大使館でしか受け取れないことになった(従来はベトナムの空港でも受け取れた)」
全く意図が分かりませんし、そもそも何故家族帯同ビザだけが対象なのか、謎だらけです。
しかも、新規申請時に言われるなら百歩譲って許せますが、申請してから後で却下という形で通達されたんです!!それが一番許せん・・・
いずれにしても、こればかりは常に最新のルールを確認しながら進めるつつ、祈るしかありません。
なお、上記のルールは謎すぎてその後も生きているかどうか非常に怪しいので、最新情報をご確認下さい。
(4)「ルール変更を当局の役人が知らないボケ」も鉄板ネタ(④)
更に更に悲劇は続きます。
上記の通りルール変更があったので改めて申請し直したところ、再び却下&再申請の通達が・・・。
何かと思ったら、係員がシステムに登録する際に誤って「空港受取」を選択して処理してしまったというのです!!!
聞いてみると、上のルール変更を知らなかったんだとか・・・とほほ。
しかもそれを「再申請しろ」は無いですよね。係員の投入ミスなんだから中で修正処理しといてくれって普通は思う訳ですよ。
(5)ベトナム入国管理局と在日ベトナム大使館は別組織と思うべし
最後に一応知っておいた方が良いポイント。即ち、ベトナムの移民管理局が言っている事と在日本ベトナム大使館のそれは必ずしも同じとは限らない、という事です。
今回はこれに関する大きなトラブルは有りませんでしたが、例えばホーチミンの当局で申請したビザを日本のベトナム大使館で受け取る際などに必要になる書類や代理人受取の可否などは、ベトナム側で尋ねても「それは在日大使館の方では違うからあっちで訊いてくれ」と言われます。
なので、在日ベトナム大使館で証明書等を受け取る際には必ず在日大使館に確認するのが確実なようです。
まとめ:とにかく余裕をもって・・
色々書きましたが、ここまでを踏まえると、根本的な教訓や対策は以下の通りかと思います。
- 時間に余裕を持って計画する
- 予定が大きく遅れた時のプランBを考えておく
・・・・・・対策でも何でも無いじゃないか唐変木!!!
と怒られてしまいそうですが、突き詰めると
- 何が起こるか全く予想が出来ないのがベトナム
- 何が正解か分からないのがベトナム
という二点に尽きるんですよね。これは勤務先のベトナム人社長にも何度も言われました。
あともう一点筆者個人として付け加えておきたい事があります。それは、
- こういう目に遭ってもベトナムを嫌いにならないでね。悪いのはベトナムの役所だからね
という事です。
今回何度も理不尽にベトナム渡航が延ばされたことにより最も迷惑を被ったのは、日本で出国の準備をしていた細君でした。水道やガスを止める手続きを何度もやり直したり、最後の方は疲れが出て「本当にベトナム嫌だ」を繰り返していました。
これはマズイ。
ということで、家族でのベトナム生活を実りあるものにしたいと願っていた筆者は、上の様に責任を全てベトナムの役所と役人に押し付けることで細君(と筆者)のストレスのはけ口にしたのです。
いや、役人だって個人個人はいい奴かも知れんのですが、そこはご勘弁(笑)
と言う事で(どう言うことだ)、多少のトラブルに遭遇しても一喜一憂せずにネタだと思ってやり過ごすのが吉と言えます。
ベトナム移住の際の何らかの参考になれば幸いです。
なお、繰り返しますが、筆者自身はこの分野の専門家ではなく、また本記事には筆者の経験則に基づく推論に過ぎない内容も含まれている事をご理解の上、最新情報は大使館の公式サイトなどでご確認頂ければと思います。
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コメント
初めまして。現在ベトナムの労働許可証を取得しようと奔走しているもので、こちらのブログにたどり着きました。自身で申請するのは困難で、エージェントを探すも15万円ほどの見積もりが届き、これでは予算オーバーであるし、きちんと最後まで責任を持って申請代行して頂けるかも不安です。もしも可能でしたら当時10max様が利用されたエージェントについて、教えて頂けますと大変有難いのですが、難しいでしょうか。突然の不躾なお願いで恐れ入りますが、ご検討の程宜しお願い致します。
AMIさん、初めまして。
読んでくださりありがとうございます。
15万円ですか・・・僕は赴任先の会社のベトナム人スタッフにお願いしているので、エージェントはベトナム語対応になりますが、それでも良いのでしょうか?
ちなみにうちがお願いしてるエージェントは料金はその3分の1くらいですが、日本語対応のエージェントの相場は聞いたことがないので15万円というのがどうなのかは何とも言えませんね・・・。
10maxさん、御返事いただき有難うございます。先ほども別の日本語対応エージェントから見積もりが届き4千万ドン(約25万円)と記載されていて、15万円が安く感じてしまうほどでした。。私の働いている事務所にはベトナム人の従業者がおりますので、ベトナム語対応となっても、きちんと手続きを進めて頂けるのであれば大変有難いです。10Maxさんのように2~3か月で取得できることを願っていますが、伸びてしまったとしても親身に対応してくださるエージェントであればお願いしたいと考えています。是非教えていただけましたら幸いです。宜しくお願い致します。
AMIさん
お返事遅くなりすみません。
25万円・・・ちょっと足元見過ぎですね^^;
うちの知っているエージェントは「24H Visa」というところのようです。
僕が直接対応しているわけではないので応対品質など詳しいことは分かりませんし、責任を持ってお勧めできます!とまでは申し上げられないのですが、もしまだ良いエージェントが見つかっていないようであれば、候補の一つとしてご検討されても良いかも知れません。
10maxさん
こんにちは。時間がたってしまいすみません。またエージェントの情報ありがとうございました。
現地のスタッフに頼んでコンタクト試みたものの電話を取ってもらえない様子でした。ですが引き続き挑戦したいと思います。
この度は貴重な情報いただきありがとうございました。
ホーチミン3区の雰囲気素敵ですね!(ちなみに私の所属先は2区にありますが、普通です。。)
ぜひこれからも駐在頑張ってください!
AMIさん
返信が遅れてすみません。
中々難しいのですね・・・現地のスタッフの方がおられるなら人づてに良いエージェントを調べてもらえるかも知れませんね。
AMIさんもホーチミン生活エンジョイして下さい^^