タイベトナム生活編

タイのPromptPay QRをベトナムのVietQR銀行アプリでスキャンして支払ってみた

こんにちは。趣味でベトナムのフィンテックで働いている10max(@10max)です(本業はビールを飲みながらベトナムハムを食べる仕事です)。

先日タイ出張がありまして、バンコク市内のいろいろなお店でキャッシュレス決済を試みました。

特に関心があったのは、タイの統一QRである「PromptPay」。PromptPayは、同じくベトナムの国策QR「VietQR」と連携していて、ベトナムの銀行アプリで支払が出来るというのは話には聞いていたのですが、実際に使ってみたいと思っていました。

そのつもりでタイバーツの現金は用意せず出張に望んだのですが、結果的に、ローカル食堂などでも問題なく支払え、3泊4日のバンコク出張中、一度も現金を使わずにベトナムへ帰ることが出来ました。

ただ、ベトナムでの凄まじいキャッシュレス普及状況と比較すると、タイのそれはちょっと「?」な点も感じたんですよね。それは最後の方で。

※ベトナムのキャッシュレス普及状況については下記記事を御覧下さい↓

ベトナムのキャッシュレス決済事情と決済手段ごとの普及状況(2024年版)
こんにちは。ベトナムのIT・フィンテック界隈の片隅ですみっコぐらしをしている10max(@10max)です。そんな仕事柄、「ベトナムでキャッシュレス決済ってどのくらい普及してるの?」と言うご質問を、1秒間に50回程度の頻度で頂くので(西日本...
タイのPromptPay QRをベトナムの銀行アプリでスキャン

タイのPromptPay QRをベトナムの銀行アプリでスキャン

スポンサーリンク

現在ベトナムはタイ、カンボジア、ラオスとの越境QR決済が可能

まずはベトナムと各国のQR決済相互接続の現状のおさらいです。興味ない方は読み飛ばして下さい。

ASEAN域内では昨今、各国間での越境QRコード決済の連携が進んでいます。各国とも、中央銀行主導による国内の統一QR規格と即時決済ネットワーク(ベトナムではNAPAS)が整備され、それらを越境接続することで、各国の銀行・決済アプリで相手国の決済(送金)用QRを読み取って支払いを行える環境が整いつつあります。

越境QRコード決済が促進するASEANの金融統合──日本・ASEAN相互運用を目指すには - アジア経済研究所
アジア経済研究所は、日本における開発途上国研究の拠点として、世界への知的貢献をなすことを目指しています。

その中で、ベトナムは2025年7月現在、タイ、カンボジア、ラオスとの越境QR決済が可能になっています。タイとは2022年、カンボジアとは2023年末、ラオスとは2025年始めにそれぞれ連携完了が発表されました。ベトナム中銀傘下のNAPASは現在、中国、韓国、日本との接続検討を進めているとアナウンスしています。

ベトナムの越境QRコード決済――課題が映し出す国の個性―― - アジア経済研究所
アジア経済研究所は、日本における開発途上国研究の拠点として、世界への知的貢献をなすことを目指しています。

ASEANとの越境QR接続で出遅れる日本

余談ですが、日本はその中で若干出遅れている状態です。決済に限らずよくある話で、日本は旧来型の銀行間接続・決済インフラが整っていたため、ASEANで一般的な低コストの即時決済ネットワークを持っていません。

そして日本にも一応、統一QR規格のJPQRがありますが、PayPayなどの主要QR決済事業者が参加していないなど推進力が弱く、加盟店側の導入メリットも少ないため、ちょっと筋が悪いんですね(故に上で触れたNAPASとの日越相互接続も、構想はあるものの中々課題が多いようです)。

スポンサーリンク

タイのPromptPay QRをベトナムの銀行アプリで支払ってみた

前置きが長くなりましたが、バンコクのお店のPromptPay QRをベトナムの銀行アプリで読み取って支払いを行った現地レポです。

今回、投宿地のBTSプロンポン駅すぐそばのこちらのローカル食堂に毎日通いました。物価高に円安のダブルパンチで滞在コストが悩ましいバンコクで、救世主のような食堂です。

Jarunee, プロンポン駅前の食堂, バンコク, タイApple iPhone 15 Pro (6.7649998663709mm, f/1.8, 1/50 sec, ISO400)

支払いのことは一旦忘れ、まずは70バーツの絶品春雨麺で優勝します。

さて、いよいよ支払い。こんな感じで印刷されたPromptPayのQRコードが置いてあるのはベトナムのローカル食堂と同じ。こういうやつは、厳密には「決済」というより、店主の口座に「個人間送金」しているだけなのですが、キャッシュレスで支払えるというユーザー体験自体は変わりません。

PromptPayのQRコード, バンコクの食堂Apple iPhone 15 Pro (6.7649998663709mm, f/1.8, 1/50 sec, ISO250)

なお、どこにも「PromptPay」と言う文字もなければロゴもありません。なので支払いの際に店員さんに「プロンプトペイ」と伝えて、「これだよ」と教えてもらいました。

これ、タイ国外から来た旅行者だったら、知らなければ絶対そんなこと訊かないし、多くの旅行者は知らないままですよね。越境QR、実は中々普及していないのですが、この辺りの分かりにくさが原因だったりします。

PromptPayのロゴ

PromptPayのロゴ

それはともかく、いよいよベトナムの銀行アプリ(筆者はVietcombank)でスキャンします。

タイのPromptPay QRをベトナムの銀行アプリでスキャン

すると瞬時に下の画面が・・・おお、ちゃんと読み取れた!

タイのPromptPay QRをベトナムの銀行アプリでスキャン

両替やキャッシングより激安の手数料

上の通り、ベトナム銀行アプリでPromptPayのQRをスキャンすると、70バーツという現地通貨金額と、為替レートおよびベトナムドン換算金額がリアルタイムに表示されます。また、一回の支払いにつき1,100ドン(約6円)の手数料も表示されています。

これ、めちゃくちゃ安いと思います。

為替レート(1THB=810VND)ですが、この日の通貨換算アプリでのレート(市場の一般的なレートを平均化などしたものらしい)は799VNDなので、それより1%ほど高いだけ。恐らくその辺りの両替屋のレートと比べてもさほど悪く無さそう。

為替レート, 通貨換算プラス, アプリ

また手数料の約6円ですが、バンコク市内のATMでのキャッシングの手数料は1回あたり220バーツ(約千円!!)。これと比べるともはやタダみたいなもんです。

 

ということで、サクサクっと支払い完了。ユーザー体験的にはベトナム国内で普通にVietQRで支払うのと全く変わりません。

タイのPromptPay QRをベトナムの銀行アプリで支払い

送金後1秒で取引結果がアプリに送られてくるのも、VietQRでの支払いと全く同じ感覚。いや〜〜〜、世の中進歩してるんだな〜〜!(日本頑張れ)

タイのPromptPay QRをベトナムの銀行アプリで支払い

この後、同じくプロンポンで「知多ラーメン」の看板を発見し、愛知出身の筆者はブラックホールに吸い込まれる如く入店しましたが、こちらにもPromptPay QRが置いてあり、問題なく支払うことが出来ました。

知多ラーメン, プロンポン, バンコクApple iPhone 15 Pro (6.7649998656528mm, f/1.8, 1/50 sec, ISO800)

知多ラーメン, プロンポン, バンコクApple iPhone 15 Pro (6.7649998656528mm, f/1.8, 1/50 sec, ISO200)

お次にモダントレードのお店でも試しました。細君への土産を買いにプロンポン駅前のNaRaYaへ。

Naraya, バンコクApple iPhone 15 Pro (6.7649998663709mm, f/1.8, 1/120 sec, ISO125)

こちらでは流石に静的QRの印刷スタンディではなく、決済端末にダイナミックQRが表示される方式でした。こちらも無事に決済完了。

PromptPay, QRコード, 決済端末, タイApple iPhone 15 Pro (6.7649998663709mm, f/1.8, 1/50 sec, ISO80)

スポンサーリンク

タイのキャッシュレス普及状況、ちょっと微妙?

さて、こんな感じでPromptPay QRをベトナムの銀行アプリでスキャンして支払う事自体はうまく行ったのですが、そもそものタイにおけるPromptPayおよびキャッシュレス決済の普及状況には少々物足りないものを感じました。

まず、PromptPayが使える加盟店が意外と少ないんじゃないか、という点。

例えば、今回プロンポン近くのIbisに投宿したのですが、そのホテルの支払いにはPromptPayが使えませんでした。

またそのIbisの一階にはセブンイレブンがあるのですが、そこでもPromptPayが使えませんでした。

キャッシュレス決済手段, セブンイレブン, バンコクApple iPhone 15 Pro (6.7649998656528mm, f/1.8, 1/160 sec, ISO64)

ベトナムでは、モダントレードやローカルなトラディショナルトレードいずれでも、VietQRで支払えない場所を探す方が難しいくらいなので、バンコクのこの状況は意外でした。

またPromptPay以外のキャッシュレス決済についても障壁が。

上のセブンイレブンで、PromptPayが使えないという事でVISAカードで払おうとしたのですが、なんと200バーツ以上でないとキャッシュレスは使えないとのこと。

んーー???もしかして決済手数料に固定フィーがあるのか?

タイの決済業界の事情には明るくないですが、ベトナムではVISAなどの交際ブランドのカード決済手数料はパーセンテージの料率のみなので、通常決済単価は関係ありません。ちょっと謎ですね。

という事でこんなことになりました(笑)↓

ベトナムのキャッシュレス事情を見ていると、路上のバインミー屋台などの低単価な買い物で使えてるからこそ一気に普及している感があるので、このような制約がある状況では、おそらく普及状況としてはタイよりもベトナムの方が進んでいるのではないかと想像します。まあ4日間程度の滞在では実情はわかりませんけどね。

何にしても、ベトナムからタイへの旅行での利便性はかなり良くなったことが確認できた、貴重な体験でした。

カオマンガイとラーブ, Jarunee, プロンポン駅前の食堂, バンコク, タイApple iPhone 15 Pro (6.7649998656528mm, f/1.8, 1/50 sec, ISO250)

プロンポンの名食堂、Jaruneeのアクセス

最後に、今回の出張で大変お世話になったプロンポン駅前のローカル食堂の場所を貼っておきますね。

にほんブログ村 旅行ブログ アジア旅行へにほんブログ村 海外生活ブログ ベトナム情報へ
にほんブログ村 旅行ブログ タイ旅行へ

コメント

タイトルとURLをコピーしました