空港を出た瞬間に体に纏わり付く湿った空気、よく分からない匂い、ヤシの木のシルエットとクラクション・・・飛び込んでくる全てのアジア。
子供達にとって初めての東南アジアであり、ベトナム。思春期にある彼らは何を思い、感じただろう。
SONY ILCE-7C (84mm, f/4.5, 1/100 sec, ISO5000)
ついに昨夜、家族がベトナム・ホーチミンのこの部屋にやって来た。
当初は7月26日にやって来る予定が、ベトナムの入国管理局の役人達による様々なあれこれにより、ここまで遅れてしまった。この国の役人達がサイゴンビアとビザ発給の優先順位を誤ったのかあるいは飲みながら仕事をしていたのかあるいは袖の下が足りなかったのかは定かではない。
いずれにしても昨夜、ようやく細君と子供達がベトナムへやって来た。
「10maxさん、独身最後の夜はどう過ごされるんですか?」
家族を迎える前夜、職場の後輩に言われたものである。
至極まっとうな問いである。このような状況では正体不明になるまでレタントンなどの飲み屋街で飲み明かすなどと言った発想をするのが一般的だ(どの業界で一般的なのかは不明)。
しかし筆者はこう答えたものである。
「今夜は廃人のようにアマプラをダラダラと観ながらビールをダラダラと飲むんだよ」
という事で筆者は家族がやって来る前夜、人目を気にすること無くグダグダとアニメを観ながらビールともち米焼酎を飲むというどうでも良い夜を過ごした。そして時折部屋の中の片付けをした。
要は落ち着かなかったのだ。家族がやって来るのを目前にして、この部屋にどう迎えたものかを考えると、外で飲食をする気にはなれなかったのである。
SONY ILCE-7C (95mm, f/18, 1/25 sec, ISO12800)
タンソンニャット国際空港の到着ロビーは人でごった返していた。
抱き合って再会を喜ぶ家族やおろおろと周りを見渡す旅行客などの様々な感情も同時に渦巻く。
細君や子供達はどんな表情をして出てくるのだろう。月並みだが、不安と期待が入り交じる。
SONY ILCE-7C (200mm, f/5.6, 1/30 sec, ISO2000)
家族はカートに載った大量の荷物と共にあっけなく出口から姿を表した。手を振るとすぐにこちらに気付く。駆け寄っていきみんなで肩を抱き合う。大丈夫そうだ、この国で家族4人で楽しくやっていけそうだ、と感じる。
タンソンニャットからアパートのある7区までのタクシーでの道中、長男は窓外の風景に興味を惹かれていた。バイクが波のように流れていく光景を印象に残すとともに、自らもバイクに乗って町を流してみたくなったようだ。
そして次男は日本でしばしの別れを交わしてきた友人たちへLINEを送っている。異国から日本の友達とやり取りするという不思議な感覚を早速味わったようだ。ちなみに翌日には筆者がこの記事を書いている前でXboxで友達とFortniteを楽しんでいた。
そして二人ともひとまずアパートの雰囲気を気に入ってくれたようで、ホテルのごとく部屋ではしゃいでいた。
アパートには胡蝶蘭が飾ってある。この胡蝶蘭は2ヶ月前、家主から入居祝として頂いたものだ。下の写真は入居日に撮影したものである。
SONY ILCE-7C (42mm, f/3.2, 1/60 sec, ISO100)
それから丁度2ヶ月、だいぶ数は減ってしまったが、胡蝶蘭は家族を迎えるまで咲き続けてくれた。胡蝶蘭の花が楽しめるのは通常1ヶ月から長くて2ヶ月程度であることを考えると、頑張ってくれたものだ。
SONY ILCE-7C (53mm, f/3.5, 1/60 sec, ISO400)
部屋の中には途方もなく荷物が広げられ、いつ片付くとも先が見えないが、それはさておきサイゴンビアとダラットワインで祝杯を挙げた。物事の優先順位を誤ってはならない。
SONY ILCE-7C (60mm, f/4, 1/60 sec, ISO2500)
翌朝、ベトナムでの最初の食事はアパートの目の前のお馴染みのフォー屋で摂ることにした。
家族初フォーである。
アジアの町角で家族でアジアの麺を囲む。これをいつの日か現実のものにしたいと夢に見ていた。密かに感無量である。
フォーの味については気に入ってもらえると自信を持っていたが、期待通り子供達の好みに刺さったようで、「明日の朝もフォーがいい」と言い出す有様だ。大成功である。
Apple iPhone 12 Pro (6mm, f/2, 1/60 sec, ISO200)
この日は、この後家族の分のSIMカードや日用品を買い出しに行き、Pizza4P’sで次男の誕生日祝を行ったりした。終始楽しそうな子供達の姿を見て、心の底から安心することが出来た。
ついに細君と子供達がベトナムへやって来た。
来る前は色々と不安が募り気を揉んでいたが、滑り出しとしては想像以上に良いものとなった。
どのような面白おかしいベトナム生活にしていこうか、今は楽しみで仕方がない。
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