さて、最初に大事な情報をお伝えしておきます。
本記事ではバガンにおける夕日鑑賞スポットの一つをご紹介していますが、どうも2017年頃からバガンにおける殆どの遺跡について、立入禁止となった模様です。従って、従来のように夕日や朝日の眺望を求めてパゴダの上に登る事は残念ながら基本的に出来ません。
ところが本記事にてご紹介する「ピアダッヂィ寺院」は、もしかすると現在でも立ち入り禁止になっていない可能性があります。というのも、2019年時点で、この寺院ではないかと思われる場所が立入可能な遺跡として下記の記事にて紹介されているためです。
上記記事にて立入可能として紹介されている寺院は、残念ながら名称不明となっているのですが、諸々の条件が「ピアダッヂィ寺院」に非常に近いのです。
- 「ピアダッヂィ寺院」は地球の歩き方などのガイドブックにも載っていないマニアックなスポットだが、上記サイトでも「正式な寺院の名前がよく分からない」「小さな寺院」と紹介されている
- 「ピアダッヂィ寺院」の場所はニャウンウーから南方、ダマヤンジー寺院とスラマニ寺院の近くであり、それも上記サイトの寺院と共通
- 上記サイト掲載の写真やGoogleマップの衛星写真を見ると、本記事の「ピアダッヂィ寺院」と似ている。
ということで、不確定情報も多いので本当に同じ寺院なのかは分かりませんし、仮に同じ寺院だったとしてもその後立入禁止になってしまった可能性もありますが、現地で尋ねてみる価値はあるのではないかと思います。
さて、前置きが長くなりましたが、以下「ピアダッヂィ寺院」訪問記の本文をご覧ください。
テレサ・テンのテープを流す27歳の青年
昼頃タンジー山ツアーから戻り、郵便局への無駄足を踏んだ後、ホテルの青年の紹介で夕日の良く見える寺院に車で連れていってもらうことにした。
そのマークⅡを運転するのは、チィガァという青年。車中には 日本人のガールフレンドにもらったというテレサ・テンのテープが流れる。テレサ・テン好きの日本のガールフレンド。なかなか渋いところをついたものである 。
チィガァは27歳。これまで筆者が出会ってきた青年たちと同様、やはり結婚はしばらくしないという。
ミャンマーの多くの若者は、結婚資金を貯めるのに大いに苦労しているようだ。
山羊の群れをやり過ごしつつガイドブックにも載らない「ピアダッヂィ寺院」に到着
多少時間に余裕があったので、途中ダマヤンジー寺院とスラマニ寺院に寄ってもらう。いずれも奥地にあるため、チャリでは行きにくそうな寺院である。
途中、突然の山羊の群れ。ただ行き過ぎるのを待つしかない。歩行者優先だの自動車専用だのといった概念が崩れ去る瞬間である。
SONY CYBERSHOT (12.7mm, f/4, 1/90 sec, ISO100)
それらを経て到着したのが「ピァダッヂィ寺院」という、素晴らしく奥地にある非常にマニアックな寺院である。もちろん地球の歩き方などには載っていない、地元の人しか知らないマニア心をくすぐる秀逸な聖地である。
寺院の屋上に登ってバガン全体が一望できる素晴らしい寺院にもかかわらず、訪れる観光客がほとんどいないという、ゆったりと夕日を眺めるのには絶好のポイントである 。
SONY CYBERSHOT (6.1mm, f/4, 1/160 sec, ISO100)
このように内部から屋上へと登る事が出来る。
SONY CYBERSHOT (6.1mm, f/2.8, 1/30 sec, ISO282)
チィガァ。テレサ・テンを聴きながら頑張って結婚資金を貯めてもらいたいものである。
SONY CYBERSHOT (9.1mm, f/4, 1/70 sec, ISO100)
僕は三角屋根の並ぶ地平線を見るためにここまでやって来たんだ
ピァダッヂィ寺院からバガン平原に沈みゆく夕日を眺める。パゴダや寺院の三角屋根のシルエットと、刻々と色が変わる西の空に目を凝らす。
ただこの光景を目に焼き付けるためにはるかミャンマーまでやって来たのだ、と思える。
SONY CYBERSHOT (9.1mm, f/4, 1/125 sec, ISO100)
SONY CYBERSHOT (6.4mm, f/4, 1/125 sec, ISO100)
SONY CYBERSHOT (6.1mm, f/2.8, 1/30 sec, ISO282)
この寺院への道は半ばあぜ道のようなマニアックな土の道なのだが、帰りはさらに加えて日も沈んで暗かったため、非常にスリリングであった。
それでも、テレサ・テンの歌声が我々を癒してくれた。ありがとう日本のガールフレンド。
翌朝8時にポッパ山を訪れるべく待合わせの約束をして、チィガァと別れる。素晴らしい時間を本当にありがとう。(もっともその夜、レストランおよびレンタサイクル屋で計ニ回彼と再会する事になるのだが・・・ )
[2003.9.28]
ミャンマー旅行記:ミャンマーの地平には三角屋根が並ぶ | 記事一覧
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