カシュガル/敦煌

莫高窟とシルクロードのポプラ並木 | 敦煌・カシュガル旅行記【国境のカオスが好きだ。】

今朝は昨日のような用務員室的な部屋ではなく普通の客人用のレストランで朝食をとることに成功(当たり前である)。

シルクロードホテル 敦煌 レストランCASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/8 sec, ISO0)

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砂漠の画廊、莫高窟

今日は昨日と同じ無口で憎めないオッサンのシボレーで莫高窟を訪れる。莫高窟とは、敦煌市を囲む砂漠の東端の断崖に400を超える石窟があり、漢から元までの各代の仏教美術家の手による仏像や絵画が保存されているという「自然と人智がコラボレートして結晶化したような遺跡」である。ちなみに、世界遺産に登録されているらしい、ということを現地で知った。どうも筆者は世界遺産への造詣が浅いらしい。

敦煌市内から例によって常時時速120km超えのオッサンの車で30分ほど爆走すると、遠くに見えていた砂漠の稜線の端がだんだんとそそり立つ断崖絶壁となり、無数の四角い穴が穿たれているのが見えてくる。それらが全て、南北1.8キロ、上下5層に渡る仏教美術の詰まった石窟だというのだ。「砂漠の画廊」の異名を持つわけがよく分かる。

敦煌 莫高窟CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (23.4mm, f/6, 1/640 sec, ISO0)

敦煌 莫高窟CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4.5, 1/640 sec, ISO0)

敦煌 莫高窟CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/4, 1/640 sec, ISO0)

驚愕!次々と現れる「ガイド風」の中国人

と、莫高窟の壮観に驚かされたのもつかの間、今度は画期的な中国風観光方式に驚かされる。チケット購入後、「日本語のガイドはいるか」と尋ねると、

「入口の方に日本人の団体がいるだろうからそこに適当に混じりなさい」

との教えを受ける。なるほど、全てにおいて自己解決がこの国のやり方である。とういか、「タダ乗りはよろしくない」という発想は無いのであろうか。きっと無いのであろう。

仕方なく入り口まで行くと、幸運にも日本人の老夫婦がいて、「一緒に見て回ってはどうですか」と申し出て下さった。ああ、日本人は優しいなあ。

しかしその後も事件は絶えることが無かった。実は、その老夫婦と(気付いたら他に4人くらい(中国式で)合流していたのだが)共に後についていったガイドらしき中国人女性が、次のような驚くべき発言を繰り出したのである。

「ガイドを探してくるからここでしばらく待ってて」

「いや待て!あんたは一体誰なのだ!」と小一時間問い詰めたくなる気持ちを抑えて待っていると、やがて別の中国人女性がやってくる。

「行きましょう」

と日本語で言うので、やっと本物のガイドが来た、と安堵してついて行く。しかし石窟という石窟を次々に素通りして進んでいく。おかしいと思い尋ねてみると、なんとまたしても次のような驚愕の発言が飛び出したのである。

「ガイドがもう先に行ってしまったので、探しているんです」

「いやだから待て!あんたは一体誰なのだ!」と石窟全体に響き渡る声で絶叫したくなる気持ちを何とか抑えてついていくと、ようやく石窟の中で日本語の説明を行っているオッサンを発見することができた。彼こそが本物のガイド・・・に違いない・・・(もうどうでもいいけど)。

そのような感じで、400以上ある石窟のうち、代表的な10くらいを見て、莫高窟を後にする。莫高窟から宿に戻り、シボレーのオッサンに別れを告げる。オッサン、爆走しすぎて爆死するなよ。

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「豆片面」、それは地獄への階段

昼飯は宿のすぐ近くの、「豆片面(麺)」と書かれた食堂に入る。「豆片面」とは一体なんであろうか。楽しみにして待っていると、なんとスープが小豆色なのである。つまり、スープの出汁を小豆からとっているのである。当然ながら、若干甘味のある、これまで食べたことの無い味である。

これだけではイマイチ物足りないなあ、と思っていると、食堂のおばちゃんが、並べられた鍋の中のおかずを皿に盛って出してくれた。ジャガイモのきんぴらや、ナスの唐辛子炒め煮など4種類のおかずである。おばちゃんの説明は全く分からなかったが、これらの辛いおかずと一緒に豆片面を食べると、格段に美味くなった。庶民の中華料理とは、このように、複数のものを上手くコーディネートして食べるのが正しいのかもしれない。などといい加減な悟りを開いてみる。

しかしこの「豆片面」が悲劇を招く。なんと細君が、その午後から激しい食当たりに見舞われ、とても出歩けない状態に。やむを得ず筆者単独でチャリンコを借り、ブラブラすることに。しかし筆者とて同じものを食したのだ。このままで済むはずがないのだが、それは後の話・・・。

敦煌 豆片面CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/20 sec, ISO0)

敦煌 豆片面CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (19.2mm, f/3.7, 1/40 sec, ISO0)

敦煌 豆片面CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (25.6mm, f/4, 1/30 sec, ISO0)

敦煌 豆片面CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/200 sec, ISO0)

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シルクロードのポプラ並木を求めて

シルクロードといえば、ポプラ並木である。格好の良いポプラのある風景をハンティングしに路地や農道に攻め入る。やはりこれが旅の醍醐味である。実を言えば莫高窟のような名所よりもこちらの方が本命である。

そしてポプラ並木の光景はすぐに視界に飛び込んできた。あまりに事前の脳内イメージそのままだったため夢か現実か定かならぬ心持ちであった。「これぞシルクロード」と心のうちで喝采したものである。

そして路地といえば、子供である。遊んでいる子供がこちらに興味を示したところを、パシャリ。どんな外国でも小さな子供でも、カメラを見せれば、言葉が分からなくてもこちらが彼または彼女に興味を持ったということが簡単に通じる。こんな便利なコミュニケーションツールは無い。

ただ中国の場合、東南アジアなどの人々と違って、ハローだとかニイハオなどと声を掛けながらカメラを向けても笑顔で応じてくれる率が低いので、若干尻ごみしてしまう。

敦煌 ポプラ並木 シルクロードCASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (14.2mm, f/4.6, 1/500 sec, ISO0)

敦煌 ポプラ並木 シルクロードCASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (28.4mm, f/5.5, 1/200 sec, ISO0)

敦煌 ポプラ並木CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (16.33mm, f/3.5, 1/80 sec, ISO0)

敦煌 ポプラ並木 シルクロードCASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (28.4mm, f/4, 1/160 sec, ISO0)

敦煌 ポプラ並木 シルクロードCASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/8, 1/80 sec, ISO0)

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レイトチェックアウトでもめる

満足して宿に戻ってくると、相方の食当たりに回復の兆しが見られないので、宿のフロントで翌日のチェックアウトを12時から14時まで延ばしてほしい、とリクエストしてみることに。

相変わらず英語が全く通じないため筆談交えつつ何とか意図を伝達すると、「規定により1泊の半額分(120元=1800円)を貰い受ける」というのである。いやしかしである。たった2時間に120元は割に合わないではないか、ということで駄々をこねていると、初日から片言の日本語と筆談で相談に乗ってくれていた、ベテランらしい小姉(シャオジェ)が登場。さらに半額の60元にしてくれた。謝々、小姉。

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ついに美味なる「牛肉面」に遭遇

今宵の晩餐は、「牛肉面(麺)」。これまた宿の近くにあって、兼ねてから目をつけていた。しかし細君は相変わらずノックダウン状態のため、やはり筆者単独で出かけることに。細君の食糧は近くの超市(スーパーマーケット)で調達することにする。

敦煌 市街地

CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/200 sec, ISO0)
敦煌市街地

ところでこの「牛肉面(麺)」が、かつてない大当たりであった。一昨日の「麻辣面」もまずます美味かったが、それを大きく凌ぐ味である。スープは「麻辣面」ほど辛さが突出しておらず、透明な醤油系で、香菜の香りが香ばしくて飲んでもコクと深みがある。麺も、コシがあってツルツルしていて理想的だ。そして特徴的なのが、後乗せの牛肉。これが非常に柔らかく、かつスープの絡みやすい部位が使ってあり、具としては香菜と牛肉だけなのだが、全く物足りなさを感じさせない。

庶民派中華料理の議論に関しては昨日の言を撤回したいと思う。まだまだ筆者の研究が足りないようだ。

敦煌 牛肉面CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/13 sec, ISO0)

敦煌 牛肉面CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/8 sec, ISO0)

敦煌 牛肉面CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/10 sec, ISO0)

さて、細君に「牛肉面」を食べさせてやれなかったのが残念で仕方が無いが、帰りに超市に寄って、細君のためのパンと水、そして筆者のための黄河ビアーを購入して宿へ帰る。

明日はいよいよ中国最西端の町、カシュガルへ飛ぶ。

しかし近づいてくるのはカシュガルだけではなかった。筆者の胃腸にも忍び寄る暗雲を、この時の筆者は完全に甘く見ていたと言わざるを得ない。

敦煌 超市 スーパーマーケット 商店CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/8 sec, ISO0)

敦煌 超市 スーパーマーケット 商店CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (7.1mm, f/2.8, 1/8 sec, ISO0)

敦煌 超市 スーパーマーケット 商店

CASIO COMPUTER CO.,LTD EX-P600 (9.2mm, f/4.2, 1/60 sec, ISO0)
こちらへ来てすっかりおつまみとしてお気に入りになった「豆干」

(2006年9月12日)

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