ベトナム生活編

ベトナムにて暮れゆく年を振り返る – 子供達の成長は国境と想像を越えて

ムイネーのビーチは波が高く、海遊びに疲れた子供たちはホテルの部屋で思い思いの時間を過ごしている。潮騒の音に包まれながら、14歳の長男はメモ帳に絵を描き、12歳の次男はスマホでYouTubeを観ている。

この光景を見ていると、家族でのベトナム生活を始めてから半年余りしか経っていないという事が信じられない。ベトナムでの暮らしがすっかり日常と化しており、家族での異国生活に期待とそれ以上の不安を抱いていた頃が遠い昔のようだ。

OLYMPUS CORPORATION E-M1MarkII (22mm, f/3.3, 1/500 sec, ISO200)
ムイネーのホテルにて(2022年12月31日)

知らぬ間に逞しくなっていた

日本人学校が冬休みに入り、子供達は子供達だけで外に遊びに行く機会が増えた。小6の次男はさすがに親が送り迎えをするが、中2の長男に至っては行き帰りも一人でGrabやタクシーに乗るようになった。

実はホーチミン日本人学校のパパ友・ママ友達によれば、これまでこうして子供達だけで約束して遊びに行くということはほぼ無かったそうだ。そもそもベトナムというだけでも子供達だけで遊ぶのには適していない上に、小学校高学年〜中学入学という時期にコロナ禍のロックダウンが重なり、そういう機会に恵まれなかったようだ。

一方我が家の子供達は日本で(コロナで限定的とは言え)友人達と遊びに行くことが当たり前だったため、日本人学校の友人達に対しても休日に遊びに行くことを自然と提案するようになり、こうした新しいムーブメントに繋がったようだ。

ベトナム赴任の話を受けるか否か迷っていた頃、そして先にベトナムに渡り家族を待っていた頃、子供達が不登校になりやしないか、帰りたいと泣き出しやしないかと常に心配していたものだが、果たして子供達は親の想像を遥かに超えて逞しくなっていた。

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ジャンプアリーナ トランポリン ホーチミン

Apple iPhone 12 Pro (6mm, f/2, 1/50 sec, ISO640)
ホーチミン市7区のジャンプアリーナにて(2022年12月29日)

国境を超えると言うことについて

家族には来越早々ローカルベトナム料理の洗礼を浴びせると決めていた。

油断すれば日本とさほど変わらない生活が送れてしまう(特に食については)ホーチミンだが、「それでは意味がない」とまで言い切る自信はないものの、少なくとも勿体ないと思っていたからだ。日本で見ているものだけが常識ではない、という事を伝えるには、ローカルベトナム飯屋の風呂椅子に座ってもらうのが最も手っ取り早い。

家族来越1週間 - ベトナムローカル飯屋でビールを飲みつつ家族を染め上げる。
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そしていつしか子供をして

「せっかくベトナムに住んでるんだからベトナムらしいところに行きたい」

と言わしめるところまで英才教育を施す事が出来た。

サイゴンスカイデッキから街と歴史を展望し、ローカル飯屋の風呂椅子に腰を下ろす夜
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こんなのは親の勝手な趣味に染めているだけなのだが、決して悪い趣味ではないと信じている。

英才教育と言えば、バックパッカー沼にも片足を突っ込ませることが出来た2022年であった。以来、旅行の計画の話をすると子供達が「ホテルはフエの時みないなので全然いいでしょ」と言うので細君がうろたえている。

悪くない傾向だ。

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フエ 夜の路地 安宿街SONY ILCE-7C (42mm, f/3.2, 1/200 sec, ISO12800)

また子供達はベトナム人家庭との交流の機会も持つことが出来た。ベトナム人の同僚の家のパーティに招いてもらったのだ。

そこで繰り広げられる英語での会話を見て

「お父さんみたいに海外で英語を使った仕事がしたい!」

などというキラキラした事を子供達に思って貰いたいという期待は端からしていない。何しろ彼らは(特に長男は)英語が大の苦手かつ嫌いな科目なのだし、英語なんて後から何とでもなる。

ただ、世界には様々な人々や文化があって、こういう乾杯の仕方があって、こんなにも広いものなんだ、という事を雰囲気として、可能性として感じ取ってもらいたかった。

場が盛り上がるにつれて長男がベトナム式乾杯「モッ、ハイ、バー、ヨー!!」に何気なく参戦していたと言うそれだけで、十分に大きな成果が上げられたと思っている。

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Apple iPhone 12 Pro (4.2mm, f/1.6, 1/60 sec, ISO125)

年末感は無くとも暮れゆく2022年、そして明くる2023年

かくしてムイネーの波の音を聴きながら2022年の大晦日を迎えている。今年最後の夕陽は雲間に見え隠れしつつ、最後の残照を残して沈んでいった。

ベトナムでの大晦日には年末感がない、というのは噂には聞いていたが、ここまでだとは思わなかった。師走になっても全く手を緩めない暑さに加え、ベトナムでは文化として旧正月(テト)こそが新年であり、西暦上の年末年始はほぼ通常営業だという事も要因だろう。日本から持ってきた秘蔵っ子の日本酒を開けたりしたが無駄な抵抗であった。

しかし昨2021年末、上司からベトナム赴任の可能性を打診され、泣いたり拗ねたりする子供達を前に頭を悩ませ始めてから間違いなく丁度1年が過ぎたのだ。月並みだが「たった1年しか経ってないのか」とも思うし、「もう1年も経ったのか」とも感じる。

そして更に信じられないことに、明くる2023年は家族でのベトナム生活の後半戦を迎える。僕自身のベトナム駐在は少なくとも3年プラスαだが、家族については長男が高校に進学する2024年3月末には日本に帰国する予定だ(ベトナムのインターナショナルスクールに進学するという選択肢も無くはないが、今のところ可能性は低い)。

なので、2023年は今年以上に濃い体験を子供達にさせてあげたいと思っている。手始めとして年明けのテト休暇に、コロナで延期せざるを得なかった数年越しの「大切な旅」を計画している。

自分や家族にとって、そして皆様にとって新年が2022年以上に充実した年になることを願って、よいお年を。

フーコック島 日没 夕陽

OLYMPUS E-M1MarkII (60mm, f/8, 1/800 sec, ISO200)
フーコック島ロングビーチにて(2022年12月19日)

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