こんにちは。ホーチミンに住んでいながらズボラ過ぎてホーチミンの観光スポットへ中々足が向かない10max(@10max)です。
とは言え何かと通りかかることの多い「サイゴン大教会(サイゴン聖母大聖堂)」。サイゴン中央郵便局の隣で延々と修復工事が行われている、恐らくホーチミン市内で最も有名なキリスト教の教会です。
先日筆者の職場のベトナム人と話していて、その修復工事が終わらない理由について「なるほどそういうことね」という納得感が得られたので、「あれはいつ来ても工事中ジャマイカ!」と言うツッコミを抑えられない旅人の皆さんなどのために綴っておきたいと思います。
「工事中」の方が有名になりつつあるサイゴン大教会
このサイゴン大教会、言うまでもなく相当な歴史と由緒の塊のような建築物なのは間違いありません。サイゴンがフランス植民地だった19世後半に17年の歳月をかけて建設され、1880年に完成以来、既に150年近くこのサイゴンの街を見守って来ました。
しかし・・・大変正直なところ、サイゴンをこよなく愛する旅人や在住者の間では、そうした教会そのもの素晴らしさよりも、
「工事が全然終わんねぇじゃん!」
という方がネタとして有名になりつつある感があります(笑)
何しろこの修復工事は2017年に始まり、2023年が終わろうとしている今も未だに続いていて終わる気配を見せません。
2019年当時はこんな感じ↓で、まだお顔を拝見出来ました。
が、コロナ期間中から今現在に至ってはこんな感じ↓になってしまい、旅行で来られた方には大層がっかりな感じに・・・(いやむしろ前向きに貴重な姿と捉えましょうか)。
サイゴン大教会の工事が終わらない理由
改修工事が始まってもはや足掛け7年にもなるのに、一体なぜそんなに時間がかかるんでしょう。例えコロナの影響があったにしても、ちょっと長過ぎるよね・・・と。
ベトナムはこういうの本当に多いですよね。その代表格はメトロ。ハノイメトロ2A号線は2011年に建設着手してから延期に延期を重ねた末2021年にようやく運行開始。ホーチミン市メトロ1号線は2012年に建設着手されましたが、こちらも2023年現在未だに運航していない有様(一応2024年開始予定・・・)。
ベトナムって、民間はそこまでではないのですが、特にお役所方面の契約ごとや手続きはカオスの極致です。筆者も仕事で何度か経験しましたが、合意に至るまでに訳の分からない横槍が入ったりして死ぬほど時間が掛かる上に、契約締結後2週間で反故にされて揉めたり(反故に出来るという発想が凄い)、なんてのは朝飯前。
なので、サイゴン大教会もその類のベトナムあるあるなんじゃないの?などと思っていたのですが、どうもちょっと違うようなのです。
これは単なる「修復」と言うより「ガチの復元」だった
で、たまたまこの辺の事情について筆者の職場の上司兼ローカルグルメ師匠でもあるベトナム人社長と話す機会があり、目から鱗が5枚くらい落ちる思いがしたのです。
時間がかかっている理由を一言で言うと、これが単純な「改修」や「修復」というよりも、完全に元の姿に「復元」しようといているから・・・それも、かなり「ガチの復元」だから、という事になるでしょう。
何が違うんだよこの唐変木!と言われそうですが・・・要は単に壊れたところを直すだけでなく「限りなく元の状態に戻す」というような感じです(専門的には「復元」と「復原」の違いだとか、何を「元の状態」とするか、などあるのでしょうけど、まあその辺は)。
どのくらいガチの復元かと言うと、使われている材料も工法も当時を完全再現しようとしているということなのですが、実はあの建築に使われている瓦一つ一つ、レンガ一個一個に至るまで、全てフランス産の材料で作られているのです。つまり、今回の復元においても全く同じフランス産の原材料を海の向こうから取り寄せて作り直しているらしいのです!
そうなると、ただでさえ時間と手間がかかる上に、少なくともコロナ禍の間は殆ど作業が進まなかった事になります。
また、その資金の出元もかなりガチンコです。ホーチミン市などの税金を使っているのかと思いきや、何とサイゴン大司教区などのカトリック教会の教徒の寄付によって主に費用が賄われているらしいのです。
そうなると当然ながらまとまった資金が集まるまでに時間が掛ることになります。
想像になりますが、本当にこの大聖堂をリスペクトしているカトリック教徒達の手で復活させたい、あるいは、仏教徒の多いこの国で税金という手段は相応しくない、というような意図があるのかも知れません。
いずれにしても中途半端な改修ではなく、かなり本気度の高いプロジェクト故に時間が掛かっていると言うことのようです。
ベトナム語ですが、下記記事に関連した内容の記述があります。
ということで、サイゴン大教会の修復工事は、単にベトナムあるあるのだらしない感じで時間がかかっている訳では無く(それもゼロでは無いのかも知れませんが)、中々胸熱な思いがあっての事だと分かりました。中途半端に復元しようとして残念な感じになってしまう歴史的建造物にちょいちょいお目にかかるので、こちらは楽しみにしたいところ。
そういうことなら、生ぬるい目で見守ってあげようじゃあありませんか。むしろそんな熱い復元作業の模様を見られる貴重な機会なので、工事中のサイゴン大教会を見にホーチミンへお越しになってはいかがでしょうか^^;
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