家族のバックパッカー宿への順応に胸をなでおろし、昼食のブンボーフエでこの日一度目の優勝を決めた後、フエ旧市街のグエン朝王宮を訪れる。
フエの町は意外とデカい
新市街のホテルからグエン朝王宮まで徒歩で行くのは中々骨の折れる道程に見受けられたため、軟弱ではあるがタクシーで向かうこととした。というのも、フエの町は地図上ではコンパクトに見えるが、それは実は目の錯覚であり中々歯ごたえのあるスケールなのだ。
下のマップで、Perfume Riverを挟んで右下が新市街、左上が王宮のある旧市街である。こうして見ると新市街から旧市街のグエン朝王宮の入り口の午門までは川を渡ってすぐなので楽勝に見えるがそれが実は縮尺のトリックで、例えば新市街側で午門の目の前にある「Hue Central Hospital」から午門までは徒歩で19分もかかるのだ。
軟弱でも構わないので、タクシーやシクロなどの移動手段を効率的に利用されることをお勧めしたい。
グエン朝王宮の見どころ
ともあれグエン(阮)朝王宮である。
1804年に初代皇帝ザーロン帝により建設されたグエン朝王宮は、中国の紫禁城(故宮)をモデルにしていると言われている。南の正門である「午門」から「太和殿」等へと一直線上に並ぶ構成も紫禁城に倣ったものだという。
旗塔(フラッグタワー)
グエン朝王宮の入り口はこの後の「午門」ということになるが、その手前に中々雄大な建造物が鎮座している。それがこの「旗塔(フラッグタワー)」である。
1800年代初頭に初代皇帝ザーロン帝によって建てられたもので、当時は木造であったが今は鉄筋コンクリート製になっているようだ。
高さは約30m程度であるものの、フエの町では特に旧市街は建築の高さ制限もあり高い建物が少ないため、市内の多くの場所からこの旗を望むことが出来るという。
午門内の建築も趣深かったが、この広々とした景観は個人的には中々好みである。
SONY ILCE-7C (28mm, f/8, 1/500 sec, ISO100)
午門(Ngọ Môn)
お堀の内側への正面玄関が午門。ここから先は有料である。決して怪しいサイトの話ではない、と言いたいところだが、実は後述の通り当たらずとも遠からずなのだった。
「正午」という言葉もあるように、「午」は「南」を意味する。午門は王宮の南に位置する正門であり、この位置関係や呼称も北京の紫禁城と共通だ。
SONY ILCE-7C (28mm, f/2.8, 1/1250 sec, ISO100)
中国の多大な影響を受けるグエン朝時代の建築の中でも、この午門は特にその色が濃いと言われている。
あるいはどこか沖縄の首里城に通じるところがあるようにも思われる。
SONY ILCE-7C (28mm, f/2.8, 1/2000 sec, ISO100)
単に「門」にしておくには勿体無いほどの豪華な建築物である。個人的にはこの後見学したどの物件よりも見応えがあったような気がする。
午門の上の建物の中は地味にちょっとした博物館の様な展示があるので登ってみると良い。
SONY ILCE-7C (113mm, f/5, 1/125 sec, ISO800)
太和殿(Thái Hoà Điện)は改修工事中(涙)
太和殿は午門の直後に位置する玉座の間である。様々な儀式がとりおこなれる、王宮と政治の象徴のような建物であったようだ。
そのような重要な太和殿だが、近づいてみると何やら妙な雰囲気である。薄っぺらいというか何というか、3D感が感じられないのだ。手前のカップルが良いところを全て持っていっているという事であればそれはそれでよいのだが果たして・・・。
SONY ILCE-7C (91mm, f/4.5, 1/640 sec, ISO100)
えっ?
SONY ILCE-7C (28mm, f/4, 1/1250 sec, ISO100)
なん・・・だと!!!
太和殿、改修工事中・・・だと!!!
しかし立派な2Dのハリボテであることよ・・・
なぜ入場料を払う前に教えてくれないのか・・・
これではまるで「ここからは有料です」と言われて決済して進んでみたら思ってたのと全然違う怪しいWebサイトの様ではないか
気を取り直して太和殿の周りの満開のひまわりにせめてもの癒しを求めることとする。
ちなみにベトナムでは年中ひまわりが咲いているらしいが・・・
SONY ILCE-7C (200mm, f/5.6, 1/250 sec, ISO100)
太和殿のハリボテを見せつけられたところで、思い出したように一気に汗が噴き出て来た。ホーチミンでは感じたことのない種類の暑さである。
7〜8月のフエ地方は本当に暑いと言われるが、まさにその残暑ということだろう。
ハリボテの太和殿に向かって左手の顕臨閣の方へ向かうが、皆既にクタクタであり、やり切った感満点である。まだ入り口の午門とハリボテしか見ていないのだが・・・
SONY ILCE-7C (107mm, f/4.5, 1/125 sec, ISO125)
この辺りの石造りの壁にはどこかアンコールワットあたりの遺跡を思わせる風情がある。
SONY ILCE-7C (46mm, f/7.1, 1/160 sec, ISO100)
それはともかく、暑い・・・
そして一つ一つの建築物と建築物の間隔が長い・・・
この時代の人間は歩幅が現代人の2倍くらいあったのであろうか。
顕臨閣(Hiển Lâm Các)と世祖廟(Thế Tổ Miếu)
正面中央の太和殿に向かって左翼に位置するのが顕臨閣と世祖廟である。
こちらはその門。
SONY ILCE-7C (28mm, f/7.1, 1/60 sec, ISO100)
門前にはシーサー、あるいは狛犬の様な守り神が鎮座している。
どことなくお茶目な出立ちは、門番というよりペットの方が適任であるように思われる。
SONY ILCE-7C (50mm, f/7.1, 1/50 sec, ISO100)
SONY ILCE-7C (97mm, f/7.1, 1/100 sec, ISO160)
1821年、ミンマン帝時代に建てられた顕臨閣は高さ17mの三層木造建築で、グエン朝王宮内で現存する最も高い建物である。
SONY ILCE-7C (28mm, f/2.8, 1/2000 sec, ISO100)
その顕臨閣の向こうには世祖廟がある。顕臨閣と同様1821年に建てられた世祖廟には、歴代皇帝の位牌が祀られている。
SONY ILCE-7C (28mm, f/3.2, 1/1600 sec, ISO100)
SONY ILCE-7C (28mm, f/2.8, 1/30 sec, ISO500)
建物の柱などの装飾もよく見ると実に凝っている。
SONY ILCE-7C (64mm, f/4, 1/320 sec, ISO100)
ところでこの緑の透明のガラスは、ジュースか何かの瓶のように見えるのだが、そうだとすると修復時に活用したのだろうか。
SONY ILCE-7C (52mm, f/3.5, 1/125 sec, ISO100)
しかし暑い・・・激暑である。
戦と観光は引き際が肝心である。退却のタイミングを見誤るとその後の戦局あるいは旅の流れが悪化しかねない。
実はまだグエン朝王宮の見どころの半分も消化していないのだが、あまりの暑さ故にこの辺りで勇気ある撤退をすることにした。
真面目な反省としては、場内を回ってくれる電動カートの様なものがあったが、それを利用すべきであった。
結果的に今回観る事が出来たのは下図の緑の丸で囲った建築物だけである。正直なところ、この後全て回ったところでどれもそう変わらないのでは、と考えたのも撤退の要因の一つである。
なお、出口は右側の顕仁門しかなく、午門からは出られないので気をつけられたい。
グエン朝王宮の基本情報
半分も観てないくせに基本情報を紹介するというのも如何なものかと思うが、入場料などの辺りでちょっとしたTIPSがあるので一応ご紹介しておきたい。
グエン朝王宮の入場料:個別料金とセット料金あり
グエン朝王宮の入場料には、単品料金とセット料金の2種類がある。セットというのは何とセットかと言うと、郊外のいくつかの帝陵の入場料とセットになったチケットのことである。
単品入場料
大人(13歳以上):200,000VND(円安除きで千円くらい)
子供(7−12歳):40,000VND(同200円くらい)
セットチケット
①3ヶ所セット(王宮・ミンマン帝陵・カイディン帝陵)
大人:420,000VND / 子供:80,000VND
② 4ヶ所セット(王宮・ミンマン帝陵・カイディン帝陵・トゥドック帝陵)
大人:530,000VND / 子供:100.000VND
※王宮以外のミンマン帝陵、カイディン亭陵、トゥドゥっく亭陵の単品入場料はいずれも大人150,000VND、子供30,000VND
※セットチケットは購入日から2日間有効
グエン朝王宮の場所
この後は宿でシャワーを浴び、夜のフエの町へ繰り出す所存である。
勤務先のフエ出身のベトナム人社長から教えてもらったフエ料理の名店が、この日二度目の優勝旗を持って待っているはずだ。
つづき
(2022年9月1日の旅行記)
ホーチミン発フエ・ホイアン4日間の旅 記事一覧
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