ベトナム生活編

ベトナム人のド直球な親切心とビジネスでのゴタゴタと「だってその方が良いじゃん」思考について

こんにちは。飲み会のアレンジの時だけ親切力が3倍になる10max(@10max)です。

ベトナムに住んでいて「良い国だなあ」と思う理由の一つに、

  • 「ベトナムの人々はとても親切!(何ならちょっとおせっかいだけど愛らしい)」

というものがあると思います。恐らく多くの人に共感して貰えるんじゃあないかと思います。

一方でベトナムのローカル企業と仕事をしている日本人の間では

  • 「ベトナム企業はすぐに合意事項を覆すし時間が掛かるし、中々一筋縄に行かん」

というもの割とありがち。筆者含めこうした経験を持つ方は少なく無いと思います。

 

で、ベトナムに2年ちょっと駐在していて、一件関係の無さそうな「これらの事柄の根っこは同じところにあるんじゃないか」と思い始めたんですよね。

 

なお、以下ところどころで「日本人・ベトナム人はこうだ」的な主語の大きな表現が登場するかも知れませんが、筆者にその意図はなく、

  • 経験上「そういう傾向が多い気がする」だけで、例外なく全てという事ではない
  • どちらが良い・悪いという話ではない

ので、あまり厳密に考えずに「そういやそういう事多いかもね」くらいの生温かい目で読んでやって下さい。

ホーチミン3区の市場通りSONY ILCE-7C (50mm, f/1.8, 1/800 sec, ISO100)

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とにかく親切なベトナム人

とにかく明るい・・・じゃない、親切なベトナム人。ベトナムの人達が皆

「安心して下さい!はいてますよ!」

などと言っている訳ではないので、安心して下さい!

出典:テレビ朝日

ベトナムの人達は、とにかくド直球に親切で、優しい気遣いの気持ちを隠さずに全力でぶつけてくる人が割と多いです。それこそ、パンツ一丁はいているかどうか、というくらい包み隠さず親切心をぶつけてきます。

職場に居ると、常に何らかの食べ物を誰かが配ってくれます。「Hi, 10max san!」などと言いながらお菓子やフルーツなどが常にデスクに配給されるので、ベトナムで飢え死にする事だけは無さそうだし、逆に痩せるのも不可能だと諦めています。以前朝の9時半にトウモロコシが丸ごと一本配られた際には流石に驚きました。ちょっとお腹一杯でしたが、嬉しい話です。

お気に入りのカフェを見つけて通い始めると、すぐに顔やいつもの注文を覚えてくれます。大変心温まります。ただし油断すると席についただけで注文していないのに持ってきてくれそうになるので要注意です。

その辺の路地でちょっと道に迷っている風な感じを見せようものなら、訊いてもいないのに、その辺のおばちゃんやおじさんがベトナム語で(全く理解できない)一生懸命道を教えてくれようとするし、何なら別に道を訊きたい訳じゃないのに行きたくもない方へ誘導されたりして、嬉しいやら何やら(笑)

ベトナムでは、仏教に根ざした「富める者が貧しい者を助けよ」「困っている人を見たら助けるべし」という思想が根付いているという話があるので、関係があるのかも知れません。トウモロコシをくれたのは筆者が死ぬほどお腹を空かせている様に見えたのかも知れません・・・な訳あるかい!!

とにかく底抜けに親切なベトナム人達なのです。

ホーチミン3区の路地裏の風景SONY ILCE-7C (48mm, f/2.8, 1/160 sec, ISO100)

難しく考える日本人と「だってその方が嬉しいじゃん」なベトナム人

こうした親切な気遣いは間違いなく心温まる有り難いことなのですが、場合によっては、日本では「おせっかい」と感じてしまいそうなケースもあります。

例えばこちらのケース。

おばちゃん:「ここに置いてあったから洗っておいたわよ!ちゃんと分かってるんだから!(ドヤッ)」(ベトナム語と顔芸より推測)

筆者:「お・・・おう・・・!」

典型的な「良かれと思って」事例ですw

オフィスでの夕方15時半くらいの出来事だったため、洗おうとしているのかまだ飲んでいる途中なのか微妙なところなので、今の日本であれば勝手に洗う人は少ないでしょう。

もちろんこのおばちゃんの親切心はめちゃくちゃ嬉しいですし、ましてや責めるつもりなど毛頭無いですが、ここで言いたいのは日越での受け止められ方の違い。もしかすると日本であれば「逆に気が効かない」とすら言われるかも知れません。

 

次のケースは、祝われた方はもちろん有り難みがちょちょ切れるのですが・・・

もちろん泣きそうなくらい嬉しかったのですが、一方であまりに大掛かりだったため、筆者含む七面倒臭い日本人ならば、「他の人にはやってないのに不公平になるんじゃないか」「これ一度やったら毎年続けないといけなくなるんじゃないか」議論が沸き起こりかねない案件です。

しかし彼らにしてみればシンプルに

「だってお祝いしてあげた方が喜んで貰えるし楽しいじゃん」

というだけの事のようです。

 

つまり、世界的に見ても考えすぎな日本人の多くは、「その行為を行った後や周囲への影響」を考えがちですが、ベトナム人の多くは「だってやってあげたら喜ぶでしょ」「やった方が楽しいし嬉しいじゃん」と言うシンプル&ド直球の感情で動くことが多い模様です。

どちらが良い悪いではなく、発想のアプローチが違うようなのです。

ホーチミン市内のビア・サイゴンの看板SONY ILCE-7C (50mm, f/2, 1/50 sec, ISO160)

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ビジネスがまとまらないベトナム人

少し場面は変わってビジネスシーンのお話。

10年ほど前に、日本側からベトナムの企業との協業や売買の交渉の仕事をしていた際には、色々と苦労しました。

例えば条件交渉で合意をして覚書にサインを交わした直後に、ちゃぶ台をひっくり返すような条件を要求してきた事が何度もあり、しかもそれを何の悪びれもなく当然の事のような口ぶりで言ってきたので、その度に顎が外れそうになり、顎がいくつ有っても足りない思いをしたものです。

また、合意に至ったあとで先方のグループ会社や社内から横槍が入り、全く事業が進まなくなってしまったり、酷い時には何ヶ月も掛けた交渉が全て無かったことになってしまった事もありました。

その頃、筆者の上司はよく

「ベトナムはあかん!最悪や!ベトナムはほんまお話にならん!!」

などと悪態をついていましたし、筆者も同様の印象を持っていました。

同時期にタイやマレーシアなどの企業とも仕事をしていましたが、そこまで想定外な事は無かったんですよね。あったとしても、少なくともビジネス慣行に照らして「申し訳ない」と思っているらしく、理由(言い訳)を説明してくれますから。

Apple iPhone XS (4.25mm, f/1.8, 1/25 sec, ISO500)

生真面目な日本人と「だって言った方がいいじゃん」なベトナム人

ところが、ベトナムに赴任してベトナム人が経営する会社で仕事をしているうちに、気付いたことがありました。

顧客向けの提案内容について社内のベトナム人責任者などと話していると、顧客に説明をして合意したり、場合によっては契約書にサインをした後であっても、「ここは顧客と再度交渉しよう」「この条件は変更して貰おう」などと、平気な顔で言うのです。

日本人の感覚ではそれは流石にマズイので、筆者が「いやいやもうお客さんに説明して合意しちゃったじゃん。そんなん今更言えんて」などと言っても、「え?10max-san何言ってるの??」てな感じで噛み合いません。

 

あれ?これっていつかどこかで見たような・・・??

 

そう、まさに10年ほど前に日本側の当事者として体験していた事を、ベトナム側の当事者として追体験しているのです!

相手がベトナムローカル企業ならともかく、日系企業が相手の際にはそんな二枚舌のような事を言っては信用に関わるので、何とか社内を説得するのですが、どうも彼らと話していると、何も悪気はなさそうな感じ。

「だってこっちの条件の方が良いじゃん。だったら言った方が良いじゃん」

という、非常にシンプルな思考回路のようなのです。

ちなみに10年前に筆者が日本側で交渉していた相手はベトナムの国営企業、一方今働いているのは地場のスタートアップ企業なので、企業文化も相当違う訳で、この辺りはどうも、割と多くのベトナム人の根底に共通する思考回路なのかも知れません。もちろん全てではなく、日系企業で働いたことがある人材など、たまに日本人の言い分を分かってくれる人もいるんですけどね。

これは単純に良い悪いで片づけるのは難しく、要求をストレートに伝える事のメリットがある一方で弊害も大きく、単純な契約書一つだけで、合意した後から後からちゃぶ台返しがさく裂して、ちゃぶ台がいくつ有っても足りない、即ち全然契約がまとまらない、というのがベトナム企業あるあるのように感じます。日本人のように相手の考えも察しつつ「お互い納得できそうな落としどころ」を探すという発想は、全く無い訳じゃないにしても、最優先ではない感じ。

※少し話は逸れますが、もちろんこれ以外の要因もあるとは思いますけどね。例えば過度な個人責任回避傾向等も、自社に不利な方針を言い出しにくかったり意思決定を渋ったりなどの背景にあるのかも知れません。その辺りは深堀りしにくいので想像するしか無いのですが・・・

そう言えばホーチミンメトロがいつまで経っても運行開始しない件も、この辺りの要素が「ベトナムあるあるの宝石箱や〜」といった感じで複合的に発動している事に起因していると言えそうです。

出典:彦摩呂公式HP

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共通するのは純粋な「そっちの方が良いじゃん」思考

さて、話を元に戻しつつまとめて行きます。

つまり筆者が感じるのは、多くのベトナム人に共通する思考回路として、日本人のように後先や周囲への影響を難しく考えず、

  • 「だってそっちの方が嬉しいじゃん」
  • 「だってそっちの方が良いじゃん」

というシンプルかつド直球な発想が根底にあるように思うのです。

ベトナムの人達のストレートな親切は、日本でなら確かにおせっかいと受け取られることもあるでしょうけど、異邦の地で暮らしているものとしては実に有り難く、心地よいものだなと感じます。

ビジネスの話については、相対しているのがベトナム人の場合、相手方も「確かにその方が先方にとっては有利なのだから交渉してくるのは当然だろう」と考えるとすれば、何ら悪びれることが無いのも頷けます。

 

この思考パターンがもし本当に根底にあるとすると、日本人には理解しがたい色々なシチュエーションを割と分かりやすく説明してくれるんですよね。

例えば公共の場で爆音でカラオケしてたりするのも、周囲への迷惑云々より、その場が楽しいから、というシンプルな発想が前に来る。まあそれで迷惑に感じた近所の人が殴り込みを掛けて死傷者が出たり的なニュースが絶えないので、やはりその辺りは意識改善される方がよいとは思いますけどね。

ただ、一方で多くの日本人の場合、難しく考え考えすぎて行動に移せない、判断が遅い、あるいは誤解を生む、といった負の側面もあるので、シンプルなベトナム人の発想には見習うべき点もあるのかな、とは思います。

 

何にしても、こういうカルチャーや考え方の多様性って、本当に面白いなと思います。

ベトナム・ハノイの自宅カラオケ設備

Apple iPhone 12 Pro (6mm, f/2, 1/35 sec, ISO800)
ハノイ某所にて。あまりの爆音に野外コンサートか何かかと思ったらまさかの自宅カラオケ設備だった。。。

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