フエからの日帰り旅の後半戦、ホイアン郊外の田舎料理と田園風景で胃と心を満たした後、いよいよ午後半日でホイアン旧市街を見て回る。
この町には所謂これと言った観光名所というものはない。古くチャンパ王国の時代より極東と西洋を結ぶ貿易都市として栄えた町全体が、戦火を逃れて現代に受け継がれている。町自体が歴史の縮図であり、美しき遺産なのだ(文字通り町全体が世界遺産に登録されている)。
やや観光地化が甚だしいきらいもあるが、歩いているだけで旅情あふれる魅力的な町である。そのようなホイアンの風情を多くの写真と共にお伝えしたい。筆者などが今更お伝えする必要もないほど有名な町ではあるが、写真を沢山撮ってきてしまったのだから仕方がない。
SONY ILCE-7C (28mm, f/4.5, 1/500 sec, ISO100)
ホイアンではまず観光チケットを買う
とは言え、ホイアンの旧市街にはいくつかの有料観光スポットがある。通称日本橋(来遠橋)の展示室や一部の中国寺院、邸宅などである。
それらを見学するには各施設で買うのではなく、旧市街にいくつか点在するチケット売り場で予め1セット5毎綴りのチケットを買っておく必要がある(1セット12万ドン(約600円))。
6ヶ所以上見学するには2セット(10枚)購入する必要があるので迷うところだが、個人的には5ヶ所で十分満足であった。
ホイアン観光チケット売り場一覧
本記事執筆時点では、ホイアンの観光チケット売り場は下地図の7ヶ所となっている(黄色い家アイコン)。
臨時休業などの可能性もあるので、最新情報は随時ご確認頂きたい。
ホイアン観光チケットは電子化されるらしい
なお、この観光チケットは近く電子化される計画があるらしい。下の記事によればオンライン購入も可能になるようだ。ぜひ実現して頂きたいものである。
SONY ILCE-7C (134mm, f/5, 1/250 sec, ISO100)
ホイアンは古き良き華僑の町並みが美しい
冒頭でもお伝えした通り、ホイアンの一番の魅力と価値は、その貴重な町並みにあると筆者は感じている。
まずは町をぶらぶら歩いてみよう。歩けば歩くほどビールが美味いというものである。ホイアンにはせっかく「LARUE」という地ビールがあるのだから。
SONY ILCE-7C (28mm, f/2.8, 1/200 sec, ISO100)
マラッカにも似る華僑建築を活かした町並み
かつてのホイアンには日本人町が形成されていたが、今のホイアン旧市街に残っている建築の多くは、江戸幕府の鎖国政策で日本人街が衰退した後にもここに残り、あるいは新たに移住してきた華僑達のものが大半であるようだ。
筆者はこのホイアンの町並みに、かつて訪れたマレーシアのマラッカの面影を重ねる。
マラッカでは、15世紀頃よりマレー半島に移住した「プラナカン」と呼ばれる華僑達が中華とマレー文化を融合させた独特の文化が根付いた。
ホイアンの町並みは、成り立ちや建築様式においてマラッカのそれらと非常に共通点が多い。ホイアンのストリートを歩くと、古き良き中華の路地はこのようであったかと妄想の暴走が止まらない。
SONY ILCE-7C (79mm, f/5, 1/320 sec, ISO100)
SONY ILCE-7C (87mm, f/4.5, 1/1000 sec, ISO100)
SONY ILCE-7C (38mm, f/4, 1/800 sec, ISO100)
SONY ILCE-7C (76mm, f/5, 1/80 sec, ISO400)
SONY ILCE-7C (51mm, f/4, 1/400 sec, ISO100)
こうしたホイアンの古い町並みは世界遺産に登録され、国の政策の下で保護されている。保存には日本の技術協力も貢献しているようだ。
さらに、単に保存されているだけでなく、歴史的な建造物や古民家がカフェや雑貨屋などの店舗として美しく活用されている点も、マラッカの「ショップハウス」という概念と共通している。
歴史的建築の保存と観光とが共存する、一つのサスティナブルなあり方と言えるだろう。
筆者もビールとダイエットが共存するサスティナブルなあり方を模索する上で参考にしたいと思っている(いや、いない)。
SONY ILCE-7C (28mm, f/3.2, 1/400 sec, ISO100)
SONY ILCE-7C (40mm, f/4, 1/100 sec, ISO100)
有料建築やカフェで古き良き華僑建築をさらに満喫する
こうした魅力的な華僑建築は町並みとして眺めているだけでも楽しいものだが、更に深く堪能するなら実際に中に入ってみるのがよい。
冒頭で触れた観光チケットで見学できる有料の施設や、古民家を改装したカフェに入れば、古き良き中華の風情をゆっくり賞味する事が出来る。
それらの施設やカフェについては、そろそろ面倒になってきたので改めてじっくりと別記事でご紹介したい。
ホイアンはトゥボン川が美しい
かつて貿易都市としてのホイアンの動脈だったのがトゥボン川だ。南シナ海とホイアンを結んだトゥボン川を、かつて貿易船が行き来していた。
しかしやがてトゥボン川に堆積した土砂や船舶の大型化によって、20世紀以降の国際貿易港としての地位はダナンに比重が置かれていった。
今日のトゥボン川に浮かぶボートの多くは観光用のものだが、往時の光景を脳裏に想像する鍵となってくれる。川面を渡る風に吹かれながら妄想を膨らませるのも心地よい。
SONY ILCE-7C (20mm, f/2.8, 1/1000 sec, ISO100)
SONY ILCE-7C (81mm, f/4.5, 1/640 sec, ISO100)
ホイアンはランタンとライトアップが美しい
そのトゥボン川沿いにランタンの灯が灯る時間帯になると、川面もずいぶんと賑やかになってくる。
SONY ILCE-7C (28mm, f/5, 1/60 sec, ISO100)
日中帯は暑いため、町中も夕刻以降の方が活況だ。
ホイアンの町はまるで盆踊りの夜のような賑やかさに包まれる。
SONY ILCE-7C (146mm, f/5.6, 1/160 sec, ISO1250)
SONY ILCE-7C (88mm, f/5, 1/100 sec, ISO1600)
ナイトマーケットで土産物を物色する
また、夕刻にはナイトマーケットも活況を呈し始める。
ここで土産物などを物色してみるのもお薦めだ。
SONY ILCE-7C (119mm, f/6.3, 1/125 sec, ISO1000)
SONY ILCE-7C (72mm, f/6.3, 1/80 sec, ISO800)
伊勢うどん起源の「カオ・ラウ」を食す
夕食としてホイアン名物「カオ・ラウ」を食すことにした。訪れたのは日本橋(来遠橋)近くでGoogleマップでそこそこ評価が高かった「Cao lầu Không Gian Xanh」という食堂だ。
SONY ILCE-7C (28mm, f/5, 1/30 sec, ISO160)
SONY ILCE-7C (28mm, f/6.3, 1/30 sec, ISO2000)
「カオ・ラウ」というのは、汁なしの太麺料理である。味付けはどちらかというと甘辛い感じなので、好みは分かれるところかも知れない。筆者はフォーのような味付けが好みなので、正直な所ものすごく美味いかと言うとそこまででは無かったように思う。
ただ興味深いのは、このカオ・ラウの麺が伊勢うどん由来と言われていること。実際、もちもちとコシのある麺はどこか日本のうどんを思わせるものだった。
そう聞くと一度は食べてみたいと思うのではないだろうか。ただ冷静に考えれば、カトキチの冷凍うどんは思い出せるものの伊勢うどんの味はあまり記憶にないのだが・・・
カオラウに限らずスープ入のMi(玉子麺)のようなものも選ぶことが出来る。
SONY ILCE-7C (44mm, f/4, 1/50 sec, ISO2000)
以上、ホイアンの魅力を写真を中心にお届けしたが、少しでもお伝え出来ていれば幸いである。
次回は一部の有料建築やカフェなどをご紹介した後、フエの町へ戻りたいと思う。
ホイアン旧市街のアクセス
下地図では旧市街の日本橋(来遠橋)の位置を示しています。
(2022年9月2日の旅行記)
ホーチミン発フエ・ホイアン4日間の旅 記事一覧
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